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【スキャン&ゴー】、買い物の仕方から数字までイノベーションをもたらしているIT事例!



■パンデミック以降、感染リスクを下げるために外出を控え、消費者はまとめ買いの傾向を示している。

新型コロナウイルス感染拡大に伴いスーパーマーケットなどで買い物をする頻度を減らしながら、1回あたりの購入量に購入金額が増えているのだ。

1年前の外出禁止令によりリモートワークなど在宅勤務が増え、消費者は自宅で食事する回数や消費量が増加している。

気軽に買い物にも行けないため買いだめやまとめ買いとなり、1回あたりの購入金額が増えるのだ。

スーパーセンターなどアメリカ国内に4.740店を展開するウォルマートでは国内事業部となるウォルマートUSの既存店・売上高前年同期比が直近の11月~1月期で8.6%の増加だった。

内訳は客数を示すトランザクション(処理件数)が10.9%の減少だったが、依然として買いだめが続き客単価は21.9%の増加となったのだ。

客数減に客単価増となる傾向は第1四半期(2月~4月期)の客数5.6%の減少、客単価は16.5%の増加に第2四半期(5月~7月期)の客数が14%減少に客単価27%の増加、第3四半期(8月~10月期)の客数が14.2%の減少、客単価は24%の増加と1年続いている。

ウォルマートのように客数が減少しながらも客単価が大幅増という極端な動きではないものの、巣ごもり需要で客数より客単価の増加が目立っているチェーンは少なくない。

ウォルマートの競合で約1,900店舗を展開するターゲットでは直近の第4四半期(11月~1月期)で客数が6.5%増、客単価が13.8%の増加だった。

ターゲットの第1四半期では客数が1.8%の減少、客単価が12.5%の増加、第2四半期は客数が4.6%の増加、客単価が18.8%の増加、第3四半期も客数が4.5%の増加に対して客単価は15.6%の増加となっている。

国内に2,700店以上の食品スーパーを展開するスーパーマーケットチェーン最大手のクローガーは客数・客単価の内訳を発表していない。

同社CEOのロドニー・マクマレン氏は第3四半期(8月~10月期)決算の発表で「パンデミック以降、客数の減少と客単価の増加が続いている(As a result of the pandemic, we continue to see increased basket sizes and fewer customer visits)」と述べている。

32州に2,250店を展開する全米第2位のスーパーマーケットチェーンであるアルバートソンズも同じ傾向だ。アルバートソンズCEOのヴィヴェック・サンカラン氏は今年1月、「お客様は買い物件数をまとめることで、客数が減少しながら客単価が増加しています(Customers continue to consolidate trips, and we continue to see fewer trips per household but larger baskets)」と話している。

日本にも店舗のあるコストコでも同様だ。コストコの直近となる2月は客数が前年同月比で横ばい、客単価は13.8%の増加だった。

 これらに反して、客数の増加幅が客単価のそれを上回っているチェーンストアがある。

「買い物をする頻度を減らしながら、1回あたりの購入量が増えている」傾向とは逆となっているのが、ウォルマート傘下でメンバーシップ・ホールセール・クラブのサムズクラブだ。

サムズクラブの第1四半期(2月~4月期)では客単価がほぼ横ばいとなる0.1%の微増にとどまりながら、客数は11.9%の増加となった。第2四半期(5月~7月期)も客単価が4.3%の増加に客数は8.7%の増加だった。

第3四半期(8月~10月期)も客単価が4.0%の増加で、客数は6.8%の増加となった。直近の第4四半期も客単価が2.2%の増加に対して、客数は8.4%も増加した。

サムズクラブの顧客である会員は買いだめより、お店に行って買い物をする回数を増やしているともいえる。

その大きな理由となるのがサムズクラブ・アプリにある「スキャン&ゴー(Scan & Go)」だ。スキャン&ゴーはお客自身が商品バーコードをスキャンしながら決済まで行うセルフ・スキャニング・システムだ。

スキャン&ゴーで買い物することで買い物袋に入れながら買い物ができ、買い物途中で消費税込みの合計金額の確認も簡単にできる。このため予算内の買い物にも便利なのだ。

何よりも便利なのはレジを素通りできることだろう。レジ行列に並ぶ必要はなく、レジ台に商品を置く手間もない。

何より人との接触が最小となることで、店内での感染リスクが下がる。パンデミック下でスキャン&ゴーはお客にとっても店内のスタッフにとっても大きなメリットがあるのだ。感染リスクが下げられることで買い物回数が増えているといえる。

 サムズクラブのスキャン&ゴーでは、IT導入により顧客の買い物の仕方から実際の数字まで大きな影響をもたらしている事例となっているのだ。

トップ画像:スキャン&ゴーはお客自身が商品バーコードをスキャンしながら決済まで行うセルフ・スキャニング・システムだ。スキャン&ゴーがあることで他社チェーンの「コロナ禍で買い物をする頻度を減らしながら、1回あたりの購入量が増えている」傾向とは逆となっているのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤は仕事柄、コストコとサムズクラブの会員になっています。距離が近いこともあり、サムズクラブで頻繁に買い物をしています。コストコ1回に対してサムズクラブには7~8回ぐらいの割合で行っていると思います。サムズクラブではレジ待ち不要のスキャン&ゴーがあるのでストレスフリーで買い物ができます。スキャン&ゴーに対抗してコストコは、セルフチェックレジの導入を拡大しています。

セルフレジはフルサービスのレジに比べて待ち時間は短縮されています。ただし問題は商品を持って商品バーコードをレジ台のスキャナーに晒す必要があることです。ハンディスキャナーがないため(スキャン忘れや不正の防止策?)大きな商品も一々、持ち上げなければなりません。つまりコストコのセルフレジは商品数が少ないだけでなく、小さく軽い商品が対象になります。サムズクラブのスキャン&ゴーはスマホなので商品の大きさや重さに関係なくカートに入れたまま商品をスキャンすればいいだけです。

 コストコもスキャン&ゴーを導入してくれたら買い物がどんなにラクになるかを日本の人たちにも味わってほしいのですけどねぇ。

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