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新型コロナで窮状のラブホ経営者がしたためた手記 支援事業からの除外に抱く違和感

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新型コロナウイルスの感染に歯止めがかからない中、ラブホテルなど性風俗事業者に対して行政の支援策が届かない現状は、国の支援事業にとどまらず市町村などにも拡大している。石川県金沢市では2月末、地元のレジャーホテル協会がラブホテル経営の窮状を訴える記者会見を開いた。配布された膨大な資料の中には「元ラブホテルオーナーの手記」もあり、コロナ不況の厳しい実態が浮かんだ―――。

「国が認めないから市も認めない」コロナ支援策

「ラブホテルは社会保障から完全に除外されていて、許認可された旅館業なのに、風俗系の営業という曖昧な基準を持ち出されて銀行の融資も受けられない。国の持続化支給金が対象外になったのを始め、県や市が行う宿泊割引や感染対策支援事業からも除外されている。このままでは経営が持たないという訴えも、無視されています」

金沢市内のラブホテル約10店舗でつくる金沢レジャーホテル協会の高田英治会長は記者会見でそう訴えた。山野之義市長や市議会へは、何度も申し入れしてきたという。

「金沢市に申し入れた後、担当者は“国が認めないから”ラブホテルに宿泊することは観光ではない”と。ある市会議員は“市民の理解が得られない”とコメントしたと、翌日の報道で知った。我々も他の宿泊業者と同様に、雇用維持・感染対策・事業継続といった難題を抱えている。もう黙ってはいられません」

高田さんは、モーターホテル(モーテル)だった創業時代から数えて3代目という老舗のオーナーで、金沢市内で2棟30室余りのラブホテルを経営している。カップル利用をメインとしつつ、近隣の病院や介護施設の職員、長距離ドライバー、女子大生グループと、多種多様な利用客がいたというが、新型コロナで状況は一変した。

GoToキャンペーンのあおりで稼働率は急降下

会見の後日、電話取材に応じた高田さんは、途切れることなく語った。
「20軒ほどある同業ホテルはどこも苦戦しており、休業日を設けたり時短営業をしたりして、ようやく雇用を保っているところもあります。コロナ禍では、客室の温度調整や換気のための光熱費もかかる。たまったものではありません」

そもそも苦境は、昨年2月、新型コロナの感染拡大でインバウンド需要が消滅してから始まった。観光省の観光統計によると、2020年の石川県での外国人宿泊客数は、前年比で81.3%減少。宿泊業界は、国内客の争奪戦の様相となった。

高田さんは語る。
「4〜6月の売り上げは、前年同時期比で4〜6割に落ち込みました。7、8月はなんとか8割程度に戻ったが、10月に“GoToトラベルキャンペーン”と、“五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン”が始まると月ごとに落ち込み、年末年始に半減。正価で勝負するラブホテルからは客足が遠のきました」

「V-RESAS、観光予想プラットフォーム推進協議会」

宿泊者数の推移を見ると、石川県では昨年10、11月以降はV字回復を見せているが、高田さん経営のラブホテルでは、それに反比例するかのように急降下した。

また、高田さんは宿泊関連施設への支援策も「ラブホテル外し」のまま始まったと指摘する。

下記はその一覧だが、仮にすべての支援策や税の減免を受けることができたら、計1300万円をまかなえたという。支援策の「格差」が、そのままホテルの集客力や施設整備の「格差」に繋がった格好だ。

ライバルは「リモートワーク応援デイユース」

「宿泊業というより風俗業」と、行政からカテゴライズされるラブホテル業界だが、利用者側はその垣根に関係なく選択しているのが現状だ。そんな現状の中、「最大の要因は、デイユースというライバル」だと、高田さんは語る。

確かに、コロナ禍では、デイユースプランを積極的に打ち出すシティホテルが増加。ラブホテルは、デイユース・非対面・低料金が特徴だが、新型コロナ感染防止として、ロビーに自動支払機や自動チェックインアウト機があるビジネスホテルも好まれている。一般ホテルの機能が限りなくラブホテル化している。

ちなみに、検索サイトで、金沢市内で1室2名の「デイユース・日帰りプラン」のあるシティ・ビジネスホテルを検索すると、結果は20数軒。プラン名も、「石川県民限定×テレワーク応援プラン」や「湯ったり日帰りプラン」や「日帰り・お昼寝プラン」などで、料金も4時間滞在で税込3000円から、15時間滞在で同6500円まで幅広い。

「民泊やゲストハウス(バケーションレンタル)の非対面チェックイン・システムは、フロントがなく暗証番号だけでも入室できるところも目立つ。そうした新しい業態への規制はないに等しい。ラブホテルは“犯罪の温床”などと言われてきたことから行政支援から除外されていますが、業界をこの際に壊滅させたいのかと思ってしまいます」

高田さんは、国会議員に加え、総務省や経産省などの官公庁に100件以上の申し入れをしたという。それでも、「私以上に陳情を続けても、経営から手を引かざるを得なかったオーナーもいると聞いて、溜め息が出ました」

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