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アメリカ失業率目標達成のハードル

12日のアメリカのFOMCにてバーナンキ議長より失業率が6.5%まで下がるまで現在の金融緩和を続けると発表しました。これをメディアはこぞって「失業率目標」という言葉で書き出しています。11月末時点での失業率が7.7%ですから1.2%ベーシスポイントも下げなくてはいけないのですが、これは容易ではありません。

ではその道筋はあるのでしょうか?

まず、バーナンキ議長は金融政策だけでは無理とはっきり述べています。つまり、オバマ政権の政策として工夫をしなければ到達できないということです。そして私が読み取る限り、バーナンキ議長はこれ以上の刺激的な金融緩和は効果が薄く、あまり積極的にはやりたくないという印象を持ちました。

一般的に雇用改善するにはアメリカの中で実物経済が回転しなくてはいけません。たとえば2006年までの住宅ブームの際には建設業からスタートし、金融業、家具屋やリノベーションビジネス、更には自動車などが広く波及効果を生み、結果して経済は回り、雇用確保が進んだのです。

アメリカはご承知のとおり大幅な貿易赤字を計上し続けていますが、これはアメリカ国内が製造能力を含む実物経済の担い手として機能していないことがポイントでした。一方でアメリカは経営や金融手法に長けており、結果として外国企業の買収や株式保有などを通じてその配当など資本収支で稼ぐという流れを作り上げました。資本収支で稼ぐという構造は決してアメリカ国内雇用は増やすことはありません。なぜなら、企業がお金を海外企業や海外子会社に投資しているわけであり、雇用を生むのはその投資先の国であるからです。

となれば、アメリカがこれから1.2%ベーシスポイントもの失業率改善を真剣に考えるとしたらどうやって国内経済を刺激するか、という点に絞られる気がします。私の実感として多分、ドル安政策で中国などに分散した製造業の一部を国内回帰させる方法が有効かと思われます。

あと4年続くオバマ政権中にはシェールガス革命によりアメリカのエネルギー自給率はほぼ達成できる見込みであり、その頃には輸入に頼らなくても良くなります。これはドルに対してプラス局面と考えられます。理由は貿易収支の改善であります。更には中東などへのアメリカの配置についても石油輸入が実質なくなるので国防費などの削減に繋がり、双子の赤字の改善に結びつく可能性はあります。

よってドル安政策で輸出を伸ばすことが論理的に簡単ではないと思いますのでバーナンキ議長の示す失業率の改善はよほどのことがない限り近い将来に達成できないような気がします。それは日本がまったく同じ道をあゆんだことと同じではないかということです。

私はバーナンキステートメントを読んでアメリカの低金利時代は2008年から考えれば10年越しになることも覚悟せねばならぬような気がします。

今日はこのぐらいにしましょう。

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