記事
- 2012年12月14日 02:29
Market Hack流の銘柄分析 ポタッシ・コープを例に
「魚を与えず魚の釣り方を教える」という格言があります。Market Hackの考える「魚の釣り方」とは、何でしょうか?
これは一言で言い尽くせるほど、カンタンではありません。
ただ今後、折に触れてMarket Hack流の考え方を紹介してゆきたいと考えています。
今日はポタッシ・コープ(ティッカー・シンボル:POT=上場はニューヨーク証券取引所)を例にとって解説します。
ポタッシ・コープはカナダの肥料の会社です。特にpotash(苛性カリ)がその売上の45%を占めており、重要な商品となっています。
苛性カリは新しく土地を開墾する際に土壌を改良する目的で使用されます。
苛性カリはイメージとしては岩塩のように自然に地中に存在する物質であり、それを削岩し、掘り出してくるので操業形態は鉱業のビジネスと同じです。つまり地下資源に恵まれている企業が、圧倒的に有利になります。
その点、ポタッシ・コープはカナダのサスカチュワン州に巨大な苛性カリの鉱山を擁しており、コスト面で圧倒的に優位に立っています。
さて、銘柄の分析に入りますが、僕が銘柄を見るにあたって最も重視するのはいつも言っていることですけどキャッシュフローです。下のグラフで言えば一株当りキャッシュフロー(CFPS)の緑の線に注目するわけです。
リンク先を見る
ポタッシの場合、過去10年間のキャッシュフロー成長率は年率22%で、たいへん立派な数字でした。しかし扱っている商品が肥料という市況に左右されやすい商品なので、単年度の比較だと凸凹が激しいです。長期の趨勢としてはキャッシュフローの線が右肩上がりを描いています。これを確認することが全てのスタート地点になるわけです。僕の場合、過去10年間のCFPSの成長率が年率10%程度ある企業、言い換えれば緑の線の傾きが、ある程度ハッキリとした右肩上がりになっている企業が好きです。
次に上のグラフにはDPSなど、いろいろな略号があります。そこでそれらをおさらいしておくと;
となります。僕は銘柄を診断する際、必ずこれらの数値をグラフ化します。その理由はプロポーションを見たいからです。
プロポーションとは「比率」の事ですが、使い方のイメージとしては「女性のプロポーション」が良い、悪いという場合に近いです。
リンク先を見る
ショービニスティックな言い方になってしまって失礼ですけど、美しいプロポーションというのは「出るべきところが出て、引っ込むべきところが凹んでいる」スタイルだと思うのです。
そこで僕が最初に注目するのは一株当りキャッシュフロー(CFPS)と一株当り売上高(SPS)の関係です。
を見るわけです。
上の2012年の数字を代入すると;
となります。ポタッシの37.2%というキャッシュフロー・マージンは極めてヘルシーな数字です。
参考のために日本株で比較的財務内容がしっかりしていると言われているトヨタの2012年のキャッシュフロー・マージンは8.2%です。また業績的にピカピカであるアップルでもキャッシュフロー・マージンは28%です。
普通、この数字が20%以上であれば「素晴らしい」と言って良いでしょう。
次はCFPSとEPSの関係についてチェックします。ここで大事な事は必ずCFPS>EPSでなくてはいけないという点です。
若しEPSの方がCFPSより1年でも大きくなっている会社は粉飾決算などのアグレッシブ(無謀)な経理をしていると疑ってかかるべきです。
次の考察点はEPSとDPSのプロポーションの比較になります。ポタッシの2012年の例で言えば;
になります。これは「配当性向」と呼ばれますが、要するに「利益の何%を株主に配当として還元しているか?」の尺度だということです。
既に配当性向が50%を超えているような企業は、今後の増配余地が少ない「ズン胴」のカイシャだと言えます。
ポタッシの場合、昔は配当が極めて少なかったです。最近になって配当を気前よく出し始めましたが、まだまだ利益の大きさに比べて配当は少ないです。
バリューライン社はこのため向こう5年間の間にポタッシのキャッシュフローは年率10%で成長するけど、一株当り配当はその2倍のペース、つまり年率20%で増えてゆくという風に予想しています。
これは一言で言い尽くせるほど、カンタンではありません。
ただ今後、折に触れてMarket Hack流の考え方を紹介してゆきたいと考えています。
今日はポタッシ・コープ(ティッカー・シンボル:POT=上場はニューヨーク証券取引所)を例にとって解説します。
ポタッシ・コープはカナダの肥料の会社です。特にpotash(苛性カリ)がその売上の45%を占めており、重要な商品となっています。
苛性カリは新しく土地を開墾する際に土壌を改良する目的で使用されます。
苛性カリはイメージとしては岩塩のように自然に地中に存在する物質であり、それを削岩し、掘り出してくるので操業形態は鉱業のビジネスと同じです。つまり地下資源に恵まれている企業が、圧倒的に有利になります。
その点、ポタッシ・コープはカナダのサスカチュワン州に巨大な苛性カリの鉱山を擁しており、コスト面で圧倒的に優位に立っています。
さて、銘柄の分析に入りますが、僕が銘柄を見るにあたって最も重視するのはいつも言っていることですけどキャッシュフローです。下のグラフで言えば一株当りキャッシュフロー(CFPS)の緑の線に注目するわけです。
リンク先を見る
ポタッシの場合、過去10年間のキャッシュフロー成長率は年率22%で、たいへん立派な数字でした。しかし扱っている商品が肥料という市況に左右されやすい商品なので、単年度の比較だと凸凹が激しいです。長期の趨勢としてはキャッシュフローの線が右肩上がりを描いています。これを確認することが全てのスタート地点になるわけです。僕の場合、過去10年間のCFPSの成長率が年率10%程度ある企業、言い換えれば緑の線の傾きが、ある程度ハッキリとした右肩上がりになっている企業が好きです。
次に上のグラフにはDPSなど、いろいろな略号があります。そこでそれらをおさらいしておくと;
DPS 一株当り配当
EPS 一株当り利益
CFPS 一株当りキャッシュフロー
SPS 一株当り売上高
となります。僕は銘柄を診断する際、必ずこれらの数値をグラフ化します。その理由はプロポーションを見たいからです。
プロポーションとは「比率」の事ですが、使い方のイメージとしては「女性のプロポーション」が良い、悪いという場合に近いです。
リンク先を見る
ショービニスティックな言い方になってしまって失礼ですけど、美しいプロポーションというのは「出るべきところが出て、引っ込むべきところが凹んでいる」スタイルだと思うのです。
そこで僕が最初に注目するのは一株当りキャッシュフロー(CFPS)と一株当り売上高(SPS)の関係です。
SPS ÷ CFPS = %
を見るわけです。
上の2012年の数字を代入すると;
3.7 ÷ 9.95 = 37.2%
となります。ポタッシの37.2%というキャッシュフロー・マージンは極めてヘルシーな数字です。
参考のために日本株で比較的財務内容がしっかりしていると言われているトヨタの2012年のキャッシュフロー・マージンは8.2%です。また業績的にピカピカであるアップルでもキャッシュフロー・マージンは28%です。
普通、この数字が20%以上であれば「素晴らしい」と言って良いでしょう。
次はCFPSとEPSの関係についてチェックします。ここで大事な事は必ずCFPS>EPSでなくてはいけないという点です。
若しEPSの方がCFPSより1年でも大きくなっている会社は粉飾決算などのアグレッシブ(無謀)な経理をしていると疑ってかかるべきです。
次の考察点はEPSとDPSのプロポーションの比較になります。ポタッシの2012年の例で言えば;
DPS ÷ EPS = %
0.56 ÷ 3 = 18.6%
になります。これは「配当性向」と呼ばれますが、要するに「利益の何%を株主に配当として還元しているか?」の尺度だということです。
既に配当性向が50%を超えているような企業は、今後の増配余地が少ない「ズン胴」のカイシャだと言えます。
ポタッシの場合、昔は配当が極めて少なかったです。最近になって配当を気前よく出し始めましたが、まだまだ利益の大きさに比べて配当は少ないです。
バリューライン社はこのため向こう5年間の間にポタッシのキャッシュフローは年率10%で成長するけど、一株当り配当はその2倍のペース、つまり年率20%で増えてゆくという風に予想しています。