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ペニーオークション事件で明らかになったネットメディアのタブー

ペニーオークションサイト『ワールドオークション』による詐欺事件の報道やネットでの動きについてメモ代わりに。

ほしのあき、オークションサイト手数料詐欺事件で謝罪文「軽率でした」(msn産経ニュース)

これには、ネット上で「ステマ」をしたほしのあき女史を叩くユーザーが多い様子だけど、もっと問題なのが事件が明るみになった当初、ほとんどのメディアがほしの女史の名前を出さずに「タレント(35)」と表記して報道していたこと。

実はネットメディアの多くは、タレント絡みの犯罪がタブーになりつつある。理由は簡単で、各メディアとも運営母体がブログサービスも展開していて、その顧客がタレントや所属事務所なので利害関係が生じているため。また、モデルやタレントの情報を発信しているメディアも、リリースを貰ったりイベントに出席したりする間に、金銭の授受といった関係はなくても知らず知らずのうちにタレントサイドの意向に沿うような立ち位置になりがちで、相互の関係に問題が発生するような情報を出さない判断する場合が多いような印象を受ける。

「ステルスマーケティング」は悪ではない

かくいうParsleyも、紙・ネットを問わず記事広告やコンテンツ広告の案件をお手伝いすることがあるのだけれど。事実を正確に記している限りにおいて「ステルスマーケティング」は問題がない。とはいえ、特にネット上ではあからさまに推していることが分かると「ステマ乙」と見抜かれてしまい逆効果に終わることも多いから、細心の注意を払った上で実施した方がいいということをクライアントには話すけれど。

もともと、記事広告は新聞や雑誌では一般的な手法で、知らない人からすれば広告なのか記事なのか見分けがつかないものがほとんどだろう。でも、見る人が見れば分かる。そのポイントを指摘するのは別の機会に譲るとして、それが記事広告だと見抜くことも含めて「メディアリテラシー」の部類に入るでしょ、というのが私の立場かな。

では、どういった場合に問題になるのかというのは、単純な話で法律に抵触するから。

ペニーオークション事件の場合、事実上落札できないものをあたかも落札できるように見せかけてユーザーに購入を促すシステムが詐欺の疑いがあるし、それを金銭の授受を得て虚偽の内容をブログという自分の「メディア」に載せたほしの女史らタレントには詐欺幇助の疑いがかかる。

また、事実と異なる誇大な広告を載せることは、景品表示法に定められる「不実証広告」に当たる可能性が高い。(参照

要するに、広告と明示しない広告に法的な規制はなく、またかける必要もないが、犯罪を助長するような内容や事実と違う内容を掲載しちゃだめでしょ、という至極単純なことなのだけれど。これが特にネット上においては守られていないケースが散見されるんですよね。

ブログ運営会社は悪くないのか

タレントに限らず、ブロガーが商品や金品の提供を受けて広告記事を書くということは今後ますます多くなっていくと思われるのだけれど。今回のケースのように、影響力のあるブログが虚偽の内容を発信したことについて、サービスを提供する運営会社に過失はないのだろうか?

非常にグレーなのは、特にタレントの場合本人や所属事務所に幾らかのギャンティが発生している場合があること。そして、タレントのブログがサービス全体のアクセス数を支えているケースが多く、サービスの広告収入に影響を与えているという事実だ。

もちろん、ブログの内容に検閲を加えるというのは表現の自由に反するからやってはいけないのだけれど。今回のように複数のタレントが広告費を得て詐欺行為に加担するというのは、運営会社にもリスクになる。ブロガーの信用だけでなく、ブログサービスの信用も落ちることになるからだ。ブログを開設・運営にギャランティが発生している場合には、チェック体制を築くことが求められるし、そのようにしないと運営会社自体の一般ユーザーからの信用が失われていくのではないだろうか。

ネットメディアに矜持なんかありません

前述したように、ブログ運営会社の大手は自前のニュースポータルサイトを持っている。そのため、今回のようにタレントが問題を起こした場合、そのニュースを掲載しない、もしくは大きく取り上げないという例が少なくない。

このことは、ネットがテレビ・新聞といったオールドメディアに取って代わるという期待を大きく損なう可能性がある。そういった意味でペニーオークション事件では今のメディア業界でどのような力関係なのかがキレイに浮き彫りになったとも取れる。タレント所属事務所や広告クライアントに対して角が立つことは出来ないという現状は、ニュースポータルサイトの公共性と矜持がどこにあるのかという疑問をリテラシーの高いユーザーに与えたのではないだろうか。

私の知る限り、ほとんどのニュースサイトは内部に甘いし、利害関係が少しでもある場合はユーザー側ではなくクライアントを向く担当者の方が多い。それは各サイトの編集部が部内で独立していないか、セクションとしてまだ弱いという事情があったりするのだけれど。犯罪が絡んだ場合に率先して事実関係を明らかにする勢力がほとんどないというあたり、まだまだ週刊誌の役割は大きいし、ネットメディアってダメダメだな、という感想を持ってしまうよなぁ…。

そんなこんなで。クライアント、特に芸能事務所に対してネットサービス運営会社は異常に甘く、それがニュースにも影響しているのはどうなのよ、というオピニオンを誰も上げていないので上げてみました。

というか、日本には一応口コミマーケティングの適正を目指すWOMマーケティング協議会という団体があったりして、ほしの女史のブログを運営するサイバーエージェントも会員だったりするのですが。今回の事件に関して何らかの見解出さないでいいのかしら?

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