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インフラの整備よりも既存分の維持管理のほうが優先される時代なのかもしれない

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12月2日に起きた中央高速道路の笹子トンネルにおける崩落事故は本当に驚きました。甘い考えでしたが、私は日本でこのような事故は起こるとはあまり想像していませんでした。お亡くなりになった9名の方々は本当にお気の毒で運が悪かったと思います。ご冥福をお祈りいたします。

それにしてもこのような災害って本当にこわいですよね。中央高速という高速道路の幹線道路のなかでもこのトンネルは、都内にも近い非常に重要なトンネルですから、inti-solさんもご指摘のように都民ならこのトンネルをくぐっている人が多いはず(旅行、商用、帰省、学校行事その他)。もちろん私も利用した経験があります。私やあなたがこの事件に遭遇しなかったのは、単なるたまたまでしかないかもしれません。

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で、日本で過去起きたトンネル(における)事故について考えてみましょう。有名なのが、1996年に起きた国道299号線(北海道)における「豊浜トンネル」での岩盤崩落事故でしょう。

しかしこの事故は、岩盤が崩落したという事故であり、トンネル自体の構造の問題ではないでしょう。

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また、1979年の日本坂トンネルの事故は、油脂をつんでいたトラックが事故を起こしたというもので、スプリンクラーの不備などの問題もありますが、事故自体は完璧に防ぐことは不可能ですので、トンネル自体というよりは、防災設備の改善その他のほうが問題だったといえます。

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なお鉄道のトンネル事故で有名なのが、1972年の北陸トンネル火災事故でしょう。深夜に北陸トンネルを走行していた急行「きたぐに」が食堂車から火災が発生し、30名もの尊い命が失われてしまうという結果になってしまいました。死者の多くは一酸化炭素中毒死だとのこと。

この事故も、車両の不燃化や、トンネル災害時の対応などのほうが問題で、トンネル自体の問題はさほどなかったようです。すいません、このあたり研究不足の可能性もありますので、重大なまちがいがあったら訂正します。

さて、今回の事故は、ずばりトンネルの構造そのものの事故でこのような大惨事が起きてしまいました。建設されて35年(1977年完工)といったって、トンネルというものの性質上そうそう新たなものを作るわけにはいかないですから、35年経ったといったってこのような事故がおきてしまっては困るにもほどがあるというものです。

報道されているところによると、救出された方の中には、もうトンネルには絶対入りたくないとおっしゃっている方もいるようです。しかしいうまでもなく社会全体としてはトンネルなしには物流が滞ってしまいますし、そうなったら世の中が成り立ちません。しかし、このような事故があると、至急いろいろ再検査・再確認が必要になってきます。

このトンネル自体、かなり最近チェックが行われたようで、その際は異常は見当たらなかったとか。別に検査自体を怠っていたわけではないでしょうから、つまりはその検査自体まったく実態としては不備なものだったということです。同じ構造のトンネルは至急チェックするとして、これとは別のタイプのトンネルその他に災害が起きないという保障はどこにもないわけで、これもかなり危険ですね。ともかくトンネルのみならず橋梁から高架の道路など、経年劣化が考えられるものについては、相当抜本的なチェックを必要とするんじゃないんですか。

で、実質その補修、最悪建かえその他に膨大な金が必要になりますね。首都高の補修に4兆円かかる(たぶん実際にはもっとかかります)という話もありますし、その他高速道路の調査・修理・補修にいったいどれだけの金がかかるでしょうか。なかなか現実問題として手に負える金額ではないかもしれません。

そうすると、これからの時代、実質的には新規インフラの整備よりも既存分のほうが重要になりコストも高くなるということになるかもしれませんね。これは好む好まないという話でなく、そういうことになるんじゃないんですか。これから建設される高速道路や新幹線が、既存のものより費用対効果で高いわけではないし、既存のものの補修を相当緻密な計画を立ててすすめていく必要がありそうです。

いまの日本の財政事情では、公共事業の縮小化は避けられませんが、既存のインフラ維持管理については、やはり経年更新をしていかなければならないし、それができなくなったら日本は非常にやばい状態でしょう。いまもじゅうぶんやばいですが、さらにひどくなりそうです。

しかも今回は、地震などの自然災害とは関係ない事故ですから、ますます不安です。東海地震でも起きた際、震源地と規模次第ですが、東名高速とか大丈夫ですかね? かなり危ないんじゃないんですか。

日本のトンネルその他の公共物は、それなりの頑丈さその他を備えていると思いますが、やはり建築当時の基準では予想できなかった経年化・老朽化がすすんでいるということですね。社会保障と同様に、こういう費用は節約はできても打ち切るわけにいきませんからね。はたしてこれからどうなるのか、素人なりに見ていきたいと思います。

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