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国民はより良い「革新的保守思想」を望んでいる?

日本中は選挙戦真っ只中です。
総選挙は各政党勝ったり負けたりの繰り返し。
結局のところこの繰り返しおこなわれる政党の勝ち負けというものを左右するところの、日本の有権者が求めている政治的思想ってなんなのだろうかと、ちょっと考えてみたくなりました。

その前提として、意識すべきこと。
日本は以前より1億総中流社会と言われているように階級社会や人種差別的なものは社会全体を覆うような明確な形では存在しません。
加えて、階級や人種の問題が存在しないということにも関係があるのかもしれませんが、宗教というものも国民性を覆うような形では存在しません。
しかも、陸続きの他国からの侵略の脅威という概念もありません。

こういった世の中では基本的な国民の意識はたいてい、現状に100%満足ではないもの、大きく変わりすぎるリスクには不安を感じている、となるのではないかと。
大まかに言って似たり寄ったりのひとつの考え方に集約されがちなわけで、対立する階層や人種や宗教等の利益に立脚するような主義主張に拠る政党制というものはなかなか存立し得ない環境にあるとも言えると思います。
だから現状総選挙前の各党の主張を見るに、細かい足の引っ張り合いはあるにしても突き詰めれば基本は「保守」といった感じに思えてしまうのでしょう。

ではそんな日本において、基本「保守」に立脚した国民が求めより多くの支持を受ける政党の主張とはいかなるものであるのでしょう。
ここ20年ほどの流れを振り返ってみると、それは一言で言うなら「革新的保守思想」とでも言えそうなものかなと思えてきます。
もちろん古く昭和高度成長の時代はまったくの「保守」一辺倒だったものが、バブル経済崩壊後に様相が変わぅたのかなと。
細川政権の成立は、「保守」一辺倒に対する国民の最初の拒否反応だったのでしょう。
ここに「革新的保守思想」の流れが誕生したように思われます。

その流れの強さは、近年2000年以降の政界ではより明確になります。
自さ社連立で過去との決別をイメージさせ政権を奪還した自民党。
さらには「自民党をぶっ壊す」とぶち上げてかなり高い国民の支持をあつめた小泉政権が、自民党の生き残り策を古い体質からの脱却と定義し、国民受けする「革新的保守思想」を政権のイメージにダブらせることで実に見事にゆるがせのない長期政権を確立したのでした。

ところが小泉後の自民党は、小泉人気を守ろうとした保守性ばかりが目につきはじめます。
前進感を失った印象の政権運営に国民は嫌気し、1年毎に入れ替わったどの政権にも「革新性」を見出すことができずに、支持率は下降線の一途をたどったわけです。
そこで、自民党枝分かれの人間もメンバーに加わわることで「保守」的な安心感を一部に感じさせながら、かつ「変えてくれそうだ」という期待感すなわち「革新性」を抱かせた民主党に一度政権を渡してみることを国民が望み、前回の総選挙では民主党が圧勝して政権交代が実現したわけでした。

では今回はどうなのか。
民主党の支持率が下がりながらも依然「革新性」を欠く自民党の支持率が上がらないという状況が長く続いていた中、登場した「第三極」政党。
雨後の筍のごとく発生し離合集散を繰り返し今回の選挙に至った背景には、表向きの主要政策の違いこそあるものの、どの政党も「第一極」「第二極」から「革新性」が感じられないが故の政党立ち上げであったと思われるのです。
格差の拡大やかつてない隣国の脅威は、より一層国民に「革新性」を求める気持ちを高めたかもしれません。
しかし行き過ぎはダメ。
大きすぎる変化を望まない日本人には、基本線が「保守」でなくては受け入れられないからです。

私は今回選挙戦では各党党首レベルの演説を極力多く聴きまわっていますが、選挙戦に入ってようやく「第一極」も「第二極」も自分たちは「革新性」が高いのだというイメージの打ち出しに腐心している様子がうかがえました。
一方の「第三極」各党は、まず「第一極」「第二極」の「革新性」のなさを叩き、その上で「第三極」の中でもっとも現状を守りながら「革新的」であるのは自分たちである、「安心でき確実な変化を実現するのは我々」と、そんな主張を戦わせているように感じました。
主要政党は皆、自分たちなりの解釈で国民が好むであろう「革新的保守思想」を説いて回っている、そんな印象です。

バブル崩壊以降、少しづつ形を変えながらも日本国民に支持される「革新的保守思想」の現状における具体像とはいかなるものであるのでしょう。選挙戦も終盤にさしかかり世論調査等を見る限りにおいてすでにそれなりの答えは出つつある状況ではありますが、5日後の総選挙の結果を見届けてその視点からの検証を是非してみたいと思っています。

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