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菅原一秀議員「起訴相当」議決、「検察の正義」は崩壊、しかし、「検察審査会の正義」は、見事に示された!

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検察審査会が同時に出した「2つの議決」

3月12日、菅原一秀衆議院議員の公選法違反事件の不起訴処分(起訴猶予)に関して、第4検察審査会による「2つの議決」が出された。一つは、(1)申立審査での却下の議決、もう一つは、(2)職権審査での「起訴相当」とする議決である。

申立審査の却下の議決の末尾には、「なお、被疑者に対する公選法違反被疑事件の不起訴処分の審査については、当審査会において、職権で立件し、審査した」と記載されている。

つまり、菅原氏の不起訴処分に対する申立審査は「却下」という結論になったが、それに代えて、同じ事件について、同じ検察審査会が、「職権による審査」(検察審査会法第2条2項3号)を行い、「起訴相当」の議決を出したということだ。

職権審査というのは、極めて異例である。菅原氏の不起訴処分に対して、このような異例の「起訴相当」の議決が出されたのは、菅原氏の事件に対して、東京地検特捜が、極めて不透明な経過で、不当極まりない不起訴処分を行ったことが原因だ。

「起訴相当」議決を受けて、東京地検は、再捜査をした上、刑事処分を行うことになる。再び不起訴処分を行った場合、再度、検察審査会で審査され「起訴すべき」との議決が行われると、裁判所が指定した代理人による起訴(いわゆる「強制起訴」)が行われることになる。しかし、もともと検察は、犯罪事実は認められるが、「犯罪の情状」を考慮して、起訴を猶予するという「起訴猶予」の処分を行った。それが、市民の代表で組織される検察審査会の議決で「起訴相当」と議決されたのである。

議決書には、「被疑事実の中には既に時効が完成したものもあり、順次公訴時効期間が満了するため、速やかに起訴すべきである」と書かれている。議決を受けて再捜査をすることになる検察には、再度の不起訴処分を行う余地はない。元東京高検検事長の「賭け麻雀」の事件の「起訴猶予」処分について検察審査会の議決で「起訴相当」とされたことを受け、検察が略式起訴の方針と報じられているが、菅原氏についても、速やかに起訴せざるを得ないだろう。

菅原氏不起訴処分は、明らかに不当だった

2020年6月30日の当ブログ記事【菅原前経産相・不起訴処分を“丸裸”にする~河井夫妻事件捜査は大丈夫か】で詳述したように、2019年10月の週刊文春の記事が出た直後から、私は、菅原氏の公設第一秘書のA氏と公設第二秘書のB氏の代理人として、文春側や菅原氏側への対応を行ってきた。検察は、不起訴処分になった事件について、証拠も記録も開示しないので、一般的には、不起訴処分の不当性を証拠に基づいて論じることは困難だ。しかし、今回の菅原氏の公選法違反事件については、私は、A・B両氏から事実関係を詳しく聞いており、また、文春の記事が出て以降、両氏の代理人として対応する中で、菅原氏の態度、行動なども、相当程度把握している。

菅原氏の不起訴処分については、東京地検次席検事が異例の「不起訴処分理由説明」を行い、(ⅰ)香典の代理持参はあくまでも例外であり、大半は本人が弔問した際に渡していたこと、(ⅱ)大臣を辞職して、会見で事実を認めて謝罪したこと、などを挙げ、「法を軽視する姿勢が顕著とまでは言い難かった」と説明した。

しかし、文春記事が出た直後から、菅原氏は、「A秘書が週刊文春と組んで違法行為をでっち上げて、大臣辞任に追い込んだ」などと、秘書に「濡れ衣」を着せて、自らの公選法違反行為を否定していた。経産大臣辞任後、「体調不良」を理由に国会を欠席していた間も、地元の後援者・支援者などにそのような話を広め、通常国会開会後、国会に出席するようになってからは、政界関係者などに広めるなど、一貫して自らの公選法違反を否定していた。その菅原氏は、6月16日、突然「記者会見」を開き、一部ではあるが、秘書に香典を持参させていたことを認めて「謝罪」した。

しかし、それまでの言動から考えて、それが真摯に反省して事実を認めたものとは到底考えられなかった。「会見を開いて違法行為を認めて謝罪すれば起訴猶予にする」という見通しがついていたからこそ、そのような「茶番」を行ったものとしか考えられなかった。経産大臣を辞任したのも、その直後から菅原氏が、「秘書にハメられて大臣を引きずり降ろされた」と言っていることからして、公選法違反の犯罪を反省して辞任したというのではないことは明らかだった。

次席検事の不起訴理由説明の(ⅰ)が全く事実に反すること、(ⅱ)の「反省」「謝罪」も凡そ真摯なものとは言えないことは明らかだった。

不起訴処分に対しては、告発人が検察審査会に審査を申し立て、その結果、「不起訴不当」あるいは「起訴相当」の議決で検察の不起訴処分が覆されることは必至だと思われた。

検察の姑息な「検察審査会外し」の“画策”

ところが、その直後、検察が、検察審査会に審査申立ができないように、検察審査会の審査を免れるための姑息な「画策」を行っていたことがわかった。

菅原氏に対する告発状は、2019年10月下旬に、東京地検に提出され、その告発を受けた形で、同氏の公設秘書のA、B両氏らや他の関係者の取調べ等が行われ、菅原氏の起訴をめざして積極的に捜査を行っているものと思われた。ところが、検察は、翌2020年6月に、菅原氏に対して「不起訴処分」を行った。その不起訴処分が行われる直前に、告発状が、告発状の不備を指摘する文書とともに告発人のC氏本人に返戻されていた。C氏の告発を受理しなかったということだ。不起訴処分が検察審査会での審査に持ち込まれないようにする「検審外し」の画策としか思えなかった。

「告発事件」について不起訴処分を行えば、告発人は、検察審査会に審査を申し立てることができる。そこで、検察は、告発状をC氏に返戻したうえで、それと別個に、検察自らが菅原氏の公選法違反事件を独自に認知立件し、その「認知事件」を不起訴にする、という形にして、告発人が検察審査会に審査を申し立てることができないようにしたのだ。

私は、告発人のC氏の依頼を受け、検察がC氏に告発状を返戻した理由のとおり、C氏が提出した告発状に不備があり「有効な告発」とは言えないものか、について検討を行ったが、ほとんど問題にならない形式的な不備だけだった。

検察官は、告発状を受け取ったまま7ヵ月以上にわたって受理の判断をせず、被疑者の公選法違反の捜査を継続し、不起訴処分を行う直前に、告発状を返戻した。告発状に、そのままでは受理できない不備や不十分な点があるというのであれば、提出を受けた直後に返戻すればよかったはずだ。検察の告発状返戻の理由は、「言いがかり」であり、「検審外し」のための画策であることは明らかだった。

告発人の委任を受け代理人として審査申立書を提出

そこで、私は、C氏から委任を受け、申立代理人として審査申立書を作成して、2020年7月20日に東京の検察審査会事務局に提出した。申立書では、

・C氏の告発状は、公選法違反の「有権者に対する寄附」の犯罪事実を特定して処罰を求めており、告発状が返戻される理由は全くないこと、

・不起訴処分は、その告発状記載の事実を含む、「有権者に対する寄附」の犯罪事実を認定した上で、「起訴猶予」とした不起訴処分であることから、C氏は検察審査会に審査申立をすることができる「告発をした者」(検察審査会法第2条第2項)に該当すること、

・菅原氏の「起訴猶予」の不起訴処分には全く理由がなく、不当極まりないものであること

を記載した。

それに対して、7月27日、私の事務所宛てに、東京第4検察審査会から

「令和2年(申立)8号事件として受理した」

旨の通知が届いた。こうして、菅原氏の公選法違反事件の刑事処分は、東京第4審査会の11人の審査員の判断に委ねられることになったのである。

それまでの経過については、【菅原前経産相不当不起訴の検察、告発状返戻で「検審外し」を画策か】で詳細に述べた。

私は、審査申立書提出後にも、8月19日に、「審査申立補充書」を提出し、A、B両氏の陳述書と、二人が、菅原氏から指示を受けて、選挙区内の有権者に対して、香典、枕花を贈与していた状況を詳細に明らかにする資料(LINEの記録等に基づいて作成したもの)を添付し、検察が不起訴処分の際に認定した公選法違反事実が、違反全体のごく僅かに過ぎず、違反の規模はそれより遥かに大きいこと、選挙区内の有権者の訃報に接した場合には、菅原氏が葬儀に行く行かないにかかわらず、まず、秘書が香典を持参するように指示されていいたことなど、検察の不起訴理由が事実に反することを明らかにし、速やかに「起訴相当」の議決をするように求めた。

ところが、この審査申立書・補充書の提出後、半年経過しても何の動きもなかった。菅原氏の公選法違反事件の公訴時効は3年であり、古い事件から、順次公訴時効が完成していき、処罰できなくなる。

私は、検察審査会の審査に対して、検察が協力を拒否しているのではないかと思った。本来であれば、検察は、申立が受理された事件について、不起訴記録を検察審査会に提出して、審査に協力しなければならないが、検察がその協力を拒否しているのではないか。もちろん、検察のそのような対応は、検察審査会制度を否定するものであり、到底許されるものではない。しかし、もし、検察が、そのような不当な対応をしていた場合、検察審査会には、強制的に不起訴記録を提出させる権限はないのだ。

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