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「富裕層ビジネス」という名のビジネス手法が、成功しない理由

日経ビジネスの最新号(12.10.2012号)の特集は「富裕層の正体」です。富裕層の消費の低下の原因を探り、富裕層ビジネスを広げていくために何が必要なのかを探っています。

この記事では、富裕層ビジネスをやっている企業は富裕層に対して誤解をしていると指摘しています。

例えば、

富裕層は金持ち扱いして欲しいと思っている
富裕層は人と違ったものを持ちたいと思っている
富裕層は常に刺激を求めている
富裕層は金額を気にせず買い物をする
富裕層はもっと自分の資産を増やしたいと思っている

これらは全部間違った先入観だというのです。

記事の中には、富裕層が今後投資する3つのKとして

キッズ(子供)
絆(人とのつながり)
健康

が挙げられていました。富裕層にはこの3つの角度から商品を売り込んでいくことを意識するべきというのが、この特集の結論のようです。

しかし、保有している資産額でその人たちの行動を1つにまとめるというのは、難しいのではないかというのが、記事を読んだ私の感想です。

同じ金融資産1億円の人がいたとしても、ライフスタイルは人それぞれです。年齢が違えば趣味や活動の興味も異なりますし、どこに住んでいるかによって消費行動は変わります。同じような生活環境の人であっても、性格によってケチな人もいれば浪費家の人もいる。

つまり、「資産が多い人はこういう人」とフレーミングしてしまって、その枠に囚われるのは、富裕層を理解するのには逆効果ではないかと思うのです。

お金があっても無くても、似たような考え方をして、似たような行動をする人たちがいます。富裕層だけを取り出して、行動分析するのは、富裕層側からしてもピントがずれていると感じてしまうと思います。

確かに、フェラーリやベントレーといった高級車やクルーザーやヘリコプターといった高額商品やプライベートバンクといったビジネスは富裕層しか関係がありません。

しかし、例えばパークハイアット東京のようなホテルは、決して富裕層だけをターゲットにはしていません。価値を理解してもらえるお客様に最上級のサービスを提供することをコンセプトにしています。

資産が多いか少ないかではなく、価値を理解するセンスを持っているか持っていないか、で顧客を選別し、選別されているのです。

だから、最初から富裕層だけを相手にしている特定のビジネスは例外として、富裕層マーケティングなど意識してやらない方が良い。それは、自分の持っているブランドを富裕層のために曲げてしまうことにつながり、結果的に自らの価値を下げてしまうからです。

「富裕層ビジネス」なるものは、多くのビジネスでは成功しない。顧客は資産をたくさん持っている人ではなく、資産をたくさん使ってくれる人だから。そう考える方が、自然だと思います。

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