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人工衛星の打ち上げと称する事実上のミサイルの発射

北朝鮮の「ミサイル」発射騒動は、長い名称がついて回った。ただの人工衛星打ち上げなら、日本もしょっちゅうやっている。どこの国も迎撃の準備などすることはない。だから今日の朝日新聞も、わざわざ「ロケット」ではなく「ミサイル」と表記する理由を説明していた。

ミサイルとは、何らかの誘導操作を伴う飛行爆弾の総称で、遠距離ミサイルは多段ロケットで飛行する。ロケット技術そのものは人工衛星用のものと共通だが、飛ばす目的が違うから、弾頭をつけていないロケットは、常識的にはミサイルではないから「ロケット」と呼ぶのがふさわしい。

ところが今回は事情が複雑だった。安保理決議で北朝鮮は無届け核実験に対する制裁を受けており、議長声明で「弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射」も中止するよう求められていたからだ。それを無視しての発射だから、上記のような、ややこしいことになった。

しかし今回は、3段目まで飛行して「衛星」部分を切り離し、地球周回軌道に乗せたということだ。3段目ロケットは大気圏に落下して燃え尽きたことになる。ただしこの「北朝鮮初の人工衛星」は、今のところ電波を発している様子がない。世界初の人工衛星「スプートニク」も、小さいながら電波を発信して、世界に新時代の幕開けを告げたものだ。

人工衛星を空に上げるのは、言うまでもなく大気圏外から情報を得るためだから、地上へつながる何かの通信機能がなければ意味がない。一定の速度で地表と平行に飛べば、何でも必ず周回軌道に入るに決まっているから、それだけでは単に宇宙ゴミを一つ増やしただけのことになる。北朝鮮の「人工衛星」が、その名に値する代物かどうかは、間もなく明らかになるだろう。

それにしても、迎撃ミサイルを配備するほどの相手だったのだろうか。レーダーの探知能力テストに利用する程度でよかったのではあるまいか。

 

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