2020年度の新入社員が完全テレワークで入社したサイボウズ。
リモート研修で本当に充実した学びを得られるのか、同期と直接会わずに仲を深められるのか、テレワークだと先輩に質問をしづらかったのではないか、メンバーと関係を築くのも大変だったのではないか——?
今回はそんな数々の疑問を持った、社会人2年目の今井豪人が、新人研修を担当した人事部の髙木一史と、20卒の新入社員3人に質問をぶつけてみました。
前半はリモートで実施した研修の工夫を髙木に、後半は研修やテレワークに対する率直な感想を新卒3人に聞いてみました。

実はそんなに苦労はなかった? 完全テレワークで入社した新人たちのホンネ

今井
20卒入社の皆さん、新卒から完全テレワークでめちゃ大変でしたよね……。
僕が社会人1年目の時はリアルで入社したので、研修で同期と仲を深めたり、日々の業務では隣にいた先輩にたくさん質問したり、仕事後には飲みに連れて行ってもらったりして関係性ができました。
でも、完全テレワークだとそんな機会はなさそうですよね……。さぞかし辛かったと思います。


川平
いやあ、そう心配されて「完全テレワークで入社した人」として過去に取材を受けましたが、正直あまり苦労した覚えがないんですよね……。

岡田
そうなんですよね(笑)。
逆に僕らはリアルでの入社を知らない分、これがある意味"当たり前"なんです。なので「困るよね」と心配されても、どう反応していいのかわからない。

鈴木
まさに。研修はオンラインで仕事を進めるために必要な要素がプログラムに入っていましたし、その後の業務も滞りなくできているので。

今井
えっ?! みなさんの苦労話を聞き取り、来年度の受け入れに活かしてもらうつもりだったのに。どうしよう……。

岡田
すみません(苦笑)。

今井
じゃあ……今回はなぜみなさんがスムーズに業務を進められたのかを考える場にしたいと思います。
リモート研修には、心理的安全性とテキストコミュニケーション力が欠かせない

今井
今回は人事部の髙木さんもこの場にいるので、まずは研修の内容から聞いていきましょう。
髙木さん、リモート研修だったからこそ、特別に工夫したことはありますか?

高木
リモート研修では、大きく2つの工夫をしました。
1つ目は「心理的に安心安全で、質問しやすい空気をつくること」。2つ目は「テキストコミュニケーション研修」です。


今井
なるほど。まず1つ目から詳しく聞かせてください。
心理的に安全で気軽に話せるような雰囲気づくりは、サイボウズでは特に大切にしていることだと思います。リアルとリモートだとどんな違いがあるのでしょうか?

高木
やっぱりリモートだとその場の雰囲気を伝えにくいし、新人37人も参加しているZoomだと話すタイミングもつかみにくいんですよ。
だから、少しでも質問がしやすくなるように、朝と夕方に雑談タイムを設けたり、kintoneで「こういうことに困っています」という書き込みを見たら、人事部のみんなで協力して即レスしたりしていました。


今井
「いつでも質問して大丈夫な雰囲気を伝えること」を大事にされていたのですね。これは大事な視点な気がします。
続いて、2つ目の工夫である「テキストコミュニケーション研修」についても伺えますか?

高木
テレワークで仕事を進める場合、テキストコミュニケーションの量が多くなるので、文章で上手に物事を伝える技術が求められるんです。
社内に製品マニュアルを作成するプロの書き手がいるので、彼らに監修してもらって、新しい研修プログラムを作りましたよ。
リモート研修のメリットは「復習のしやすさ」と「物理的な制限のなさ」

今井
初めての取り組みだからこそ、いろんな工夫をしてきたんですね。
実際やってみて、オンラインならではのメリットとデメリットはありましたか?

高木
シンプルに「知識をインプットする研修は、オンラインのほうがいい」と思いました。
Zoomで録画して、あとで好きなタイミングで復習することもできますからね。

今井
ふむふむ。

高木
一方、人とのつながりをつくるのは、オンラインだと限界がありますね。「こういう雰囲気で話す人なんだ」といった情報はオンラインだと伝わりづらいので。五感をフルに使ってコミュニケーションできるリアルの方が、人間関係は構築しやすい気がします。
だから、2021年度の研修では、オンラインを基本にしながらも、リアルで関係性を構築するワークショップも部分的に取り入れたいと思っています。もちろん、これはコロナの情勢を考慮しつつ、しっかりと感染対策を取った状態での話ですが。

今井
たしかに、1回リアルで会っているだけでも、安心感や信頼感は違ってきますよね。
僕もサイボウズは中途リモート入社なのですが、入社初日にチームメンバーがタイミングを合わせて出社してくれて。それがスムーズな関係構築につながったように感じています。

高木
まさに。毎日会う必要はないですが、1回会っておくと関係構築しやすいと思いますね。

今井
オンラインで研修をするなかで、ほかに何か発見はありましたか?

高木
そうですね。新人研修の内容が、新人以外にも結構需要があることに気がつきました(笑)。
今年は新人研修のスケジュールとZoomのURLを全社に共有して、社員なら誰でも参加できるようにしたんです。すると、新人含め134人ものメンバーが参加した研修もありました。
物理的な収容人数に限界のないオンライン研修をしたからこそ、新人以外の社員にもニーズがあると気づけたことも面白かったですね。