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「ろう者(聴覚障害者)教育」

池田ますみ、今井美香の二人はろう者である。日本財団が行っている「アジア太平洋における手話言語学の普及および手話辞書の作成」事業で、インドネシア、スリランカ、フィジー、香港のろう者学生と共にアジアで最高のろう教育大学「香港中文大学」で勉学中であるが、故郷への一時帰国の折、財団を訪ねてくれた。

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今井さん(左)と池田さん(右)

世の中には常に「光と影」が存在する。日本財団はこの世の中の影を探し出して激励・支援することに力を注いできた。

この事業もその一つで、2006年から約400万ドルを投じ、アジア各国のろう者の指導者を育成するための事業である。教育は最長5年間、短い人で2年間で、現在スリランカ4名、インドネシア4名、日本3名、フィジー2名、香港5名の学生が世界的に著名な学者の指導を受け、手話言語学、英語、ろう文化、手話教材の作成や手話辞書編作成の基礎などを学んでいる。お二人は既に手話の辞書作りも研究中で、あと2年、香港で研鑽を積みたいという。

私は手話を日本語と同じように言語として認めてほしいと朝日新聞に投稿したところ、それが功を奏したかどうか定かではないが、2011年に改正された障害者基本法には「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること」との一文が盛り込まれ、日本で初めて手話の言語性を認める法律が制定された。更に日本財団は全日本ろうあ連盟と協力し、手話による教育、コミュニケーション、情報提供が保障される環境の実現を目指し、「手話言語法(仮称)」の制定に向けて法律案の作成や啓蒙活動に取り組んでいる。

手話は各地で自然発生的に発展したので、地域によって表現方法は全く異なるが、ろう者にはそれが感覚的に理解出来るという。例えば今井さんは群馬県の出身だが、「緑」の表現は、伊勢崎、高崎、その他の地域と、群馬県内だけでも3種類の表現方法があると説明してくれた。そして、将来は手話言語学者になるのが夢だという。池田さんはろう児にかかわる仕事をし、その親たちには「心配しないで」、子供達には「2つの言葉を持てるなんて幸運なこと」と伝えたいと目を輝かす。

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分厚いアルバムを持参して下さった

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中には生き生きと学び生活している写真と、感謝のメーッセージがぎっしり・・・

ろう文化は実に奥深いものがあるようで私の理解を超えているが、1933年以来、文部省(当時)が定めた健常者の先生の唇を見て理解する読唇術による教育(口話法)は、ろう者にとって困難を極めるため教育効果があまり期待できないことが大方の共通認識である。学びたいと強く願う学生のためにも、全国の教育現場に手話による教科指導を導入させるべく微力を注いでいきたい。

外国にはろう者の国会議員や多数の高名な学者もおり、日本も早くその域に達したいものである。

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