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【読書感想】ソニー半導体の奇跡―お荷物集団の逆転劇

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ソニー半導体の奇跡: お荷物集団の逆転劇
作者:斎藤 端
発売日: 2021/02/27
メディア: 単行本






Kindle版もあります。

ソニー半導体の奇跡―お荷物集団の逆転劇
作者:斎藤 端
発売日: 2021/02/27
メディア: Kindle版

 スマートフォンカメラなどに搭載される「電子の目」、イメージセンサー。ソニーのイメージセンサー事業は現在シェアナンバーワンで、ソニーの収益面をがっちりと支えている。
 しかしこの事業、実はソニー社内では「問題事業本部」「負け組」「お荷物集団」と言われ、事業所の中心も神奈川県厚木市の「辺境」にある。そして、会社のトップはひそかに事業売却を検討していた――。

 一体どのようにしてソニー半導体は幾多のピンチを乗り切り、ついには会社の基幹事業といわれるまでになったのか? 素人本部長とプロの技術者集団による痛快逆転ストーリー!

 この「内容紹介」や表紙のコメントなどをみて、「リアル『半沢直樹』」みたいな話なのかと思いつつ手に取った(というか、Kindle版を買った)のです。
 実際に読んでみると、著者自身は開発に従事した技術者ではなく、東京工業大学で経営工学を専攻し、「文系枠」でソニーに入社したそうです。
 『プロジェクトX』的な「最前線での開発者のドラマ」というよりは、ソニー受難の時代の迷走っぷりと社内政治というものの複雑怪奇さが印象に残りました。

 当初はほとんど期待されておらず、他社への事業売却も検討された部署が、「イメージセンサー」の革新によって、会社の屋台骨を支えることになったのです。

 ソニーほどの大きな、優秀な人材が大勢いる会社でも、未来を予見することはできないのだなあ、と、あらためて考えさせられました。

 1年半くらい前から、株を少しだけ買っているのですが、ソニーの株価って、この1年半でかなり上がっているんですよね(日経平均株価も上がっているので、全体的に株価は上昇傾向ではあるのですが)。
 投資関係の雑誌を読んでいると、ソニー株が「買い」である理由に、必ずといっていいほど「イメージセンサー事業が好調」と書かれています。

 1970年代生まれの僕にとっての世界の『SONY』のイメージは、ウォークマンやAV機器、VAIO、映画、そして、プレイステーションなのです。

 ソニーをはじめする日本メーカーのAV機器は、価格競争力の低下で世界でのシェアを落としており、ソニーは携帯ゲーム機でも、PS VITAがニンテンドー3DSに遅れをとっていました。

 そんなソニーを救ったのが、「イメージセンサー」だったのです。

 「はじめに」より。

 最近のソニーの業績を見ると、イメージセンサー(撮像素子)を中心とした半導体事業が収益の柱の1つとなっています。

 ソニーといえば、昔は革新的でユニークなエレクトロニクス機器(電子機器)を世の中に提供し、世界をあっと言わせてきた企業です。世界初の商品を開発することに情熱を注いできた会社でもありました。 しかし2000年代に入ると、その輝きが薄れたという評価を受けるようになります。

「ソニーがダメになった」という理由に対しては、本当にさまざまな分析がなされています。
 ダメになったのは、べつにソニーに限った話ではありません。2000年以降、日本の家電、電機業界全体で地盤沈下が起きています。業界全体が下り坂に苦しんでいたころ、ソニーでは出井伸之会長兼CEO(最高経営責任者)からハワード・ストリンガー会長兼CEOに政権移行が行われたのです。

 このころ、私はデバイス(部品)部門である半導体事業本部に副本部長として異動してきたばかりでした。ソニーでデバイス部門というと、テレビや家庭用ゲーム機といったセット(完成品)の差異化に貢献するサポート部門という位置づけが強くなります。本社のマネジメント部門の注目度も低く、部品供給と予算で約束された利益創出に興味を示すくらいで、それ以外ではあまりとやかく言われない存在でした。

 半導体事業本部は、神奈川県厚木市に事業の中心を構えています。ソニーでは「厚木、仙台、ニュージャージー(アメリカのニュージャージー州にアメリカの販売拠点がかつてあった)」と言われる存在です。本社からの縁遠さや古い体質を密かに揶揄して、そう呼ばれていたのです。

 2005年に半導体事業本部の副本部長、2008年には本部長を拝命した私は、半導体技術についてはまったくの素人でした。興行系の大学を卒業したといっても、専攻は経営工学という、電子工学とは無縁の領域です。
 しかも副本部長に就任して以降は危機続きでした。製品の品質管理による赤字、家庭用ゲーム機「プレイステーション3」用の半導体の赤字……。本社からは「問題事業本部」と目をつけられていました。事業売却候補の集団でもありました。

 仙台、厚木、ニュージャージーの人たちが、なんだかかわいそう……僕が住んでいるところより、ずっと「都会」なのに……(ニュージャージーに関しては、どんなところだかよくわからないけれど)

 そもそも「イメージセンサー」って何なのか?スマートフォンのカメラなどに使われている、ということくらいは知っているけれど……
 僕はこの本を読んで、ようやく、「イメージセンサー」の仕組みがわかり、「なぜ、イメージセンサーがソニーを救ったのか?」も理解することができました。

 時代の流行に遅れつつあったソニー。
 同じようなことは、本書の舞台である半導体事業本部にも起きていました。
 主力商品であるCCDイメージセンサーが早晩、CMOSイメージセンサーに取って代わられると見られていたのです。

 イメージセンサーは撮像素子ともいいます。光を感じて電気信号に返還する半導体センサーで、「電子の目」とも称されます。デジタルカメラに代表される光学機器の重要な部品です。
 フィルムカメラでいうならフィルムにあたります。カメラのレンズを通って入ってきた光をイメージセンサーがお皿のように受け止めて、画像を作り出す大切な部品です。

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