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  • ロイター
  • 2021年03月16日 15:35 (配信日時 03月16日 15:31)

アングル:日本産酒類の輸出が伸長、「日本酒」がけん引


[東京 16日 ロイター] - 日本酒をはじめ、日本産酒類の輸出が政府の後押しもあって軒並み好調だ。新型コロナウイルスの影響で、国内では外食向けのアルコール需要が落ち込む中、繊細なモノ作りが評価され、海外で評価が高まっている。けん引するのは日本酒だが、世界5大ウイスキーと呼ばれるまでに浸透したウイスキーに続けとばかりに、近年ではジンの輸出も広がっている。

<日本酒、アジア向けの輸出増加>

    「例年より輸出の問い合わせが増えている。特に香港からが多い。高額品の輸出も増えた」と、日本酒専門店「さくら酒店」(岐阜県大垣市)の駒澤健代表は話す。

    凍り始める一歩手前のマイナス5℃が、日本酒を保管する上でのベストコンディションとし、基本的にマイナス5℃で品質管理をする「さくら酒店」は、大学在学中に日本文化を意識し、日本酒を世界へ発信するために駒澤氏と近藤悠一氏の2人で立ち上げた店舗のない酒販売店。現在、12カ国への輸出実績を誇る。

    新型コロナの影響で、外食機会が激減し、日本酒の国内需要は大きく落ち込んでいる。さくら酒店が取引している蔵元からも「やはり売り上げ減少・在庫過多で厳しいという声は良く聞いている」ことから、「輸出でなんとか蔵元さんたちの力になりたいと思い、積極的に取り組んできた」という。   

    日本国内では、日本酒やビールの漸減傾向が続き、需要は缶チューハイなどに流れている。しかし、海外市場に目を転じると、「日本酒」が日本産アルコールの輸出をけん引している。

    財務省の貿易統計によると、2020年の日本酒の輸出総額は前年比3.1%増の241億円となり、11年連続で増加。2010年から10年間で、輸出量は2倍、金額は3倍に膨らみ、単価の高い商品を求める動きが出ているという。数量では米国がトップではあるものの、金額では、中国、香港、シンガポールなどアジアが拡大している。特に20年は、新型コロナの影響が比較的少なかったアジア向けの輸出が増加した。

    政府は、2025年に600億円規模の輸出を目標に掲げている。

<ウイスキーに続け>

    ジャパニーズウイスキーの輸出市場を開拓したサントリーは、近年、国産ジンの輸出にも注力している。海外でも健康志向などを背景にジンへの関心が高まっているという。

    桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子ーーー。日本ならではの六種のボタニカルを使用した国産ジン「ROKU」。2017年に輸出を開始し、20年には27万ケース(前年比17%増)となった。現在、プレミアムジンカテゴリーで世界3位、5%のシェアを占めている。

ROKUのブランド担当者は「ブランドコンセプトの『四季』や『旬』はとりわけ日本の魅力と感じてもらえるため、海外でのコミュニケーションでは特に意識をして伝えるようにしている」と話す。

    今年、大阪工場に瓶詰ラインを増強し、国産ジンの生産能力を倍増させる。32億円投資し、秋に着工、22年に稼働予定。サントリースピリッツ(東京都港区)の神田秀樹社長は国内・輸出を合わせて「2020年は15億円だった売り上げを21年は30億円、24年には100億円の市場にしたい」と拡大ペースの加速を見込む。海外市場についても、これまでの欧米に加え「アジア全般でチャンスがある」と意気込みを語る。

<輸出拡大余地>

「将来に向け、さらに伸長に拍車かかるのではないかと期待している」ーーー。菅義偉首相が施政方針演説の中で、日本酒や焼酎の国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録を目指すと表明したことを受けて、業界では、国際的な認知度の高まりに胸を躍らせる。

実際、伸びているといっても、輸出は、日本酒生産量の5%にすぎず、拡大余地は大きいといえる。駒澤氏も「いまだ海外では、熱燗で飲むと悪酔いする酒、焼酎と勘違いしているなど、負のイメージを持っている方は多い。しかし、近年はフランスをはじめヨーロッパのワイン大国でも日本酒のコンペティションが開催されるなど、確実に市民権を得られ始めている」と、コロナ後の伸長にも期待を寄せている。

「ジャパニーズウイスキー」の定義が定められ、4月1日から運用が開始される。業界団体の自主規定であり、罰則はないものの、輸入したウイスキー原酒を日本で瓶詰めしただけの商品を「ジャパニーズウイスキー」として販売することには抑止力となりそうだ。こうした「日本産」のブランド作りも着々と進んでいる。

2020年の酒類輸出は711億円で、9年連続過去最高を更新。酒類を含む農林水産物・食品は1.1%増の9223億円となった。政府は、2025年に2兆円、30年に5兆円の農林水産物・食品の輸出目標を掲げており、現状では開きがある。予算措置や規制撤廃などを含めて、輸出支援を強化していく方針だ。

(清水律子 編集:内田慎一)

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