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香川県ゲーム条例のパブリックコメントで偽造? パブコメの意味から考えよう もともとパブコメには限界がある

香川県のゲーム条例について、8割方が偽造? というニュースがありました。

高校生が告発状「偽造だ」 ゲーム条例めぐる意見公募で」(朝日新聞2021年3月15日)

「告発状では、県議会が昨年3月に実施したパブコメの賛成意見は、ネットで短時間に連続的に投稿されたり、同じ誤字脱字があるものが大量に含まれたりしており、「賛成意見が圧倒的であるように偽造した可能性が高い」と主張」

 これをみて思い起こすのは、高須院長たちが始めた愛知県知事のリコール署名の偽造問題です。

 これは明らかに他人の署名を偽造したものであり、公職選挙法に違反する立派な犯罪行為です。

 リコールに必要な法定署名数が決められており、リコールの対象になった知事の身分にも影響するものですから、署名偽造は極めて悪質なものです。

 これに対してパブリックコメントは住民投票ではありません。多いか少ないかで採否が決まるものではなく、おそらく県外からも投稿はできるのでしょう。

 私も以前、川崎市でとんでも条例が審議されるということで札幌市民として投稿しました。

 投稿された意見の中で参考になるものは取り入れ、その反対意見や修正意見がもっともであれば、その部分は修正し、というように広く意見を募集するのがパブリックコメントです。

 一部にはこれが住民投票のように誤解している向きもありますが、それは違います。

 もちろん、それで反対が多ければ自治体側でその取り扱いを検討することになりますが、反対が多いというだけで撤回したりする性質のものではありません。

 特に以前、パブコメに対して行われていたのは、とにかくみんなでパブコメに投稿しようという運動です。そこではひな形も作成されます。名前だけ変えて利用すれば簡単に投稿ができるというもので、賛成派、反対派それぞれが「投稿合戦」ということになっていました。

 営業規制に関わるときなどは業界団体が動員を掛けた結果、桁違いの投稿になったということもありました。

 投稿を受ける役所の側でも、コピペであれば1通としか数えないと釘を刺したりという具合で、名前が違っても同じ内容のものは1通としかカウントしないという扱いは、パブコメという趣旨に反するとは言えません。単純に賛成が多いか反対が多いかではないからです。

 業界を動員したようなものに普遍性があるとは思えませんし、それは反対する側も同じことが言えるからです。

 通常、こうしたパブコメに対しては、寄せられた意見について、個別に応答し、例えば、「~と修正しました。」とか「~という理由で修正の必要はないと判断します。」とかです。

 そういった観点からは数はあまり関係がありません。

パブリックコメントとは何か、黒岩知事の不快感とは?

 その意味ではパブコメという手法そのものに限界があるのではないかと思われます。要は、行政(自治体)側が広く意見を聞いたよ、という体裁を整える以上の意味がないからです。

 香川県のゲーム条例に同じような文体の投稿がたくさんあったということですが、パブコメの実態からみれば別に不思議なことでも何でもありません。パブコメは数の問題でも何でもないし、何度でもいくらでも投稿できる仕組みだからです。

 これを偽造だと大騒ぎしている代理人である作花知志弁護士はパブコメの意味をわかっているのでしょうか。

2021年3月15日撮影

 ここで問題なのは、「偽造」かどうかではなく、特定の複数の誰かがまとめて投稿しているだろうということは県の担当者であればわかっていただろうということです。ただ単純にすべてを賛成にカウントして「圧倒的」に賛成が多いと報告したら、これは問題です。先にも述べましたが役所側は、同じようなコピペは1通としてしか数えないと言っているところもあるようにそれをどのように扱うかは、役所の裁量があります。公職選挙法に規定されたリコール署名とは全く位置づけが違います。

 但し、正確に報告する必要はあります。従って、県の担当者としては、その送られてきたパブコメ内容の実態も含めて報告しなければならない責任がありました。

 香川県はその責任を果たしていないことになります。

 あともう1つ重要なのは、その重複投稿を誰が行ったのか、です。

 これが条例を通すために県職員が組織的に行っていたら、それ以上に大問題です。

 県側は少なくとも県職員による組織的なものなのかどうか、その点は調査すべき責任があります。少なくともそれが実態を反映していないような賛成多数で報告してしまったのですから、少なくとも自作自演でないことを自ら明らかにする必要があります。

 もちろん、パブコメの意義からすれば、これによって条例の是非や承認の効力に影響があるわけではありません。しかし、その手続の適正さに疑問符がついてしまうので、その点の県の責任は大きいと言えます。

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