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債券先物は幻の過去最高値更新、歴史は繰り返すのか

 2012年12月11日に長期国債先物(主限月)は145円30銭をつけて過去最高値を更新した。しかし、この事実はあまり騒がれることはなく、どうやら2003年6月11日につけた、これまでの過去最高値の145円28銭と同様に、市場参加者からはあくまで参考値程度の扱いとされそうである。記憶上は12月7日につけた145円26銭が中心限月の高値とされるかもしれないが、記録上は12月11日の145円30銭が債券先物の過去最高値となる(2012年12月12日現在)。

 今回もこのあたり記録しておかないと、あとで何が起きたのかがわからなくなる恐れがあるため、備忘録として今回の状況を残しておきたい。

 12月6日に債券先物は2003年6月10日につけた過去最高値の145円09銭を抜いて、過去最高値を更新と報じられたが、これはある意味正しく、ある意味正しくはない。

 先物の中心限月の交代については、正式にはイブニング・前場・後場のオークション取引(つまり立会外取引除く)の出来高が逆転した「翌営業日」から中心限月の定義が変わることになっている。

 2012年12月6日に債券先物12月限は145円24銭まで買われ、市場参加者から見た中心限月としては2003年6月10日の145円09銭を抜いて最高値を更新した。12月7日に12月限は145円26銭をつけており、これが現時点(12月12日現在)での中心限月としての高値と記憶されることになるはず。

 12月10日に2013年3月限の日中出来高が12月限を抜いて売買上では中心限月が3月限に移った。しかし、イブニングを含むトータル出来高では10日にはまだ逆転しておらず、形式上は11日まで中心限月は12月限となる。その11日に12月限が145円30銭まで買われ、2003年6月11日につけた過去最高値の145円28銭を更新した。つまり記録上では2012年12月11日に債券先物の過去最高値が更新されたことになる。

 これと同様のことが、これまでの過去最高値をつけた際にも生じていた。もう一度、2003年6月に債券先物が過去最高値をつけた際の状況を振り返ってみたい。

 2003年6月10日の後場に当時の債券先物の中心限月であった6月限は145円09銭まで上昇した。そして翌日の6月11日に10年債利回りが0.430%をつけたが、これが現在でも日本の長期金利の最低記録として残っている(世界記録は今年、スイスに更新されてしまった)。先物6月限もこの日の前場に145円28銭まで上昇した。

 この6月11日に債券先物の日中出来高で9月限が6月限を上回っていた。市場参加者の間では日中出来高が逆転すると債券先物の中心限月が実質的に移行との認識であり、トレードも新しい限月中心に移行する。市場参加者にとり11日の先物中心限月は9月限となっていた。つまりこの日つけた6月限の145円28銭は中心限月ではないとの認識であり、ある意味、幻の高値となってしまったのである。このため、債券先物の中心限月の高値は2003年6月10日に6月限でつけた145円09銭と市場では認識された。

 ところが、東京証券取引所の資料を見ると、長期国債先物(通称、債券先物)の市場開設来の最高値(主限月)は145.28(2003/6/11)と記載されている。つまり正式な債券先物の最高値は11日につけた145円28銭が記録として残っている。もしこのまま今年の先物が145円30銭を抜かなければ、今度は長期国債先物(債券先物)の市場開設来の最高値(主限月)は145.30(2012/12/11)と記載されるはずである。

「TSE Derivatives Market Highlights」
http://www.tse.or.jp/rules/derivhighlights/b7gje60000005p5l-att/b7gje6000002bbhm.pdf

 ここで注意すべきは、2003年6月に過去最高値をつけたあとに何が起きたかである。6月17日の20年国債入札をきっかけに債券相場が急落し、これはVARショックと呼ばれた。今回、債券先物が幻の最高値を更新するという同じような状況が発生したことは、単なる偶然であったのか。急落とは言わないまでも、日本の債券相場がそろそろピークアウトしてくることを示唆した可能性もあるのではなかろうか。

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