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50年カーボンニュートラル

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原子力を電力安定確保の担保に
見通せない再エネ開発の将来
CO2の排出削減は“待ったなし”

温暖化が進む中、「脱炭素」に向けた国際社会の動きが急だ。わが国も2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)に向けた実行計画「グリーン成長戦略」を打ち出している。菅義偉首相が「経済と環境の好循環を生み出す成長戦略」と位置付けるように、今後、政官財を挙げた取り組みが進められよう。

50年の電源構成に対する政府のたたき台は、再生可能エネルギー(再エネ)5〜6割、水素とアンモニア発電約1割、原子力とCCUS(炭素回収・貯留)や二酸化炭素(CO2)を回収・再利用するカーボンリサイクル併用の火力3〜4割。あまりに漠としているが、何より重要なのは電力の安定的確保であり、急速に進む温暖化を前に二酸化炭素(CO2)の排出削減も“待ったなし”である。

島国・日本には、陸続きの欧州のような国境を越えた国際送電線はなく、必要な電力はすべて国内で調達する必要がある。カーボンニュートラルの成否は再エネやCCUSの開発にかかることになるが不確定要素も多く、既存の設備がありCO2を発生しない原子力を電力安定確保の担保として位置付けておく必要があるように思う。

もっとも当の原発は、法律が定める原則40年間の運転期間を前提にすると、現存する計36基のうち、50年時点で稼働できるのは建設中の3基だけとなる。東日本大震災(2011年)で起きた東電・福島第一原発事故の被害があまりに甚大で、10年を経た現在も廃炉の目途さえ立たない現状を前にすると、原発に対する拒否感が和らぐ可能性は低く、新増設には個人的にも抵抗がある。

となると原子力を担保として使える期間は限られ、50年目標の「原子力とCCUS、カーボンリサイクルの併用で3〜4割」の電源構成のうち原子力はほとんど見込めない可能性も出てくる。前述したように「再エネ5〜6割」にも不確定要素が付きまとう。50カーボンニュートラルを実現するためにも、あらためて柔軟で腰を据えた議論が必要ではないか。原発に対する賛否両論が鋭く対立する現状の議論だけで、事態を前に進めるのは難しい。

自然エネルギー財団、日本原子力文化財団など各種資料によると、2019年のわが国の電源構成は石炭32%、石油4%、液化天然ガス(LNG)35%、再エネ20%、その他3%。原子力は福島原発事故の影響で事故前の20%前後から3分の1の6%に落ちた。これに対し30年の見込みはLNG27%程度、石炭26%程度、再エネ22〜24%程度、石油火力3%程度のほか、原子力も20〜22%程度が見込んでいる。

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