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ミサイルとインテリジェンス

 北朝鮮から発射された弾道ミサイル(ロケット?)に関する情報の錯綜は、インテリジェンス面でも様々な問題を明らかにしたのだと思います。報道に拠りますとアメリカは北朝鮮のミサイル発射情報を日本にだけ提供し、情報漏えいの懸念から韓国には提供していなかったそうです。その結果、日米は警戒を解くことはなかったのですが、韓国政府では北朝鮮のミサイル発射が延期されるという楽観的な結論となってしまったようです。

 ここから明らかになったのは、(1)アメリカ政府は日本の秘密保全に関してある一定の評価をしているが韓国に対してはその限りではない、(2)韓国は北朝鮮のミサイル情報に関する独自の情報源を有していない、(3)日本の秘密保全が上手くいった反面、マスコミは韓国政府が情報源と思われる発射延期について報道してしまった、(4)やはり衛星情報は重要、といったあたりになるかと思います。特に韓国にとっては、北朝鮮情報ですら日米に頼らざるを得ないというのは深刻でしょう。韓国は今年5月に日本との軍事情報共有についての条約を土壇場でキャンセルした経緯がありますが、今回のミサイル事案で、韓国政府は情報共有の重要性を痛感したのではないでしょうか。

 また発射後の対応について、前回、日本政府はアメリカの早期警戒情報と自衛隊のレーダー情報によるダブルチェックに拘った結果、エムネットによる各自治体への緊急情報伝達が半時間近くかかってしまいました。前回はミサイルが途中でバラバラになって墜落したため、自衛隊のレーダーで追い切れなかったのが原因でしたが、今回はミサイルが予定航路を飛んだため、迅速なダブルチェックが実現し、エムネットは発射から概ね5分で伝達されたようです。さらに発射から10分以内に、中央指揮所から防衛大臣、並びに内閣危機管理センターから政府への情報伝達、自衛隊法によるミサイル破壊措置令の検討などが迅速に行われたため、2009年に大誤報を発信したのと比べると、政府の情報運用と危機管理もかなり小慣れてきた印象です。 

 日本は来年早々、レーダー衛星4号機を打ち上げる予定となっており、これが上手くいけば悲願でした光学衛星2機、レーダー衛星2機の4機体制が整うことになります。特にレーダー衛星は悪天候や夜間でも地球上の特定地点を1日1回以上監視することができるようになりますので、日本の危機管理にとっては大きな前進になるのではないでしょうか。

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