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米国もデフレに突入したのか?

 米国の11月の消費者物価指数が発表になりました。何と季節調整済みの前月比でマイナス0.3なったのだ、と。
 どう思います?

 私がそのような質問をしても、どう答えていいのやらという顔をした人が多いでしょう。では、リフレ派の人々はどう反応するのでしょう或いは日銀叩きの好きな人は?というのも、この5年間ほどの日本の消費者物価指数の伸び率の推移は、次のようなものにしか過ぎないからです。

 2008年度:プラス1.1% 2009年:マイナス1.7% 2010年:マイナス0.4% 2011年:マイナス0.1%

 確かにリーマンショックが起きた翌年の2009年の物価の下落率は1.7%と、やや大きい。しかし、その後は、マイナス0.4%からマイナス0.1%に。そして、今年度に入ってからもほぼ似たような動きで、横ばいないしやや低下といった状況なのです。

 はっきりと言いたい。デフレスパイラルだとかいって国民を不安に陥れる評論家がいるが、物価が下落しているなんていったって、下落率はマイナス1%にも満たないのです。つまり、その程度の物価の下落率では、消費者がいずれ物価は下がるからと考え、消費を先延ばしするなんてことはない。

 要するに、デフレスパイラル論なんて眉唾なのです。だとすれば、仮に物価が年率2~3%上昇するようになったからといっても、消費者、物価が上がらないうちにモノやサービスの購入を早めようということにもならないでしょう。

 そう思いませんか?だいたい、消費者が物価に敏感なのだというのは、作られた話だと思うのです。よく言うでしょう主婦は一円でも安いものを求めて真剣に買い物をするなんて。だったら言いたい。それなら何故1000円前後のウィスキーや日本酒の値段が、店によって100円や200円も違うことが普通に起きるのか?

 もし、消費者の大多数が真剣に安いものと求めているとしたら、そうして100円も200円も高い価格を付けている店はすぐ淘汰されていいはずです。確かに、1円でも安く買い物をしたいという主婦が相当いるかもしれないが、しかし、全員がそれほど真剣ということではないのです。

 誤解のないように言っておきますが、個人の酒屋さんで売っているお酒の値段が多少高いのは分かるのです。私が言っているのはそうではなく、ダイエーなどの安売りが得意の筈のスーパーでも、お酒の価格が高いところがあることを言っているのです。

 いずれにしても、すっかりデフレスパイラル論が頭に刷り込まれて、とにかく物価を上げるのが先決だと思い込んでいる政治家のなんと多いことか。

 話は米国の消費者物価に戻ります。

 前月に比べて0.3%の低下しているんですよ。まだ驚きませんね。前月に比べ0.3%低下したということは、これ、年率に直せばマイナス3.6%になるです。つまり、物価の下落率が、日本よりも酷い状況になっているとも見えるのですが‥

 でも、だからと言って、米国自身もそれほど気にはしていないようなのです。

 何故か?

 理由は二つあると考えていいでしょう。

 それは、確かに米国の11月の消費者物価が前月に比べ0.3%のマイナスになり、そして、仮にそれ年率3.6%になったとしても、それあくまで11月だけの現象で終わる可能性があるからです。つまり、一過性の現象もしれないから、もう暫く様子をみて判断する必要があるだろう、と。

 つまり、前月比の数値に一喜一憂することは適当ではない、と。

 そして、日本はそのような考えに立って、前月比の数値よりも前年同月比の数値を重視してきているのです。(但し、日本のように前年同月比の数値を重視しすぎると、今度は、変化が起きていることに気付くのが遅くなってしまうこともあるので、注意を要します。つまり、11月の数値を10月の数値と比べるのではなく、前年の11月の数値を比べるべきである、と。

 そして、今回の米国の物価指数の上昇率も、そのようにして眺めてみると、1.8%の上昇になっており、全然デフレが問題になるような状況ではない、と。

 理由はそれだけではありません。

 というのも、今回このように前月比で物価指数が大きく落ちたのは、ガソリン価格が大きく落ちたためだからです。従って、全体的にモノの価格が上がっているのではなく、あくまでも特殊要因のせいである、と。

 ということで、米国がデフレに陥ったなどと判断するのは早合点もいいところなのですが‥我々は、今回のこのニュースから大事なことを学ぶべきだなのです。

 ロイター、次のように報じています

 「インフレ圧力が抑制されており、連邦準備理事会(FRB)に超緩和的な金融政策を維持する余地
があることを示している」

 つまり、米国の場合もインフレの恐れがないから、超緩和策をいつまでも継続することができる、と。もし、これでインフレでも起こったら、緩和策を転換せざるを得ないFRBとしては完全にお手上げになってしまうのです

 翻って、日本はどうでしょう?

 日本だって同じなのです。いつまでもたってもインフレが起きないので、どれだけでも日銀に対して金融緩和の催促ができる、と。或いは、デフレ脱却をしないのは、日銀のせいだと批判することもできる、と。

 もし、日本でインフレが始まったらどうなるのでしょう?

 そうなれば、流石に金融緩和策はストップせざるを得なくなるのですがその時に、もし景気がよくなっていなければ?

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