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デジタル通貨狂騒曲

バンクーバー近郊の中華系のフードコートにはアジアの屋台のような雰囲気を持つところもあり、安くておいしいので私はよく行くのですが、店によって現金払いがダメなところと現金だけしか受けないところがあるのです。私が現金払いが嫌なのはお釣りの小銭を貰うことで、現金しか扱わない店ではなるべく端数を小銭で渡してお釣りがないようにするか、お釣りがお札になるようにしています。ということは財布と共に小銭入れを持ち歩かねばならず、自己都合だとしても面倒だなと最近ひしひしと感じます。

その中華料理の本家、中国本土ではデジタル中華元の発行の準備は整いつつあるとされており、その発表がいつなのか、注目されています。一部では来年2月4日から開催される北京冬季五輪に向けて実用化させるのではないか、とも言われています。

昨年、アリババの金融子会社アント社の上場を直前阻止した「事件」がありました。報道をそのまま読むとアリババの創業者、ジャックマー氏の言動に問題があったことを理由に上場を中止させた形になっているのですが、その問題が起きたときの当ブログ(20年11月6日付)に以下のように記させて頂いています。「中国当局が推進するフィンテック、デジタル元の実現を控え、アントが巨額IPOで資金をものにして更に先頭を走るのを遅らせたかったのではないか」と。

最近のフィナンシャルタイムズの報道を見るとこの読みはどうやら正しかったようです。FTの記事に中国国営大手銀行幹部の発言として「政府は行政の力を使ってデジタル人民元の普及を促し、テック企業が抱え込む消費者情報の独占を崩していくだろう」とコメントしています。

どういうことか、というとアリペイややウィチャットペイは暗号通貨でも「分散型」と称する民間主導型と位置付けられています。日本で発行されている電子マネーは全部分散型、ビットコインもその範疇です。これに対してデジタル元は「中央銀行発行型」と称され、国内の一般通貨として発行します。なぜ、中国政府がアントの上場を止めたか、と言えばでデジタル元を先に普及させ、分散型であるアリペイやウィチャットペイをその下におくための準備期間が必要だったということではなかったかとみています。

中央銀行管理型の特徴は政府がそのお金の流れを完全掌握できる点であります。これは共産党国家として人民の動きの管理という点において資金の動きを完全に透明化でき、マネーロンダリングや不正取引も全部わかるし、その人の消費行動が丸見えになり、うしろめたさがある人間にはあまりにも恐ろしい仕組みなのであります。

この中央銀行管理型は中国のみならず、EUでもアメリカでもカナダでも研究が進んでおり、多分、EUがその中でも一番早いはずですが、どこか小国の中央銀行が先鞭をつける可能性はあります。

日本では3月1日にヤフーの親会社ZホールディングスとLINEが経営統合し、ペイペイとLINEペイも一緒になり、ペイペイが引き継ぎ、いよいよ規模の追求になってきました。店舗側としても顧客としても早く数が少なくなってせいぜい2-3社に落ち着いてもらいたいと思っているでしょう。あとはデジタル円ができるのか、これがポイントとなりますが、日本の当局の性格は世界の動向をみて、というスタンスが非常に強いので研究は進むけれど実際の普及は当面なし、と見るのが正解かと思います。

ではビットコインはどうなのか、であります。消えると思っていたこの暗号通貨がなぜ、これだけ長期間にわたり話題になり、今、更にその在り方について着目されるのでしょうか?私も否定的ではありましたが、自分に固執するわけにもいかず、ビットコイン関連の投資をしながらニュースや展開を注意深く見守っています。

今回、ゴールドマンサックスがビットコインのトレーディングを再開すると発表し、シティグループはビットコインが国際金融システムでの役割を果たすシナリオを提示するなど金融機関によるデジタルコインの肯定が価値を担保する形になりつつある点は見逃せない変化であります。

使えないデジタルコインと言われながらもそれに取り組もうという動き、そしてビットコインのETFが生まれるなど確かに社会に浸透している点を考えると否定から肯定に気持ちを切り替える必要がある気がしてきています。

2020年代は何が何でも「デジタルがお好き」で突っ走るのでしょう。好む好まざるにかかわらず、であります。そうなってくると私の小銭入れの出番もなくなってくるわけで中華のフードコートで「現金払いOK!?やった、持ってきた小銭入れが役に立つ!」ということになるのでしょうか?冗談みたいな話ですけれど少なくともカナダでは現金の包囲網はどんどん狭まっているといってよいと思います。

では今日はこのぐらいで。

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