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【ワクチン外交は中国以外も】

アメリカでは国民の接種に向けて必要なワクチンの供給が順調に進んでいる一方で、ヨーロッパでは遅れていて、オーストリアやデンマークなどのEU加盟国がイスラエルやロシア、中国のワクチンに目を向けているそうです。

アメリカはアメリカで日本、インド、オーストラリアと組んで、対中外交にワクチン戦略を展開しようとしているとも報じられています。

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WSJはBiden Expects U.S. to Have Covid-19 Vaccines for All Adults by End of May(バイデン大統領、必要なワクチンは5月末までに確保)の中で、米バイデン大統領が新たに接種が始まった3種類目の新型コロナウイルスのワクチンの生産を政府として後押しし、接種の対象となっている全ての大人に必要なワクチンを5月末までに確保できる見通しを示したと報じています。

この発表は、接種が1回で済むジョンソン・エンド・ジョンソンがライバルのメルクがワクチン生産に協力すると明らかにした後に行われたもので、5月末までという見通しは2か月早まったということです。

また、バイデン大統領は学校の教師や職員、保育従事者に対してワクチンを優先的に接種するよう州当局に求めたとしています。

全米の教職員組合の中にはワクチン接種を対面授業の再開の条件としているところもあるということで、バイデン大統領は30の州が優先接種の対象にしているとした上で、3月末までに少なくても1回の接種を優先的に行うよう求めたとのことです。

1日現在でアメリカでは人口の15.3%にあたる5070万人が少なくても1回の接種を受けていますが、バイデン大統領は「戦いは決して終わっていない」と述べたそうです。

FTはUS and Asia allies plan Covid vaccine strategy to counter China(アメリカ、ワクチン戦略を同盟国との対中外交に利用へ)の中で、バイデン政権が日本、オーストラリア、それに製薬大国のインドと協力して各国にワクチンを供給する戦略を検討していると報じています。

アメリカを含めた4か国はクアッド(Quad)と呼ばれていて、中国の影響力に対抗するためにワクチン外交を展開することを目的に既に話し合いがもたれたそうです。

バイデン大統領は中国の軍事的、経済的台頭に対して、同盟国と協力を強化する考えをこれまでに示していて、関係国は近く戦略を発表する見通しだとしています。

4か国の協力は2004年のインドネシアを中心として地震災害をきっかけに始まったということで、アメリカにとってこの枠組みはインド太平洋の戦略の要だそうです。

これに対して中国は、この枠組みをアジア版のNATO=北大西洋条約機構だとして、アジア地域の緊張を高めるものだと批判。

Quadの各国は中国囲い込み戦略ではないと表向きは言っているものの、実際には中国台頭への対抗措置だと認めていて、バイデン大統領は中国がアメリカ外交の主軸だと強調しているということです。

CNNはEuropes’s unified vaccination strategy is splintering as countries turn to Israel, China and Russia for help(イスラエル、中国、ロシアにSOSを出す加盟国も出る中で問われるEUの求心力)の中で、ワクチン供給の遅れを背景にEU=ヨーロッパ連合の27か国の足並みが乱れていると伝えています。

オーストリアのクルツ首相は1日、ワクチン生産と供給をめぐってイスラエルとデンマークと協力していく考えを示し、4日にはデンマークのフレデリクセン首相と共にイスラエルと訪問するということです。

EUは域内のワクチン供給を一元的に管理していますが、供給が遅れEUでは人口4億4700万のうち5.5%しか接種していないことを踏まえて、オーストリアはEUの対応を批判してきたということです。

EUが認可しているのはファイザー/ビオンテック、オックスフォード/アストラゼネカ、それにモデルナの3種類ですが、これとは別にEU各国は同時に緊急承認をすることができ、オーストリアのクルツ首相もデンマークのフレデリクセン首相もEUのワクチン供給に対する対応の遅さを指摘してきたそうです。

一方、スロバキアがファイザーとアストラゼネカのワクチンが入手できないことからロシア製のSputnik Vワクチンを1日に緊急承認。

これに先立ってハンガリーがSputnik Vのほか、中国のシノファームのワクチンの接種も始めているということです。

ハンガリーはEUを通じてファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンの供給を依頼していますが、遅れているということで政府の報道官は「ワクチンは政治問題ではなく効果と信頼性の問題だ」とした上で「中国のワクチンもロシアのワクチンも世界各地で利用されている」と述べたとしています。

チェコのゼマン大統領もロシアのSputnik Vの接種開始を示唆したそうです。EU域内ではフランスがアストラゼネカのワクチン接種を65歳以下に限ったことでその後、75歳以下まで拡大したものの、フランス政府がもともとアストラゼネカに懐疑的だったことから接種率の低下につながっていると批判されているとのことです。

EUはロシアや中国に目を向ける加盟国もある中でワクチン供給を軌道に乗せることが求められると結んでいます。

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