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【楽天も出資】知られざる商品を発掘するECサイト「Daily Grommet」

楽天は2010年以降、多くの海外企業に出資してきている。過去記事でも紹介している写真共有SNSの米Pinterest社もその一つである。その楽天が9月に出資したのが、米マサチューセッツ州に本社を置く、キュレーション型eコマース「Daily Grommet」である。

Daily Grommetは、世界中から個人や中小企業のアイデア商品を厳選し、独自にプロモーション動画を制作している。毎日1商品のみを紹介し、商品の売り上げの数%をコミッションとして徴収する成果報酬型モデルである。

2008年にスタートしてから既に1000以上の商品やサービスが紹介されている。米XCONOMYNY Timesでもインタビュー記事が掲載され、ユニークなビジネスモデルが注目されている。

2人の女性が起業した理由と、Daily Groment成功の秘訣

オーナーの一人であるJules Pieri(以下ジュウルズ)氏は、もともと工業デザイナーで、消費者の心理と行動を分析し、ある2つの事に気がついたことをきっかけに起業を決意した。

1つは、消費者が商品選びをする時に、一般的に情報が多過ぎ圧倒されてしまっているということ。もう1つは、商品についてよく調べてから購入したいが、時間がない消費者が多く、結局大企業の無難な商品を購入してしまうというケースが多いこと。

ジュウルズ(上写真左)は、もともと商品やその裏にあるストーリー、技術について熱い思いを持っていた。これをオリジナルのYouTube動画(2分程度)で伝える事で、消費者だけでなく、企業も支援できると思い、このビジネスをスタートさせた。

スタートする時点で、小さなビジネスをすることに興味が無かったジュウルズの行動力や発想、努力がこのビジネスを成功に繋げた。

また、共同創業者となったJoanne Domeniconi(以下ジョアンヌ)氏は、キャンパススニーカーでも有名な米Keds社での経営経験を生かし、主に商品の発掘に携わっている。

ジョアンヌ(上写真右)は、商品選びや伝えるべきストーリーを掘り出して行き、消費者に透明性のある有益な情報を提供している。

ジュウルズは、「ビジネスを続けて行く為に、オーナー二人の給料を数ヶ月休止し、それを企業の成長と発展のために使用した時期もある」と話していた。

こういった苦労した時期を乗り越え、顧客の期待に応えるために努力していたときに、楽天からの出資の話が飛び込んで来たそうだ。

「契約を結ぶまでには、不安もあったが、納得いくまで質問を繰り返し、楽天の考えるビジネスプランやゴールに共感を持てたことが、契約を進めた理由の一つでもある。」と述べている。

契約が成立してからは、楽天からの支援や指導があるだけでなく、ネットワークも拡大しビジネスの発展に繋がっている。

「サイトに広告は掲載したくない。あくまでも、自分たちが自信を持って紹介できる製品を掲載し続けることで、既存顧客との信頼関係を保ちたい」と話している。

このように、顧客との信頼関係を重要視することは、ビジネス発展にも重要なポイントとなっている。

発掘された商品は磨けば光るダイヤモンド

Daily Grommetは、週5日、毎日1商品ずつ、商品プロモーション動画に、商品のストーリーを添えて紹介している(これまでに1000以上の商品を紹介)。

毎日多くの商品情報が世界各地からサイトに寄せられ、独自の選定基準で選ばれたものだけがサイトで紹介される。

商品選定のポイントは、世の中にあまり知られていないが、非常に素晴らしいアイディア商品で、Daily Grommetの既存顧客にとって有益であること。

人気商品から考えるDaily Grommetの魅力

子供のために開発されたトラックフォークやお皿のセットを販売している動画を見てもらえばわかるが、2分強の動画の中に、商品の使い方、実際に使われている様子、作成者の想いが詰まっている。

Storyには、母でもある Jackie Malcolm氏が、息子が食事を楽しめる方法を寝ながら考えていた時に思いつき、翌日早速夫と共に試行錯誤して作成したことが紹介されている。

この商品を制作・販売している、米Constructive Eating社の、公式サイトにいってみたところ、サイトのデザイン性の低さに驚かされる。同じ商品なのに購入意欲に繋がらないようようなサイトデザインである。

同社のように素晴らしい製品を持っていても、ECサイトとして経験やスキルがあまり高くない企業にとって、プロモーションからカスタマーサポートまでやってくれるDaily Grommetは強い味方になる。

どのように唯一化されているのか?

Daily Grommetの強みは以下の3点に集約できる。

  1. 独自の視点で商品を発掘する
  2. 独自の視点で商品の知られざる魅力を引き出す
  3. 魅力をわかりやすく顧客に伝える

この箇条書きの中に2つ「独自の視点」という言葉を使っている。これが「唯一性」の源泉となっている。

ビジネスモデル自体は新しいものではない。僕はDaily Grommetのサービスを見た時「ジャパネットたかた」によく似ていると感じた。

ジャパネットたかたは家電というどこでも安く売っている商品を売っているが、商品の魅力を体験価値に置き換え、その体験に必要な周辺商品もセットにして販売している。家電を唯一商品に仕立てあげたお店だ。

では、Daily Grommetはどうか。
まだ世の中に知られていない商品を発掘する。商品の切り口を工夫して、新しい価値を見せる。商品を視点とコンテンツで唯一商品に仕立てあげた。

消費者はどこかで同じ商品を買うことはできるが、ジャパネットたかたやDaily Grommetを介して商品を知ることで、その商品の魅力が伝わり欲しくなる。なんとなく、共通したところを感じないだろうか?

企画者の能力次第で輝くのが、このタイプのeコマースだ。大手ECサイトとの差別化・唯一化の手法として今後も伸びていくフォーマットの一つであることは間違いない。

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