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錦戸亮が語る「さすらいの道」

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錦戸亮(Photo by Seitaro Tanaka, Styling by Norio Honda, Hair and Make-up by Jun Matsumoto)コート ¥73,000、カーディガン ¥24,000/ともにNEIGHBORHOOD(NEIGHBORHOOD HARAJUKU TEL: 03-3401-1201)、その他私物

錦戸亮が2ndアルバム『Note』を引っさげ、全国10カ所12公演のホールツアーを4月からスタートさせる。歌い手としていま何を考えているのか、錦戸の心中に迫った。

前の事務所から数えると芸歴20年以上。表舞台に立つ錦戸亮のキャリアは一見眩しく輝いているが、ギターを手に活動していたグループ時代は派手なソロというよりサイドギターに徹することが多く、さらに自身の作詞・作曲もコツコツと地道に続けるなど、職人気質な一面もある。

独立後、歌い手としてお客さんに何を届けられるか、どうしたら楽しんでもらえるか、そんな風に自問自答を繰り返しながらエンターテインメントの世界を漂う錦戸亮。そんな彼はこの先どこへ向かうのか?(Rolling Stone Japan vol.13掲載)

赤西仁との関係性

ー赤西仁さんとのYouTube番組『NO GOOD TV』や、2人の共同プロジェクト「N/A」のアルバム『NO GOOD』もそうでしたけど、ここ1年くらいの錦戸さんは新しい扉を次々に開いてるなぁと思うんですが、ご本人としてはどうなんでしょう?


錦戸:大きな会社にいてその中のグループに所属していた時は、役割分担みたいなものを考えたりしていて。いっぱい喋る人がおったら、全然喋らん人がいてもいいじゃないですか。だから自分は寡黙でカッコつけてる風に見られがちだったのかなと思います。

仁の場合は元から完全にカッコつけてると思いますし、それが普通なんでしょうけど(笑)、自分の場合は喋らないようにしていたら、そういう風に見られてしまった……みたいな。素を出すことがいいことなのか、もっとミステリアスな感じの方がいいのかは分からないですけど、カッコつけることをカッコいいと僕は思ってこなかったので。

今は、自分の責任の下でいろんなことができるし、自分がどう見られようと自分次第。すごくやりがいも感じられるし、誰がどこで動いているかが見えやすくなりましたね。仁とはお互いに言いたいことを言える関係だと思います。フェアでいれるっていうか。いっつも飯奢ってる友達とかって、どうしても自分が優位に立っちゃうじゃないですか。だけど彼は毎回割り勘してくれるイメージ。

あと彼と一緒にやっていて、音楽制作でも「ああ、そここだわってやるんや」って驚くことがあって。僕自身、彼とN/Aで一度制作できたことによって、今回の2ndアルバムを作る際、これまで気にしていなかったところにもこだわれるようになったかもしれないです。

ー今回の錦戸さんの2ndアルバム『Note』に関して、赤西さんは何か携わってるんですか?

錦戸:前作(『NOMAD』)の時は曲が出来上がる度にデモを送ってたんですけど、今回は一曲だけです。曲の英詞を手助けしてもらって。

ーN/Aでのコラボの影響はありました?

錦戸:結果的にキャンセルになりましたけど、もともと今年ハワイで2人でライブをする予定があって。2人でどうやって(ライブを)成立させんねやろっていうのを念頭に置いて作ったアルバムがN/Aの『NO GOOD』だったので、あまりそこからの影響はないかもしれません。やっぱり1人の方がラクっちゃラクやけど、自由がありすぎるし、どっちがいいのかはよくわかんないですけどね。

自分をさらけ出す音楽

ー10月の武道館の無観客配信ライブ、2日目ラストの「Tokyoholic」「ノマド」の並びが印象的でした。バンド演奏のエネルギー感で高まったかと思うと、最後の曲ではストリングスを入れたアンサンブルで壮大な響き、そして歌詞の「どこまでも行こう」の一節がこういう状況だからということもあり、心に刺さりました。錦戸さんにとっても特別なライブの締めくくりだったと思いますが、どういう意図でこの2曲を?


錦戸:正直、音楽で何かを伝えたいっていうのはあんまりなくて。雑な言い方かもしれないですけど、1時間半ライブを観ていたその「時間」が楽しかった思い出で終われたなら、もうそれが全てやと思うので。自分自身もリスナーとして思うんですけど、何かを感じたいからじゃなくて、直感的にカッコいいと思うものを聴いて、そこから先に意味を見いだすというか。

だから、届けたいとかそういうことよりも、僕はこういうのがカッコいいと思うけど、どうですかっていう提案をしているだけですかね。僕自身、好きやからってだけで音楽を聴きますし。なんで好きかを言葉で説明しろって言われても難しいときももちろんありますし、「なんか好き」っていう感じさえ思ってもらえればいいかなって。



ー例えば、エド・シーランは「自分は皆が考えていることを歌っているだけで、自分の気持ちを歌ってるわけじゃない」っていうタイプの歌い手の一人だと思うんですけど、錦戸さんもどちらかというそういうタイプ?

錦戸:いやー、そんなカッコよくないです。もっとグラグラしてると思いますよ。シンプルに「僕は今こういう音楽が好きです! こういう音楽がカッコいいと思います!」っていうのを提案してるだけかもしれないです。アルバム作る時にコンセプトから決めて、それに沿って曲を作っていく人もいると思いますけど、僕はもっと自然な気持ちでやってるというか。そん時の自分をさらけ出す、みたいな感じに近いかもしれないです。

ー錦戸さんがその曲にどんな想いを託したのかは別にしても、曲を作る、歌う、楽器を鳴らすっていう、それ自体は錦戸さんにとってすごく大切で尊いものであるわけじゃないですか。

錦戸:そうですね。以前おった場所やったら、同じ日にバラエティやったり歌やったり、違うジャンルの仕事をすることもあって。だけど今って、アルバム出してツアーやったりファンミーティングやったり、歌の活動しかしてない。仕事という意味で、コロナ禍で自分に何かできることってなったら、曲を出して何か発信し続けんと、とも思えますし、今見せられる自分の表現としてはこれしかないわけですから、ここでできるもの全てを捧げるような気持ちです。

ビビりなんで、一回引いてしまう

ー音楽の領域だけにとらわれずに、本来はもっと幅広く活動していきたい気持ちはあるんですか。俳優業とか。


錦戸:どうなんやろ。でも、音楽を作ることは常にやっていきたいなってことですね。

ー武道館ライブやミュージックビデオのメイキングを見ると、カメラの位置や音出しのタイミングなど、お客さんにどうやって楽しんでもらうかという意識を常に高く持ってる人なのかなと思いました。

錦戸:そうですね。もちろんこうなったらよくなるんじゃないかなってことは提案しますし、逆にプロの方に提案されて、そっちの方がカッコいいなって思うこともあります。でも、自分が試してみたいことは全部言いますね。自分がどう見えるかよりも、全体として俯瞰で見た時に成立している方がいいかなと思います。主観だけで成立する強さもあるとは思うけど、僕はちょっとそのへんビビりなんで、一回引いちゃいますね。



ーでも引いた時に見えてくる「強さ」みたいなのもありますよね。前へ前へっていうだけではなく。

錦戸:たぶん性格でしょうね。あと、もしかしたら自分の中で確信に変わる何かがあったら押し通せるのかもしれないですけど、まだそこまで自分の中で軸になるものって見えていない。まだ独立して2年目なので、何を出して何を引っ込めればいいのかって、よく分かってないのかもしれないです。

ー武道館1日目のメイキングで「最初はルーパーを入れてやろうとしたけど、やるなら裸一貫でやらなあかん」って語ってましたけど、あの日は本当にギターと歌だけで勝負しましたよね。

錦戸:めちゃめちゃビビってましたから(笑)。まだ自分では映像で見れてないんですよね。「うわ、また間違えてる」とか、どっかで気にしちゃうと思うんです。別にお客さんからしたら少し間違えていようが、そこまで細かく見ないとは思うんですけど、自分的には「もっと練習しないと」って思うような内容やと思うんで、絶対。それは全然恥ずかしい時間でもないし、間違えたのも俺やし、そこはしょうがないって思ってるんですけど。アルバムが完成してからゆっくり(映像を)見るつもりです。

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