小学生に絶大な人気があり、教材にも使われる「Minecraft(マインクラフト)」、通称「マイクラ」。作品コンテスト「Minecraftカップ 2020全国大会」最終審査会・表彰式が2月21日(日)に開催されました。
今年は小学校低学年部門、小学校高学年部門、中学生部門、高校生部門の4部門に分かれ、個人での参加。プレゼンテーションから表彰式まで、すべてオンライン上で行われました。
最終審査会には小学校2年生~高校1年生までのファイナリスト20名が登場。ワールドの完成度だけでなく、SDGsなどのテーマを自分なりに解釈した着眼点、プレゼン力にも注目が集まりました。前編・後編でリポートします。

この記事のポイント
・トレロでタスク管理する小学生も?力作ぞろいの部門賞
・「宿題を終わらせてから毎日取り組んだ」。海や山と共生する“未来の学校”が大賞に
・オンラインでのマイクラ大会。子どもたちが学べることは?
トレロでタスク管理する小学生も?力作ぞろいの部門賞
参加者はMinecraft: Education Edition(教育版マインクラフト)を使い、「未来の学校~ひとりひとりが可能性に挑戦できる場所~」を表現。Society5.0・SDGsなど未来につながるテーマを元に「未来の学校はこんな風になっているかも?」「自分ならこんな学校を作りたい!」というワールドを数カ月かけて制作しました。まずは部門賞を受賞した作品を、審査員の言葉とともに紹介します。
小学校低学年部門優秀賞 「レッドストーン小学校」りゅうきさん(福岡県・小2)



Kazuさん(動画クリエイター)
「差別をなくし、ゾンビも教育を受けられることにすごい感動しました!」
レッドストーン回路(自動ドアを作ったり離れたランプを点灯したりできる仕組み)が大好きで、給食が自動でできるシステムを披露したりゅうきさん。作物の収穫だけでなく、食べ残しやトイレで出たものもコンポスターで骨粉にし、畑まで運ばれる循環型の仕組み。夜は光と階段が出て、ゾンビも安心して授業を受けられます。

タツナミ シュウイチさん(プロマインクラフター)
「あなた本当に小学生ですか?」
審査員と視聴者は、制作の管理術にも驚きました。タスクの管理はお母さんの提案でTrelloアプリを使用。データのバックアップも進展ごとに保存し、リスク管理も万全です。

6歳のとき、お母さんのパソコンでマインクラフトをはじめたりゅうきさん。今回の作品作りでMakeCode(ブロックを積み上げるプログラミング環境)を使ったことでScratchも上達。コマンド(天気を変えるなどできるテキスト)入力に使う英語の小文字も覚えたそう。将来なりたいのは「パン屋さんかおもちゃ屋さん」。
小学校高学年部門優秀賞 「エネルギーが学べる学校 その名はたかさご小学校」しょうたさん(埼玉・小4)



タツナミ シュウイチさん
「よく調べている。遊びながら学べるコンセプトもいい!」
しょうたさんが考えた未来の学校では、RPGゲームのように、楽しみながらクリーンエネルギーやSDGsについて学べます。いろんなところで学習ができ、エージェント(プログラミングにより仕事をしてくれるロボット)と協力してミッションをクリアしながら、発電の仕組みも知ることができます。
SDGsについてはまずカードゲームで知り、エネルギーについては科学館やトヨタ シティショウケース、那珂核融合研究所などに足を運んで知識を深めたそう。締め切り一週間前には完成し、最終週はバグのチェックにあてたそうですが、ふだんのスケジュール管理は「苦手なほう」(しょうたさん)。

「マイクラは5歳から、最初はスマホ。3年生からパソコンでやるようになり、プログラミングもはじめました。今回はいろんな仕掛けがある作品を完成させることができました」(しょうたさん)。サッカー選手を目指しています。
中学生部門優秀賞 「未来の学びの島!」山口翼さん(沖縄・中2)



大西一平さん(プロフェッショナルラグビーコーチ)
「巨大シーサーからはじまる、島全体が学校のスケールがすごい!」
SDGsの目標が達成された未来の世界。誰でもいつでも安全に学べる島丸ごとの学校を表現した翼さん。空の上の教室や海の中のスポーツ施設など、AIロボがどこでも好きなところにワープさせてくれます。
はじめの1月は最新技術のリサーチや構想に費やし、制作は3カ月ほど。1~2週間に1度は他の人に見せて意見をもらい、アイデアや建築を改良。巨大な建築物の複製には時間がかかったり失敗したりすることがあり、試行錯誤しました。

翼さんは小4でマインクラフトPC版とプログラミングをはじめ、最近は自分のマイクラ作品をVRで体験できるよう制作中。将来は好きなプログラミングと音楽を仕事にしたいそうです。