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「キャリア官僚システムの改革を」国民民主党国対委員長古川元久衆議院議員

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ⒸJapan In-depth編集部

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・総務省幹部接待問題は、キャリア官僚システムの弊害。

内閣人事局がキャリア官僚システムと相まって忖度の問題になっている。

・官僚制度の改革は、安倍政権以降の忖度問題を防ぐ役割がある。

国家公務員倫理法施行から約20年が経った今、相次ぐ総務省幹部接待問題により官僚の倫理観が再び問われている。問題の本質はどこにあるのか、国民民主党国会対策委員長である古川元久衆議院議員に話を聞いた。

■キャリア官僚システムの抜本的改革必要

安倍: そもそも1998年、ノーパンしゃぶしゃぶ事件という不祥事があり、国家公務員倫理規定が細かく制定されて、研修も行われてきた。にもかかわらず、制定から20年、企業は高級官僚接待を繰り返していた。結局のところ、同規定は有名無実だった。一体なぜなのか?

古川: (ノーパンしゃぶしゃぶ事件以降、民間と官僚の接触が減り)お互いに何を考えているのかわからない状況が続いた。行政も民間の状況がわからなければ、頭でっかちになってしまう。一方の民間側も、行政の考えが知りたい。時の経過とともに気の緩みとそうしたニーズから情報交換や意見交換の場として接待の場が使われるようになっていった。接待以外で情報収集・意見交換ができる仕組みが必要だ。

もう一つは、日本のキャリア官僚システムだ。基本的に役所に入ったらずっと役所にいる。役所からしか世の中を見ないという仕組みの中でどんどん世の中とかけ離れていく。このシステムを見直す時が来ている。

これは接待問題だけにとどまらない。ブラック霞が関と揶揄されているように、働き方改革の問題でもある。若手官僚はブラックな環境での下積み時代を過ごさないと昇進できない。このままでいいのか。

官僚のキャリアは年功序列になっている。幹部になればなるほど、そのポストにいる期間が短く、2~3年就けば長いとみなされるくらい、毎年のようにポストがころころ変わる。だから上のポストに行った人は、官邸にごまをすれば来年はいいポストに就けるかもしれないという忖度につながる。

一旦役所に入ったらずっと定年まで40年近く役所にいる。若いころはブラック労働に耐え、ある程度の年齢になると毎年のようにポストが変わっていく。こうしたこれまでのキャリア官僚の仕組みそのものが、今官僚を取り巻いている問題の根源にある。

官僚をめぐる問題の根本のところでキャリア官僚のシステムを公務員試験のところから見直す必要がある。

安倍: この問題は、国会で議論されたことはあるのか?

古川: あまりされていない。いま日本が直面している様々な課題に立ち向かうためには、政府の中に優秀な人材が必要だが、現状ではなかなか難しいと思う。今回デジタル庁が外から人材を募集するそうだが、民間と比べて見劣りする年収一千万円あまりという条件でどれだけ優秀な人材が集まるだろうか。

ただ、数年間だけなら報酬が低くても国のために働きたいというパブリックな意識を持った人は少なからずいる。そういう人のニーズに応えられるような仕組みに官僚システムを変えれば、優秀な人を採用することができるのではないか。

イギリスでは省庁の管理職はポスティング制度で採用しており、私が政権にいたときに日本でも同じように管理職はポスティング制度で選ぶことにする案を考えたりもしていた。職務の内容と任期、報酬を明示して、この条件でやりたい人が手を挙げる。役所の中から若手が手を挙げてもいいし、外の人間でもいい。だれでもやりたい人が手を挙げられる仕組みだ。しかし今のキャリア官僚システムを根本から変えることにつながるため、ポスティング制度は議論はしたものの具体的な制度化の議論までには至らなかった。

安倍: 金融庁などは民間から登用しているが。

古川: 金融庁は新しい官庁のために限定的に新しいキャリアパスができつつあるのではないか。ただ、国家公務員総合職試験に合格すれば将来管理職に就くことが約束されているというのは時代錯誤ではないか。試験に合格したからと言って、その後ずっと官僚として優秀かどうかはほとんど関係のない話だ。民間の人が自分のキャリアパスとして、何年間か行政に関わっていけるような仕組みが必要だ。

安倍: 農水省に民間企業から女性の方が入った。給与は激減したが、農政に関り発信していく仕事がしたいと期間限定で入省したと言っていた。

古川: そういう変化の兆しも見えてきているが、あくまで枝葉の部分で、幹の部分はキャリア官僚が担っていることには代わりない。枝葉の部分の人、外から来た人から次官は出てこないだろう。外部から目玉として登用してくることはあっても、今のキャリアシステムでは、それ以上の地位には就けない。

有力な同期が3人いて、誰が官房長になるかという場合、現状だと、官邸からの受けが良い人が選ばれやすい。そこで忖度に繋がってくる。しかも、1年くらいでポストが変わり、チャンスが毎年のようにあるので、余計な下心が生まれやすい。人間には抗えない性があるのだから、制度にもそれを防ぐための工夫が必要だ。もし任期が3年ないし5年などと決まっていたら、その期間は忖度が働きにくくなるのではないか。

安倍: 内閣人事局が強くなりすぎた、という人もいる。

古川: 内閣人事局というのは「はさみ」のようなもので、上手く使えば有用だが、使い方によっては凶器にもなる。内閣人事局が悪いと言うよりも、現状のキャリア官僚システムと相まって、忖度の問題が生じている。

安倍: 本来内閣の人事は独立した存在でなければならない。安倍政権の時に内閣人事局が設立されたが、政権に忖度するような官僚が増えているなら、内閣人事局は機能しているとはいえないのでは?

古川: 内閣人事局の仕組みの問題ではなく、その使い方に問題がある。イギリスでも同じような仕組みがあるが、官僚が人事を担当しており、政治とは一線を画している。ところが、日本で同じような箱を作ったはいいが、その使い方があまりに政治的になっている。

過度な忖度はやはり問題だ。任期が一定期間保証され、気に入らなくても任期中は基本的に更迭できないような状況でなければ、違ってくるのではないだろうか。

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