- 2021年03月08日 10:35
「奇跡が起きる」と話題!ClubhouseはYouTubeをどう変えるのか!?
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クロスボーダークリエイター・放送作家の谷田彰吾です!毎月、芸能人のYouTubeについて考察させていただいておりますが、今月は少し思考を変えて、話題の新SNS『Clubhouse』とYouTubeの関係について考えてみたいと思います。
みなさんはClubhouse、利用していますか? 招待制なうえにAndroidのスマートフォンでは使用できないし、「使いたいけど使えてないよ」という方もいるかもしれません。日本では1月末頃から話題となり、ユーザー数はわずか2週間で100万人を突破したとも言われています。大変な流行りようであることは間違いありません。
まずは、ClubhouseがどんなSNSなのか、ご説明しておきましょう。「音声版Twitter」とも呼ばれていますが、大雑把にいうとラジオのようなSNSです。ユーザーが「部屋」を作ってトークすることができ、それを他のユーザーが聞くことができます。手をあげれば一緒にしゃべることも可能です。音声コンテンツはいくつもありましたが、誰かのおしゃべりを聞くだけでなく、いろんな人がつながって声でチャットできる。そんなツールになっています。
「引き算」が生んだおもしろさ!Clubhouseのバズりの秘密

Clubhouseには既存のSNSとは一線を画す大きな特徴がいくつかあります。そのキーワードになるのが「引き算」。普通のSNSにはあるものが、Clubhouseではあえて削除されているのです。
まずは冒頭でも少し触れましたが、「招待制」であること。昔のmixiみたいなもので、誰かの招待を受けないことには始めることができません。しかも、招待状の数は限られているので、むやみに友達を中に入れることもできないのです。これまでのSNSは、オープンで誰でも参加できるからこそ意味があったと思うのですが、Clubhouseはあえて制限しています。
では、なぜ2週間で100万人規模にまで成長できたのでしょうか?
そこには、Clubhouseの巧妙な拡散設計があります。Clubhouseの開発者たちは、まず起業家たちを招待しました。ITスタートアップ界隈の起業家たちは流行りものに敏感ですから、もちろん食いついていきます。
しかし、招待状の数が限られている。すると彼らは、自分のネットワークの中でも、より有名だったり、影響力が強い人だったりを招待します。
つまり、自然とトップインフルエンサーを巻き込める構造になっているのです。
起業家たちは芸能人らとも交流があるので、IT意識の高い芸能人から参加していくようになります。そうなると「どんなことを話しているんだろう」と一般層も気になり始め、爆発的に広がっていくという設計になっています。
そして、2つ目の大きな特徴は、話した内容は録音禁止、公開も原則禁止となっていること。SNSといえば、不特定多数の人たちに拡散されることが大きな魅力だったはずです。しかし、Clubhouseはまたしても逆。言ってみれば「密談」です。だからこそ聞きたくなるという人間の心理を突いたSNSとなっています。
居酒屋で飲んでいたら大好きな芸能人がやってきた。どんな話をするのだろうと思っていたら個室に入ってしまって聞こえない。「聞きたい…何話してるか聞きたい…」ついつい部屋に近づいて、聞き耳立てたくなりますよね? なんとなくですが、こんな感覚です。
そして3つ目は、「いいね」もコメント欄も存在しないこと。これも従来のSNSでは当たり前のようについていた機能ですが、Clubhouseには評価をするという概念そのものがありません。この引き算によって、Clubhouseは非常に荒れにくいSNSになっています。相手を批判したり傷つけたりするためには直接会話をしなくてはならず、匿名で手軽にできてしまうTwitterなどとは労力が大きく異なるからです。「つまらない」という声もありますが、心ない誹謗中傷が少ないことは良いのではないでしょうか。
ここまでは「引き算」というキーワードで特徴を書いてきましたが、次は他のSNSにはなかったプラスアルファの要素を押さえておきましょう。
Clubhouse最大の魅力は「偶然の出会い」

「セレンディピティ」という言葉をご存知でしょうか? マーケティング界隈などでも使われるこの言葉は、「偶然、予想外の素敵なものを発見すること」という意味でよく使われます。ジーパンを買うために洋服店に入ったら、素敵なジャケットに一目惚れして買ってしまった。そんな偶然の出会いは誰にでも覚えがあるのではないでしょうか。
Clubhouseの本当の新しさは、そこにあります。ユーザーは、部屋の中で誰もが声を出せるわけではありません。「話し手」と「聞き手」が明確に分かれています。講演会のように話し手はステージの上に立ち、聞き手は観客席で座って聞いているイメージです。ですが、Clubhouseには、話し手が指名することによって、聞き手が話し手に“昇格”する機能があるのです。これが素敵な偶然を生み出します。
たとえば、若手芸人さん数名が楽しく話している部屋に、突然、人気歌手が聞き手として入室してきます。名前や写真は公開されているので、誰が入ってきたのかもちろんわかります。芸人の誰かが気付いたら、話し手になってもらえるかオファーを出すことができます。ボタンひとつで観客席にいた人気歌手が話し手に早変わり。会話が始まります。こんな形で、偶然の出会いが成立してしまうのが、Clubhouseの凄さなのです。
これはYouTube的に言えば「コラボ」に近いものでしょう。YouTubeでコラボするには事務所を通したり、企画のすり合わせをしたり、お金が動いたり、いろいろな手間がありました。しかし、Clubhouseはボタンひとつでコラボを成立させてしまいます。これが奇跡を起こすのです。
先日、テレビ東京の佐久間宣行プロデューサーがラジオで、自身がClubhouseで体験した奇跡のコラボの話をしていました。佐久間さんが一人で部屋を立ち上げたところ、プロインタビュアーの吉田豪さんが入室し、二人でトークを開始。すると、吉田さんのフォロワーに通知が届いたことで、部屋のメンツが一変。なんと、秋元康さん、指原莉乃さんが入り、さらには歌手のASKAさん、AV女優の小島みなみさんまでもが入室したのです。
冷静に考えてみてください。これがテレビ番組だとしましょう。日本一のアイドルプロデューサーとその教え子で日本一の女性タレント、大物歌手、プロインタビュアー、人気AV女優…そしてテレビ局のサラリーマン。こんなカオスなキャスティングありますか?
そもそも秋元康さんやASKAさんはほとんどテレビに出ませんし、そこにAV女優がからんでくる番組なんてまずありえません。これだけのメンツを揃えるのがどれほど大変なことか。何度も言いますが、それがボタンひとつで成立してしまうのです。
私は放送作家としてテレビやYouTubeの現場で働いていますが、正直、Clubhouseのキャスティング力は脅威です。これまでのSNSよりも境界線が曖昧で、今のところ個人というよりはグループ単位のメディアという印象なので、参加しやすい。まだマネタイズができないこともあり、誰かのアカウントが一方的に得をするというようなことが生まれにくいのもハードルを下げています。
テレビでは見られないキャスティングが毎晩のように実現してしまうわけですから、ユーザーもそれがスタンダードになっていく。おなじみのメンバーでお送りしがちなテレビはピンチになるかもしれません。
では、Clubhouseは今後のYouTubeにどんな影響を与えるのでしょうか?
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