
金正恩・北朝鮮国務委員長の“子供”をめぐって大騒ぎになっている。2月16日、金委員長が李雪主夫人と光明星節(故・金正日総書記の誕生日)記念公演を観覧。李夫人が約1年1か月ぶりに公の場に姿を見せた。
これについて韓国・国家情報院(国情院)のシンクタンクである国家安保戦略研究院(戦略研)が「出産で姿を見せていなかった」という見解を示したのだ。
この情報に韓国メディアは騒然。後に韓国統一部の李仁栄長官は「出産は把握していない」「姿を見せなかったのは新型コロナのためではないか」と出産説を否定し、戦略研も「内部資料が職員のミスで記者に配付された。戦略研の公式見解ではない」と釈明した。
情報の真偽は不明だが、明らかになったのは韓国の情報機関が「金正恩の後継問題」に注視している事実だ。在韓ジャーナリストが言う。
「正恩には10歳くらいの長男を筆頭に3人の子供がいると言われている。いずれ長男が“金王朝”の継承者になると見られているが、断言はできない。正恩自身が三男で、長男・正男や次男・正哲を差し置いて後継者の座に座ったわけです。その後、正男は正恩の指示で暗殺されている。
もし正恩の子供が新たに誕生すれば、将来の火種になる可能性は十分ある。韓国が調査に躍起になるのは当然です」
一方、別の見方もある。北朝鮮情勢に詳しいデイリーNKジャパン編集長の高英起氏が言う。
「金正日総書記は多くの女性を寵愛した。正男と正恩も異母兄弟で、それが激しい後継者争いにつながりました。しかし正恩に“側室”がいるという話は聞こえてこない。李夫人がたとえ長男の他に男の子を生んだとしても諍いにはならないのではないか。実際、正恩の実兄の正哲は政治から距離を置き、ギターを弾くなど音楽に傾倒する日々を送っているようです。
それより問題は、正恩の健康問題でしょう。昨年には心臓のカテーテル手術を受けており、健康不安説は根強い。長男が成人するまでに万が一のことがあれば体制は危うくなりかねない」
金正恩委員長が“子作り”をできる健康状態なのか──それも国情院の関心事なのかもしれない。
※週刊ポスト2021年3月12日号