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戦狼外交

 中国の力による一方的な現状変更の試みが、東シナ海や南シナ海を緊迫させています。

 2月1日に国際法違反の「中国海警法」が施行されました。同法は中国の海洋警備の「管轄海域」の定義がなく、適用範囲が不明確です。滅茶苦茶です。その管轄海域において、中国海警局による武器使用が認められており、紛争の平和的解決の精神が欠落しています。

 海警法の施行以降、海警局の船が尖閣諸島周辺のわが国領海に連日我が物顔で侵入を繰り返しています。大型の砲を搭載した船の侵入も確認されています。日本は従来以上の緊張感と覚悟をもって、牙を剝きつつある「戦狼外交」(戦狼とは中国で大ヒットしたアクション映画のタイトルで、国内外の敵から中国の国益を守る戦士を意味する)に立ち向かっていかねばなりません。

 そもそも海警法の草案が中国の全人代で練られていた昨秋から、日本は抗議の声を上げその撤回を強く求めるべきでした。ところが昨年11月、王毅外相が来日し茂木外相と会談した時のことを思い出して下さい。共同記者会見の場で王外相からトンデモ発言が飛び出しました。

 「一部の真相がわかっていない日本漁船が釣魚島(魚釣島の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生している。中国側としてはやむを得ず非常的な反応をしなければならない」と。

 中国海警船が日本漁船を追い回している今日の姿を、予告するかのような発言でした。目の前で尖閣諸島の領有権を一方的に主張されながら、その場で何も言い返さなかった茂木外相の体たらく。習近平政権を増長させたに違いありません。

 2012年9月に尖閣を国有化した当事者である私も、看過できない事態になりました。菅政権にはもっと毅然として対応してほしいものです。そこで、以下の3つの提案をしたいと思います。

 第1は、尖閣周辺における現場対応力の強化です。第11管区海上保安本部は士気高く、よく頑張っていると評価しています。しかし、海警は中国の第2海軍です。わが国の海保も自衛隊と連携強化し、切れ目なく対応できるよう「領域警備法」を今国会中に成立させるべきです。

 第2は、同盟国である米国を傍観させないことです。中国の攻撃的手法は日本のみならず、内向きになりがちな米国をも試しているからです。バイデン新政権は、人権問題などで厳しく対応しているし、同盟国やパートナーとの協力を重視しています。現時点の対中政策を持続してほしいものです。

 第3は、力による現状変更に対する強い警鐘を、国際社会にむけて鳴らし続けることです。ベトナム、フィリピン、インドネシア、豪州などは言うまでもありません。香港国家安全法により英中共同声明を踏みにじられた英国とも、連携協力すべきです。その英国が今年の議長国であるG7も、警鐘を鳴らす舞台にすべきでしょう。

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