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「東京集中では日本は持たない」石破茂氏 上 一極集中問題の解決を【菅政権に問う】その9

写真:石破茂元地方創生担当相(著者撮影)

西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・石破氏は「国家的政策として東京に一極集中してきた」と指摘。

・「東京一極集中を続けていたら、日本全体が持たない」とも。

・With or After コロナの東京一極集中、日本の在り方の議論を。

新型コロナウイルスの問題は依然としてあるものの、ワクチン接種も始まり、収束に向けて明るい兆しが見えてきた。With or Afterコロナの新しい社会のあるべき姿を模索するべき時だろう。

なかでも、東京の一極集中問題をどうするのか?

東京一極集中問題について有識者に聞く企画。初陣はやはり、初代地方創生担当大臣の石破茂衆議院議員に語ってもらった。

■ 一極集中は「国家的な政策」

石破さんは

「国家的な政策として東京に一極集中をしてきた」と語る。

どういうことか?

石破さんは歴史的な視点を提示する。

一極集中は自然現象でなく、人為的に選択したもの。江戸時代、徳川幕府は江戸に人口が集中しすぎないような施策を考えた。キーワードは『天下泰平』だった」。

天下泰平のためには中央と地方が絶妙なバランスを取る必要があり、ヒト・モノ・カネの流通を制限した。馬車を作ってはいけません、大型帆船をつくってはいけません、大きな川に橋をかけてはいけません、というのはその例だ。こういった制限の中で265の藩がそれぞれ独自の経済、文化、教育を振興する一方、地方が力を持ちすぎないように参勤交代を義務化した。こうして見事なバランスで、地方分権と中央集権を両立した」。

そうした中、黒船が来て、西欧列強と日本は出会うことになる。

「そこで明治維新を経て、国の方針は180度転換した。天下泰平から、殖産興業、富国強兵ということで、『平和な日本』から『強い日本』に目標を転換した。そのためにもっとも効率的なのは首都一極にヒト・モノ・カネを集中させること。これにより、明治維新後、たった30年で日清戦争に勝ち、たった40年で日露戦争に負けないですみ、70年でアメリカと戦争するまでに成長することができた」。

つまり、東京一極集中は近代日本を形成する富国強兵政策の大本となる、支えとなる政策的な方針だったということだ。こうした歴史的背景を踏まえる必要があるだろう。

東京一極集中が極端に進んだ状況、驚くべきデータがここにある。明治時代の人口をみてみよう。明治6年、1873年の人口は今の都道府県で見ると以下のようになるのだ。

▲図 1873年(明治6年)当時の各都道府県別人口

そう、東京都は5位。新潟、兵庫、愛知、広島のほうが人口が多かったという。東京都は江戸時代から人口が圧倒的に多かったわけではなかったのだ。

■ 一極集中と「サクセスストーリー」

さらに石破さんは、社会を支える価値観の転換を指摘する。

「一極集中を極端に進めると同時に、『都で立身出世して、故郷に錦を飾る』というサクセスストーリー(成功物語)を作り上げた。江戸時代には、江戸にいって出世するという価値観はなかった」。

江戸時代には「江戸で出世」という価値観はなかったというのは、考えてみれば納得である。

■ 第二次大戦後も変わらないまま来た「価値観」を転換するときは今?

第二次大戦後、国際情勢的な事情もあり、経済復興、高度成長に驀進した中で、日本社会は東京一極集中で進んだ。田中角栄の列島改造論もあり、新幹線、空港インフラ整備は全国に進んだものの、首都機能移転はできなかった。

バブル崩壊、時代が平成から令和にかわっても続いている。幸運もあって経済復興を成し遂げた一方、政治経済システムは大きく変わらない面も多い。野口悠紀雄さんが言う「1940年体制」は今でも色濃く残っている。

「このまま東京一極集中を続けていたら、日本全体が持たない」と石破さんは語る。

Withもしくはafterコロナ、令和の日本社会をどうするのか。新型コロナウイルスを契機に、東京一極集中をはじめ日本の在り方を議論しないといけないときだろう。今のままのモデルでいいとはだれも思っていないはず。

に続く)

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