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関係者に読んで欲しい、ソシャゲ規制論の争点

先の投稿では、ソーシャルゲーム規制論の本質は「賭博罪にはない」というお話をしました。本日は「じゃぁ、本質はどこにあんのよ?」というお話をしようと思います。

争点1. ソーシャルゲームは何処を目指しているのか?

我が国において射幸性に関連するゲームは、その度合いの高低によって幾つかの分類が存在しており、それを大雑把に纏めたのが以下のプロット図となります。

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当然、最も射幸性が高いとされるのは、刑法第185条で禁じられている「賭博」にあたるもので、我が国では公営賭博のみが特別法によって合法的に営むことが出来るものとして規定されています。一方、最も射幸性が低いと考えられているのが景品や懸賞と呼ばれるもの。これらは、あくまで主たる商行為に付随する「オマケ」として提供されるものであり、ゲームの参加自体にお金を払うものでは有りません。よって、一般的な商行為の一環として特に許認可等の取得の必要とされてないのですが、それでも一定の法の制限はあって、景品表示法と呼ばれる法律がその景品の出し方などを規制しています。

そして、難しいのが上記「賭博」と「景品」の中間に位置する存在であり、それらを規制しているのが「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、通称風適法です。風適法は、射幸性に関連する営業行為を以下のように2つに分けて規制の対象としています。

・ 客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業(七号営業)
・ 本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗[...]において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(八号営業)

前者はパチンコ店、後者はゲームセンターにあたる営業行為です。風適法では、パチンコ店に対してその営業方式に一定の射幸性の存在を認めながらも、それが「過度に」客の射幸心をそそらない様に営業上の様々な制限を付加しています。一方、ゲームセンターにあたる営業行為に関しては、営業自体は射幸心をそそる事を目的としていないものの、それが本来の目的以外の使われ方をした場合に「結果的に客の射幸心をそそる可能性がある」営業として規定。前者のパチンコ店ほどの厳しい規制ではないですが、コチラに関しても許認可制度を採用し、一定の営業規制をかけています。

ソーシャルゲーム規制論における、最初の論点はソーシャルゲーム、もしくはソーシャルゲームも含む広義のオンラインゲームが「上記のどの営業行為に類似する相当であるのか?」、もしくは業界そのものが「この先、どういった営業を目指すのか?」という点にあります。業界が目指すところによって、その規制の強度やあり方というのは明確に異なるのです。

争点2. ソーシャルゲームに規制をかけるべきか?

もう一度プロット図を見ていただければ判るとおり、射幸性に関連するゲームを規制する法律のうち、刑法や景表法は店舗型、無店舗型に関わらず適用が行なわれます。一方、現在の風適法は店舗型の営業行為のみを規制の対象としており、類似する営業行為を無店舗(例:オンライン)で行なった場合はその規制が及びません。もう一つのソーシャルゲームの論点はまさにここにあり、これら現在は法的空白地帯となっている部分に規制をかけるべきか?というものになります。

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「規制すべき」派の主流となっているのは、現在は店舗営業のみを規制の対象としている風適法を改正し、その規制対象を無店舗型営業にまで拡大するという案。これは警察庁関係者からよく聞かれる制度案です。その他、風適法ではない新しい法律を作ることで、この空白地帯の規制を行なう案もあり、この案は本気で警察庁が風適法改正に向って動き出した時点で、経産省あたりが対抗案として出してくる予感がしています。このような各種案に対して、「一般社団法人ソーシャルゲーム協会」を代表とする業界側は、何とか法律による規制をかわし、事業者による自主規制の範囲で逃れたい。現在、まさにこのせめぎ合いの真っ只中にあるワケです。

私自身は「制度が民間の経済活動を制限する事は極力避けるべきである」というスタンスなので、もし可能であるのならば自主規制が一番良いと思っています。しかし、一方で業界側として認識しなければならないのは、やはり制度的な「公平性」です。

未だ産業規模が小さく、規制をかけるに及ばないレベルの時代であったのならばいざ知らず、現在ソーシャルゲームを含む広義のオンラインゲーム産業は4,200億円規模にまで成長しています。一方のゲームセンターの市場規模は4,900億円。社会的影響力という意味ではすでにオンラインゲーム産業はゲームセンター産業と匹敵する規模となっているワケです。その中で、一方のゲームセンターは風適法でその営業を制限され、一方のオンラインゲームは緩やかな自主規制の中で自由な営業が認められる…などという状態は、制度的公平性の観点からは非常に理不尽な状態が発生してしまうのですね。

なので、業界自主規制を進めようとするソーシャルゲーム協会をはじめとする産業人の皆様があくまで「自主規制」を望むのであれば、ゲームセンター業界あたりをベンチマークとして、少なくとも自主規制によってそれよりも健全性が維持できる体制があるという事を論証できる状態にまで持ってゆかなければなりません。何となく「自主規制のポーズ」で乗り切ろうなどという甘い発想では、近いうちに「規制すべき」論が再燃することになるでしょう。

ちなみにゲームセンター業界も、全日本アミューズメント施設営業者協会連合会(AOU)という業界団体を作って自主規制を進めており、AOUの業界加盟率は全体の約8割におよぶと言われています。しかし、それでもまだ業界の自主統制に任すには不足であり、風適法が必要であるというのが警察庁のスタンスです。

現在の一般社団法人ソーシャルゲーム協会は、未だソーシャルゲームのプラットフォーム会社を中心に6社が集まっただけ。CESA、JOGAなど関連する事業者および団体が参加を表明しているとのことですが、これからどこまで加盟率を高めて行けるか。。個人的には現時点でスマフォアプリ配信のプラットフォームとなっているApp Store、Google Playを自主規制に引き込めるかどうかあたりが、勝負の分れ目になりそうな気がしています。

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