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ニュースに支払いを

ネットのニュースサイトに行けば多くのニュースを無料で瞬時に見ることができます。ただ、ポータルサイトのニュース欄に無数存在する記事の多くは2次情報、3次情報でオリジナルのニュースはごくわずか、また、オリジナル記事が掲載されてもその一部しか見られないこともあります。

大手報道各社の記事は概ね有料となっており、「ここから先は有料です」となっていることが多いかと思います。私が記憶しているのは他の報道機関に先駆けて日本では日経が電子版を出した2010年、その行方を憂う声もありましたが結果としてとても成功したモデルでありました。同社の経営も黒字であり、うまく機能しているということでしょう。

ただ、一般紙の方はそうではないようです。その差は何なのでしょうか?

日経がビジネスや経済専門メディアであり、お金を払ってでも読まざるを得ないということかと思います。一方、日本ではメディアは無料であるという「当たり前」があります。それを植え付けたのがテレビ。海外では多くが有料有線放送でパッケージからどれを選ぶ、という形だと思いますが、日本ではコンテンツは無料であるという認識が強く維持されています。

日経が有料電子版の購読者の分析をしているのですが、個人で購読している場合、見事に「年寄りほど金を払わない」という分析結果が出ています。グラフなので厳密な数字は読み取れませんが、有料購読者は60代が1万人半ば、50代が4万人程度といった具合で年齢が若くなるほど支払者が増え、20代が10.5万人程度と説明されています。

これは若い世代では音楽やEブックなどのダウンロードで著作権に対する支払いという認識が当たり前になっていることが大きいと思います。我々の世代もかつてはレコードやCDを購入し、紙の書籍も当然、お金を払っています。また新聞だって昔は自宅で購読して月に5000円前後払っていたはずです。

ところがインターネットができて情報が無料になったと勘違いされたのです。幸いにして音楽は当初から違法ダウンロードに対する厳しい世間の目があり、有償化に踏み切れました。私の想像ですが、アーティストたちが「こんなに一生懸命やっているからお金払って」という無言の訴えが共感を呼んだのだろうと思います。

ところがニュースの記者となるとそうはいきません。まず、記事も署名記事とそうでないものがあります。私がよく読む日経や産経は最近は「誰が書いたか」で記事のトーンがわかるほどになってきましたが顔はあまり分からないのでアピール度は足りないのかもしれません。

一般記事や芸能ネタ、スポーツ系も署名記事にして記者のクオリティを上げる努力をすべきでしょう。つまり、記事を作品化させるのです。切り口や追及度、正確さ、表現力などで淘汰しても良いと思っています。(記者会見では取材側が100人を超えるような時もあるようですが、無意味と申し上げているのは本当に面白い記事が書ける人は限られているということです。)

今回、オーストラリアでのメディアへの支払い義務化の動きはカナダや欧州のみならず、アメリカでも法制化の準備が進んでいます。日本もいやおうなしにその洗礼を受けるはずです。現時点での支払い義務化に伴う課金制度の計画はまた幼稚な段階に留まりますが、いずれ、サブスクリプションサービスとして月いくらで一定のメディアを読めるということになるでしょう。

日本では必ず裏口を見つける輩がいて「こうやれば無料で読める」と豪語しそのやり方が伝授されるのですが、時代は変わったということを認識すべきでしょう。

以前、私が支援した事業では日本のテレビ番組を録画したものをあるところから購入し、それをDVDに焼き付けて販売していました。私は当初からそれが嫌でした。あるとき、高校のクラスメートで某キーステーションのTV局に勤める男に「海外でこんなものを売っているんだけどお前の放送局、認識しているか?」と聞いたところ、「そんなものは特例を除き存在しない」と断言されました。それで背中を押され、最終的にDVD販売を止めました。惜しむ声があったもののこの業務ができないのは当然であります。

ニュースに支払いを、となると一番困るのはポータルサイトの運営者かもしれません。なぜ、ネットを見るのか、といえばニュースが引き金の人は多いでしょう。それが記事の初めだけしか読めないとなるとさて困りますね。

ところで私のこのブログ、日々の内容に賛否はあるもののずっとお読みいただいている方はかなり多いようです。私はブログというよりエッセイに近いのかと思っています。ある事実やニュースをベースに自分の経験、体験をもとに読み解いていくというものです。これだと記事の流用に関して最低マナーを守っていれば著作権侵害とはならないでしょう。

日経が「THINK」という形でニュースに対して識者のコメントを掲載しています。日経ビジネスはもっと広範なコメンテーターがいて私も時折コメントを入れています。実は記事本体よりこのコメントの方が面白いというのはアプリ「NEWS PICK」がビジネスマンからもてはやされており、多くが記事よりもコメントを見るという人が多いのです。

つまりある事実や提案、提唱を受けて人々がどう考えるか、しっかりした文章と説得できる内容のコメントが読者の興味の主流になってきたのではないかと感じる今日この頃です。

では今日はこのぐらいで。

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