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メーガン妃の"爆弾"はなぜイギリス王室を揺るがせたのか 英米、年齢で分かれる賛否

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イギリス・エリザベス女王の孫にあたるヘンリー王子とその妻メーガン妃が、米CBSテレビのインタビュー番組の中で王室の内情を暴露し、大きな波紋を呼んだ。

今月上旬、米人気司会者オプラ・ウィンフリー氏によるインタビュー番組に登場したメーガン妃は、2018年の結婚後、王室内で孤立し、自殺さえ脳裏に浮かぶほど苦しんだと告白。

さらに、アフリカ系の血を引く米国人のメーガン妃がアーチー君を妊娠した際には「子供の肌がどれぐらい黒くなるか」と懸念を示されたと語り、王室が人種差別的であることを示唆したのだ。

アメリカで番組が放送された7日には約1700万人が視聴。翌8日、イギリスITVによる放送では約1200万人が視聴した。放送後10日余りを経ても米英ではトップニュースの1つとなっている。

だが、今回の騒動をめぐってはアメリカとイギリス、またイギリス国内でも高齢層と若年層の間では受け止め方が異なる。メーガン妃の告白はなぜ、賛否に分かれているのか。注目される背景を見てみたい。

メーガン妃の告白にアメリカ衝撃 セリーナ・ウイリアムズ氏らが支持を表明

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メーガン妃はアメリカで生まれ育ち、2018年にヘンリー王子と結婚するために渡英。昨年1月にインスタグラムで突然の「独立宣言」を行った夫婦は同年3月末、王室の公務から引退し、現在は長男アーチー君とともに米国に住んでいる。

結婚に際し、メーガン妃は女優業を辞め、人気があったブログも閉鎖したことで、「声」をなくしてしまっていた。

今年3月7日、騒動となった番組でメーガン妃はまず、「王室の人間となったために言いたいことが言えなくなった」とこぼした。

「沈黙したのですか、それとも沈黙させられたのですか?」。司会者のウィンフリー氏の問いにメーガン妃は「後者だ」と回答した。

さらにアメリカの視聴者に大きな衝撃を与えたのは、人種差別的なやりとりが王室内でなされていたことを暴露したことだろう。

「王室内で『生まれてくる子供の肌の色』について懸念があった」とメーガン妃が明かすと、あまりの衝撃にウィンフリー氏は沈黙。しばしの後、「え?なんですって?」と聞き返した。

メーガン妃はまた、アーチー君が「王子にはなれない」と言われたと続けたため、人種差別が背景にあったことを示唆する流れとなった。

セリーナ・ウイリアムズ選手もメーガン妃支持の声をあげた=Getty Images

放送後、アメリカの著名人、芸能人、政治家が次々とメーガン妃支持の声をあげた。例えば夫妻の友人でテニス選手のセリーナ・ウイリアムズ氏、映画監督マイケル・ムーア氏、元国務長官のヒラリー・クリントン氏である。

筆者は、日本にいる複数の友人からも「メーガン妃を応援したい」というメッセージを受け取った。

「メディア対応はしない」が暗黙のルールだったイギリス王室

しかし、イギリスでの反応はアメリカの反応とは少々異なる。

その背景には王室の"約束事"と、メーガン妃・ヘンリー王子夫妻に貼られた「お騒がせ」のレッテルがある。

エリザベス女王は1952年の即位以降、「一切メディアの取材を受けない」をモットーに黙々と公務を行ってきた。立憲君主制を取るイギリスでは、王室が政治に一切干渉しないことが不文律となっており、「王室の神秘性を壊したくない」という女王の配慮もあって、国民に誓った「自分の一生を捧げる」生活を続けてきた。

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イギリスの国民が女王一家の生の声を聞くのは、公務時の演説かクリスマス時のメッセージ、コロナ危機への対応を呼びかける際など特別な場合のみで、内容もあらかじめ準備されている。

一旦イギリス王室の一員となったら、メディア取材には応じない。女王が実践するこの対応は、王族の中での"暗黙の約束事"と言える。

それでも、イギリス王室のメンバーが家族関係についてメディアに暴露した過去はある。

最も著名な例がヘンリー王子の母ダイアナ妃(1997年、パリで交通事故死)だ。

1992年に刊行された『ダイアナ妃の真実』の中では、王室の中での孤立、自傷行為、夫チャールズ皇太子の愛人の存在などを明らかにし、世界中を驚かせた。94年、チャールズ皇太子は民放番組で愛人の存在を認め、翌年、ダイアナ妃がテレビ番組で、孤独や夫の愛人問題を自分の言葉で語った。当時の視聴者は約2300万人。夫妻は96年夏、離婚する。

メーガン妃がぶちまけた王室の内幕 女王への「侮辱」との表現も

今回、ヘンリー王子夫妻もまたこの暗黙のルールを破った。アメリカでトップクラスの人気司会者であるウィンフリー氏の番組に出演し、王室批判のオンパレードをぶちまけた。出演に際してほかの王族への相談はなかった。

家族のいざこざをテレビ番組のゴールデンタイムにばらされてしまったら、どうだろう? しかも、その「家族」とは国を統治する王族であり、内容が人種差別の示唆というショッキングなものだったら……。

イギリスの保守系大衆紙「デイリー・メール」は、国内放送の翌日、「一体なんてことをしてくれたんだ」という大きな見出し付きの1面を作成。エリザベス女王が率いる王族、そして国民の驚きと怒りが現れていた。さらに保守系新聞「デイリー・テレグラフ」のコラムニスト、アリソン・ピアソン氏は今回のヘンリー王子夫妻の行為はエリザベス女王に対する「侮辱」と表現した(9日付)。

「お騒がせ夫婦」のレッテルを貼られていたメーガン妃・ヘンリー王子夫妻

デイリー・メール紙(9日付)は「一体なんてことをしてくれたんだ」という見出しを付けた(BBCニュースサイトより)

メディアによる夫婦への批判は今回が初めてではない。

2018年5月、ウィンザー城で行われたヘンリー王子とメーガン妃の結婚式に際し、多くの国民がアフリカ系メーガン妃が王室に入ることを「イギリスの多様性の象徴」として受け止め、祝福した。

しかし、いつしか夫妻には「自分勝手」、「お騒がせ夫婦」というレッテルが付くようになっていく。

王子夫妻はウィンフリー氏の番組で、米国移住は「執拗なメディア攻勢が理由の1つだった」と述べた。実際、二人の交際が公になったときから、メディアはメーガン妃の一挙一動を報道。米国人の元女優という経歴もあって、あこがれの対象とする一方、「アフリカ系」「新参者」という側面を否定的に描くこともあった。

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