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これが人気映画「007スカイフォール」では糊塗できないスパイ活動の現実だ

英国のキャメロン首相は12日、下院で、1989年に英・北アイルランドのベルファストで起きた弁護士暗殺事件について、軍や警察がプロテスタント系武装組織と内通していたことを認め、弁護士の遺族に謝罪した。

この事件をめぐっては昨年10月から再調査が行われており、キャメロン首相はこの日、下院で再調査報告書の内容を公表した。しかし、より徹底した真相究明のため公聴会の実施を求めていた弁護士の未亡人は「うわべだけのごまかしだ」と痛烈に批判した。

英国から分離し、アイルランドとの統合を求める北アイルランドの少数派カトリック系住民と、プロテスタント系住民が激しく対立した北アイルランド紛争最中の1989年2月12月に、問題の弁護士暗殺事件は起きた。

英治安部隊による非人道的な拷問に抗議してハンガーストライキを行っていたアイルランド共和軍(IRA)活動家を支援していた人権派のパット・フィヌケーン弁護士(当時39歳)は日曜日の夕方、ベルファストの自宅で妻、子供3人と食事を楽しんでいた。

そこに覆面をした男2人が玄関をハンマーでたたき壊して押し入り、フィヌケーン弁護士に14発の銃弾を撃ち込んだ。うち12発をフィヌケーン弁護士の顔面に撃ち込む残忍さだった。妻のジェラルディーンさんは軽傷を負ったが、子供3人は無事だった。

この事件は北アイルランド紛争の中でも、弁護士暗殺に英国家機関が関与していたことが強く疑われたことから、国連や国際人権団体アムネスティー・インターナショナルが独立機関による調査を英政府に求めるなど、異例の展開をたどった。

2001年11月、プロテスタント系過激派の1人が実行犯に武器を提供したことを認めたものの、弁護士殺害は否認し、釈放された。しかし、数週間後、プロテスタント系テロリストに殺害された。

2003年5月、別のプロテスタント過激派が逮捕され、犯行を認めたため、2004年9月に禁固22年の判決を受けた。

再調査報告書は、北アイルランド警察庁の関係者がフィヌケーン弁護士をターゲットにするようプロテスタント系武装組織に示し、武器を供与、その後の真相究明を意図的に妨害していたことは認めたものの、国家機関による包括的な共謀は否定した。

実行犯はプロテスタント系武装組織・アルスター防衛協会(UDA)の幹部で、UDAは情報の80%を国家機関から入手していた。

また、弁護士暗殺に関係したUDAの別のメンバーは英軍の情報員としても働いており、少なくともUDAの29人は英情報機関の協力者だった。また、英国防省の情報機関フォース・リサーチ・ユニット(FRU)はUDAのメンバーにIRAのファイルなどを提供していた。

北アイルランド警察庁や英情報局秘密情報部(MI6)、英情報局保安部(MI5)はプロテスタント系武装組織がフィヌケーン弁護士を狙っていることを知っていたが、自分たちの情報源を危険にさらす恐れがあるとしてフィヌケーン弁護士には通報しなかった。

当時、サッチャー政権の閣僚が弁護士暗殺の直前、「北アイルランドの弁護士はIRAを不当に支援している」と非難したが、再調査報告書は「政府は事前に暗殺に関する情報を入手していたわけではない」とし、当時の国防相らは軍関係者によってミスリードされていたと結論付けた。

当時、北アイルランド紛争は「紛争」というよりもプロテスタント系過激派とカトリック系過激派による「内戦」に近い様相を呈しており、英軍も情報機関も敵対するカトリック系過激派組織の情報を収集するため非人道的な方法を容認していた。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチによると、リビアのカダフィ前政権で対外情報活動を指揮したクーサ元外相の事務所から昨年9月、米中央情報局(CIA)やMI6がかつて反カダフィ派の6人をカダフィ政権側に引き渡していたことを示す証拠が見つかった。

人気スパイシリーズ「007」の最新作「スカイフォール」が英国や米国でトップの興行成績を上げ、MI6のイメージを良くしているが、弁護士暗殺事件は、きれいごとでは済まないスパイ活動の現実を赤裸々に物語っている。

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