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債券先物は天井を付けたのか

拙著「超低金利時代の終わり [Kindle版]」でも指摘していたが、どうや円安・株高の流れがここにきてやっと強まってきたようである。そしてさらに、史上最高値を更新した債券先物が1文新値を付けた可能性が出てきており、債券相場の流れそのものに変化が生じる可能性が出てきた。つまり債券相場は天井を付けた可能性がある。

ちなみに1文新値とは前回の高値を僅か一文(その相場の最低単位)上回ったところで上昇が止まってしまうと、その後、売り圧力が強まるので注意しろという格言である。1文としているが、かならずしも1文というわけでなく、語呂が良いのでそういう格言となったとされる。

12月11日に債券先物の12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。2003年6月11日につけた高値の145円28銭から、わずか2銭だけ上回った。そのあと期近物が3月限となったことも手伝い、円安・株高や米債安などから相場そのものも下落し、どうやら債券先物が1文新値を付けた可能性が強まった。

このようにチャート上でも日本の債券相場が高値をつけて反落する可能性を示唆したが、円安株高だけではなく日本の債券に対する売り圧力が強まりそうな要因もいくつか出てきている。

そのひとつとして、欧州の信用不安の後退に伴う安全資産への資金シフトの反転である。米国債、ドイツ国債、英国債もここにきて下落基調となっている。このままトレンドが変化するかどうかはもう少し様子を見る必要があるが、それでも市場での不安心理がかなり後退してきていることは確かであろう。

12日のFOMCの結果を受けて、米債が売られたことも注意すべきものとなる。年末に終了するツイストオペの代わりに毎月450億ドル規模の米国債購入を決定したが、これは市場の予想通りであり、米債買いとはならなかった。そして、少なくとも2015年半ばまで低金利を維持するとの文面が声明文から削除され、その代わりに、米失業率が6.5%を上回り、向こう1~2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利を低水準にとどめる、という数値のガイダンスに変更された。これは予想外のものではあったが、これについても将来のインフレ等も意識されたのか、米債の買いとはならなかった。

19日、20日の日銀の金融政策決定会合の結果を受けての円債の動きも同様なものとなる可能性がある。16日の衆院選挙の結果、自民党政権が返り咲く可能性が高まった。安倍首相となれば、公約通り日銀への緩和圧力を強めることが予想され、財務相などの人事次第では、債券市場はむしろ警戒感を強めることも予想される。その上で、日銀が何かしらの緩和策を決定した際、これは好材料と判断されるとは限らない。もちろんそれを受けての為替や株の動き次第とも言えるが、金融緩和イコール債券買いとはなりづらいのではなかろうか。

さらに自民党政権となれば、列島強靱化対策と称して積極的な財政政策が取られることも予想される。補正予算に絡んでの国債の増額もありうることで、超長期ゾーン主体に売り圧力も掛かりやすくなる。

ただし、14日に発表された日銀短観では大企業製造業DIがマイナス12と大きく悪化した。これはこれで日銀の追加緩和観測を強めることにはなるものの、日経平均とこのDIの動きにはトレンドとして連動性もあることが指摘されており、円安による株高効果がどの程度まで持続可能なのか、このあたりが不透明となる。また、景気そのものの悪化も無視できない。

さらに欧州の信用不安が新たな材料により再燃する可能性もないとはいえない。米国の財政の崖問題もいまだ未解決である。日銀による国債の買入などから国債の需給面についても問題はない。しかし、それでも新政権に対する不安などが新たな材料となれば、超低金利状態となっている日本の長期金利がある程度上昇してくる可能性は否定できない。

来週は18日に20年国債の入札が予定されている。2003年6月のVARショックは6月17日の20年国債の入札がきっかけで起きている。今回も超長期債の動向に対してかなり神経質となっていることから、この入札の動向も念のため注意しておく必要がある。

キンドルの電子書籍にて書き下ろしました「超低金利時代の終わり-そして、日銀による国債引受のリスク-」(定価300円)にも日銀の国債引受のリスクについて書いてます。是非、読んでみてください。

「超低金利時代の終わり-そして、日銀による国債引受のリスク-」

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