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ネット選挙運動解禁に、本気の政党はどこ?

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谷本晴樹((財)尾崎行雄記念財団 主任研究員) Twitter:@harutani

 総選挙が4日に公示となり、候補者個人のホームページ、ツイッターなどのソーシャルメディアは、一斉に「沈黙」した。インターネットが人々の間で普及し、そして直前には、アメリカ大統領選挙で積極的に活用されたのを目の当たりにして、今回ほど、その「異常さ」が浮き彫りになったことは、なかったのではないだろうか。一方で、選挙期間となっても、ネット上に各政党の広告が大々的に展開されている。このことに違和感を持つ有権者は多いはずだ。これらは、公職選挙法が規制する「選挙運動」ではなく、「政治運動」だという理屈である。そうはいっても、有権者の感覚にそぐわないのは確かだろう。これも、現在の公職選挙法がインターネットというものを全く考慮に入れていないために起こっている、現実との齟齬である。

 仮に前国会で付託されていた、自民党のインターネット選挙解禁法案が成立し、かつ今回の選挙に適用されていたならば、ネット上に今あふれている政党の広告は規制されていただろう。そしてある日突然、候補者の生の声が聞こえなくなるという事態も起こらなかっただろう。自分たちの代表を選ぶのに必要な情報は、今よりずっと流通していたはずである。

 今回の選挙では、あらためて、各党のインターネット選挙解禁への意志が問われているといえる。そこで各党の選挙公約について調べてみた。

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 このように、インターネット選挙解禁について、公約に入れているのは民主党、自民党、公明党、みんなの党、社会民主党であった。この中で最も詳しく記載しているのは、みんなの党である。みんなの党は、「個人認証の精緻化や秘密投票の確保がなされるようになった将来には、パソコンやスマートフォンを使ったインターネット投票を実現し、その技術を世界へと売り込む」ことまで記載している。

 公約に書いていない政党が、これを軽視しているかと言うと必ずしもそうではないかもしれない。例えば日本維新の会の橋下徹代表代行は、日ごろからツイッターで精力的に情報発信をし、公示前にもネットの使えない今の公職選挙法に疑問を呈している。さらに新党日本代表の田中康夫氏も、ネット選挙運動の解禁支持者として知られている。ネット選挙解禁を目指すワンボイスキャンペーンの行ったアンケートにも「賛成」と回答している。それだけに「公約」に書き込まれなかったのは残念と言わざるを得ない。

 公約の中で、どの項目に「インターネット選挙解禁」を置いているか見てみると、ネット選挙が必要な理由が見えてくる。つまり、「広く民意を反映(公明党)」させ、そして「若者の政治参画を拡充(社民党)」することを通じて、「政治への信頼回復(民主党)」をするためである。それはまさしく「政治・行政・公務員改革(自民党)」の一環であり、「先進国では日本だけが禁止する(みんなの党)」という異常事態をただすことを意味する。

 インターネット選挙運動解禁は、いったん2010年に与野党合意したものの、鳩山政権崩壊でとん挫し、前国会でも衆議院では自民党が、参議院ではみんなの党が解禁法案を出していたが、今回の解散で廃案となってしまったという経緯がある。

 少なくとも「公約」でインターネット選挙運動解禁を述べている政党が政権を取ったならば、責任をもって公職選挙法は改正してほしい。また解禁を公約している野党も、これまでのように、国会の駆け引きで審議すらできないという失敗を繰り返さないためにも、他の法案とは切り離して協力すべきである。

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