今朝17日の新聞朝刊で「ワクチン35万人接種」という記事に目が止まりました。接種開始1ヶ月でこの数字。なんだか情けなくなりました。
というのも、今朝、たまたま目にしたNew York Timesのワクチン接種状況をまとめた記事に圧倒されたからです。
それによると、米国では1日あたり、平均で244万回(人)の接種が行われており、これまでに少なくとも1回の接種を受けた人は7210万人(人口の22%)にのぼるそう。このうち、1回で済むジョンソン&ジョンソンのワクチンと、ファイザーとモデルナの2回目も接種して、完了した人は3900万人に達しているとか。
で、このペースで接種が進めば、8月7日には、少なくとも1回接種のアメリカ人は90%に達する見通しになる、とCDC(疾病管理予防センター)のデータを基にしたNYTのグラフにあります。
米国の専門家によると、コロナウィルス の感染を食い止める集団免疫を獲得するには、人口の 70-80%が耐性を持つ必要があるとの説を、NYTは紹介していますが、それが仮に正しければ、夏には米国のコロナ感染は激減することになるのかもしれません。
一方の日本、今朝の読売朝刊には、一般の人に先駆けて接種が始まる高齢者についても「高齢者全員の接種が完了するのは9-10月の見通しだ」とあります。だとすれば、一般の方々の接種が終わるのは年を跨ぐことになるんでしょうね。
このところ、1都3県の緊急事態宣言を解除するかどうかが議論になっていましたが、日本でワクチン接種による集団免疫獲得の時期が遅れれば遅れるほど、何度目かの緊急事態宣言の発令が目に見えるようです。「情けない」とはそういう意味です。
が、しかし、米国もいいことばかりではありません。トランプ時代に進んだ民主党、共和党の極端な分断化が尾をひいていて、先のCDCのデータを基にしたグラフのようには行かない可能性があるのです。
これは今月 4-8日に行われた米Yahoo!News/YouGovの世論調査で、まだワクチン接種を受けていない「2020年選挙でトランプに投票した人」のうち、なんと50%が「決して(Never)ワクチン接種を受けない」と回答しているのです。大統領在任時代、コロナウィルスの脅威を軽視するかのような発言や行動を繰り返したトランプ氏の影響が色濃く残っているのでしょう。
バイデンに投票した人で「Never」と答えたのはわずか8%です。しかし全体では未接種の人のうち「Never」は34%、3人に1人ですから、先行きは不安です。事実、KHN(Kaiser Health News)によると、保守色の強いアラバマ、サウスカロライナ、ルイジアナではワクチンの需要が減っているとのこと。この3州はいずれもワクチン接種率が18-20%と全米平均の22%を下回っているにも拘らずです。
そこで、米政府のコロナウィルス 対策を担う米国立アレルギー感染症研究所のファウチ博士はさる14日に、Foxテレビのインタビューに答え、「トランプ前大統領は、共和党員の間での人気の高さを用いて、ワクチン接種を説得すべきだ」とし、「それがGame Changerになる」と指摘したそうです。
是非ともトランプ氏にはGame Changerになって欲しい。でも、日本にはGame Changing(形勢一変)になる要素がないのが、やっぱり情けない。(なお、世界的に見て、日本の立ち遅れはOxford大のコロナウィルス 総合情報サイトOur World in Dataに詳しいです)