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【読書感想】サラ金の歴史-消費者金融と日本社会

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サラ金の歴史-消費者金融と日本社会 (中公新書 2634)
作者:小島 庸平
発売日: 2021/02/20
メディア: 新書

利用したことはなくても、誰もが見聞きはしたサラ金や消費者金融。しかし、私たちが知る業態は、日本経済のうねりの中で大きく変化して現在の姿となったものだ。素人高利貸から団地金融、そしてサラ金、消費者金融へ……。好景気や金融技術の発展で躍進するも、バブル崩壊や社会問題化に翻弄されていった業態について、家計やジェンダーなど多様な視点から読み解き、日本経済の知られざる一面を照らす。

 「サラ金」に対して、良いイメージを持っている人は、あまりいないと思うのです。
 「お金を借りる」という行為自体が、できれば避けたいものではありますし、僕の世代にとっては、「怖い人たちによる厳しい取り立て」のイメージが強いんですよね。

 「お気軽にご利用ください」みたいなCMが流れるたびに、「こういうのをみて、一度利用しはじめると底なし沼にハマってしまうのだよなあ……」なんて思っていました。

 アコム、プロミス、レイク、武富士、アイフル。

 1990年代から2000年代にかけて、消費者金融企業の名前は、毎日のように目あるいは耳に入ってきた。テレビではCMが繰り返し流され、町には派手なデザインの広告や看板が林立。至るところにティッシュ配りの社員が立っていた。あの頃、ポケットティッシュを買う必要はほとんどなく、サラ金各社からもらえばそれで十分だった。

 一定の年齢以上の読者なら、サラ金がやたらと目に入る都市部の光景は、記憶の片隅に残っているのではないか。1982年に東京で生まれた筆者は、通勤・通学の道すがら、なぜこんなにも多くの消費者金融サービスが存在するのかと、よく疑問に感じたものである。

 だが、21世紀生まれの学生に聞くと、サラ金がポケットティッシュを配るところなど、全く見たことがないという。確かに、街頭でティッシュをもらう機会は、格段に減った。これは、サラ金業界による広告の自主規制強化や、無人店舗の増加に伴うティッシュ配り要員の減少などが原因である。深々と頭を下げてポケットティッシュを差し出し、「いってらっしゃいませ!」と声を張り上げるサラ金社員の姿は、すでに過去の存在となっている。

 2006年12月に制定され、2010年6月から完全施行された改正貸金業法は、サラ金業界に極めて大きな影響を与えた。この法改正により、利息制限法と出資法との間に存在した法定上限金利の差(いわゆるグレーゾーン金利)が明確に否定され、金利は最高でも年20%に引き下げられた。過去に払いすぎた金利は「過払い金」として取り戻せることが広く知られるようになり、各社の経営は著しく悪化した。

 現在、アイフルを除く大手は、軒並み銀行の傘下に入っている。主要企業が加盟していた日本消費者金融協会(JCFA)も、2014年に解散。長く業界最大手だった武富士は、紆余曲折の末、2017年に会社更生の手続きを終えて倒産し、過払い金の返還を停止している。

 ユニークなテレビCMをつくり、その一方で、多重債務者や自己破産者を生み出していった「サラ金」なのですが、今は過払い金の返還などもあって、かなり厳しい経営を強いられているのです。
 ただ、消費者金融会社の名前は以前ほど聞かなくなったけれど、銀行カードローンや「リボ払い」といった、「より簡単にお金を借りられて、実際はけっこう高い金利を取られる仕組み」は、2021年にもたくさんあるのです。

fujipon.hatenadiary.com

 大手銀行やクレジットカード会社が、サラ金を傘下におさめ、サラ金がつくった「どんな人ならお金を貸しても回収できるのか」という情報やそれを判別する技術を吸収し、「綺麗なサラ金化」していると言えるのかもしれません。

 本書では、1960年代に生まれたサラ金の歴史を、その前後の時期も含めてたどってみたい。対象とするのは、1910年代から2020年までの約100年間である。

 この100年あまりの間で、金融機関は極めて簡単に個人へ金を貸すようになった。現代の日本では、生活費の確保に苦しむ貧困層でさえ、簡単に金を借りられる。たとえば、日本弁護士連合会(日弁連)は、生活費の不足から多重債務に陥り、ホームレスとなった大阪府の横山克郎さん(仮名)について、次のように報告している。

「フルタイムで働いても家庭を維持するだけの収入を維持することが困難であった横山さんが最初に頼ったのは、公的扶助ではなくて消費者金融であった。横山さんにとっては、消費者金融のみが自分の窮状を救ってくれる存在だったのである。」(日本弁護士連合会2007)

 なんのかんの言っても、よほどの幸運に恵まれないかぎり、お金が足りなくて行き詰まってしまうことはあるのです。
 借金というと、ギャンブルとか買い物依存みたいなイメージを持たれがちなのですが、給料日前にどうしてもお金が足りなくなったり、急な病気や冠婚葬祭などで出費を余儀なくされることも、半世紀くらい前までの日本人には、珍しいことではなかったのです。

 では、「サラ金以前」は、お金が足りなくなったら、みんなどうしていたのか?

 著者は、太平洋戦争前の日本では、個人間でのお金の貸し借りが盛んだったことを紹介しています。
 そして、親戚や知人・友人での貸し借りであっても、かなり高額の利子がつくのがあたりまえだったそうです。1933年の東京府での調査(51口)によると、親戚・知人友人での借入では、無利子は皆無で、月利5~10%(年利60~120%)が最多だったそうです。

 親しき仲にも金利あり、というのが、世の中の常識だったのです。
 また、ちょっとした生活資金の不足に対しては、質屋も長い間利用されてきました。

 そんな中で、太平洋戦争前には、「素人高利貸」も出現してきました。
 素人高利貸は、うまくいけば大儲けできたのですが、貸した金を回収できないことも多く、リスクも高かったようです。

 太平洋戦争後が終わり、復興から高度成長期に入った日本では、テレビや冷蔵庫や車など、生活を変える商品を多くの人が争って買い求め、消費行動が活発になりました。
 右肩上がりの時代で、「将来はもっと稼げる」という希望をみんなが持っていた時代でもあったのです。

 そんななか、森田商事と日本クレジットセンターという2つの会社が、現在のサラ金の元になる「団地金融」というシステムを生み出しました。

 日本クレジットセンターの田辺信夫さんについて。

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