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「有事」モードへ完全転換する覚悟

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わが国での新型コロナウィルス感染者第一号から一年余り経った。わが国で変わらないことがひとつある。それは、厚労省をはじめ、政府は一貫して「平時」モードから抜け切れず、一向に、覚悟を決めた「有事」モードに完全転換し切れていないことだ。先日成立した特措法、感染症法改正法もその典型だと私は思う。

最大の焦点は、「有事には国が司令塔となり、責任を一手に負う」、すなわち「平時」通り、都道府県任せにはしない、ということを明確にし、全てを「有事」モードに切り替え、地方の声はよく聞きながら、最後は国が決めることだ。そうした大事なモードの大転換なしによって、本来助かる命が失われて来たのではないか、と与党議員の一人として責任を重く感じる。

昨年12月以降、全国で自宅療養中に亡くなった方々は少なくとも27人に上るという。そして、昨日の一部報道によると、その原因は第3波による感染者急増により宿泊施設確保が追いつかず、自宅療養者が急増、保健所の対応が追い付かず、死亡者が続出した、となっている。

この中には、いくつかの重要な認識違いがあり、その論理の裏にも、実は「平時」の発想のままで「有事」モードの体制構築ができていない結果、深刻な事態を招いているのでは、とみられる点が多々ある。

一番大きな認識違いからくる自宅待機中の死亡事例の根源的原因の一つは、新型コロナ感染症という、今だ未知な部分が多い、手強い感染症でありながら、相変わらず、陽性患者となった途端に保健所を中心とした「公衆衛生」の世界に患者を留め置き、それまで慣れ親しんできたかかりつけ医等の「地域医療」から隔絶させることだ。

保健所の職員の皆さんは、健康観察のため、電話で献身的に患者を気遣いながら、容体などを聞いてくれるものの、業務はパンク状態。病状が悪化しながら入院先を確保できず、患者は医師と話ができないうちに自宅で亡くなっていくケースが多いという。地域で自宅療養者の治療に当たっている数少ない医師の一人が昨日のテレビ画面を通じ「家族だけが保健所に入院先を探してもらえるよう折衝できるのであり、われわれ医師はそれができない」と、「有事」でありながら、「平時」通り「公衆衛生」優位が貫かれてしまう、もどかしい思いを吐露される姿が印象的だった。

昨年6月に私が自民党行革推進本部長として取りまとめた提言(注1)では、感染症危機対応体制に関し、「『公衆衛生」と『地域・臨床医療』の有機的一体化」を感染症有事における国家のガバナンス確立に向けての抜本改革の3本柱の重要なひとつとして提言した。コロナ危機を有効に乗り切ったと世界からみられている台湾、ベトナム、中国、韓国、などは、SARS、新型インフルエンザ、MARSなど感染症危機の教訓から、実際に「公衆衛生」と「地域臨床医療」との有機的一体化を既に実現し、今回もそれが機能しているという。陽性者の健康観察や入院先の調整を保健所、公衆衛生が独占する必然性はない。

二番目の問題は、宿泊療養について、「平時」の発想のままで「有事」に的確に対応できていない問題だ。上記のように、宿泊療養確保が感染者増加に追いつかなかった、というが、それは認識違いではないか。別の報道によれば、全国の宿泊療養施設約28,000室の使用率は、1月末時点でたった23%程度、緊急事態宣言下にあった11都府県でもこぞって50%以下にとどまっている、という。既存の宿泊療養施設は有効活用されていないのだ。

その主な原因は、ワンフロアの陽性者全員が退所して初めてそのフロアを一斉消毒するケースが多く、稼働率が全く上がらず、宿泊療養施設が有効に使用できていない状態が生じていること、もう一つは、入院と宿泊療養のオペレーションを全て行っている保健所の業務がパンクしていることにあると思う。そのため、宿泊療養施設に入所できないまま、自宅療養が続き、容体が急変、亡くなる方が続出してきた、と言えそうだ。

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