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「一人暮らしの家でガリガリに」「鬱でSNSをアラビア文字に…」 現役大学生が綴るコロナ禍1年間の現実 - A4studio

 筆者(20歳・女性)は都内にある某私大の現役大学2年生。北陸地方にある実家から上京して約2年、4月からは3年生になる予定だ。

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 さて、新型コロナウィルスが猛威を振るうなか、人々が自粛生活を余儀なくされて1年ほどが経過しようとしている。

 家に籠もりきりでストレスが溜まる、鬱状態に陥るなど心身共に悲鳴をあげている方も多く、その問題は社会問題にまで発展。筆者自身も、まわりの友人もこの1年、同じような問題に悩まされていた。


©iStock.com

 コロナの感染拡大は、若者が街に出歩いていることも一因だと報道されることも少なくはない。しかし、コロナへの警戒心が薄く外に出ている若者はごくごく一部だろう。大半の若者たちは、他の世代と同じように、頑張って自粛生活を送っているのではないか。

 そこで、筆者自身の体験や周囲の友人の体験から、現役大学生のリアルな声をお届けしたい。

見えづらいヤバさ…大学生の苦悩

 まず筆者がこの1年、どう過ごしてきたかお伝えしたい。

 2020年2月。大学1年生の春休みに入り、海外に興味があった筆者は、翌月の3月に約1ヶ月間、短期留学が決まっていた。当時はまだ一度目の緊急事態宣言前だったこともあり、コロナに対して警戒心はあったものの現在ほどではなく、せっかくだからと留学を決行した。

 留学中は勉強や観光で充実した毎日を過ごしていたのだが、留学先の国で突然コロナが爆発的に感染拡大。ロックダウン寸前という状況だったため、予定を繰り上げて緊急帰国することになった。

 日本に戻り、すぐに実家に退避。帰国してから、日本でもコロナが徐々に広まりつつあることがわかった。そして4月、一度目の緊急事態宣言が発令された。

 4月から始まるはずだった大学の授業はオンライン授業に切り替わり、都内で勤務していて大好きだった飲食店でのアルバイトは、しばらく復帰できないだろうということで辞めた。

 それからはひたすらに手持無沙汰な日々。退屈との戦いが続いた。

1年間で教科書の20ページほどしか進まなかった授業

 大学の教授から送られてくるPDFの教材を読んで、その感想を書いては提出、書いては提出の繰り返し。週に3回ほどZoomで少人数制のゼミや語学の授業があったが、Zoomに不慣れな教授の授業では毎回何かしらトラブルが起こる。その結果、全く授業が進まず1年間で教科書の20ページほどしか習わなかった……。

 余談だがZoomで行われていたゼミの授業は顔出しをせずに進められた。そのため、未だにゼミ仲間の顔を知らない。

 同じ授業料を払っているのにも関わらず、対面で授業を行っていたときとは授業の充実度が雲泥の差である。

 毎日同じことの繰り返しなので、授業に対するモチベーションも下がり、だんだん自分が何をしているのかわからなくなるときもあった。なにか気分転換になることをしたくても、遊びにもいけないためストレスは溜まる一方。

 バイト仲間とワイワイ騒ぎながら仕事をしていた日々や、留学中の楽しかった日常がまるで夢だったような気さえして、虚しい1年間を送った。辛い日々を、まわりの友達と相談し合うことで乗り切ったわけだが、そこでは様々な相談を持ちかけられたことを鮮明に覚えている。

「休学しようかな」一人暮らしの家に籠もり続けガリガリに

「このままコロナが続くんだったら、休学しようかなって。なんか疲れちゃったんだよね」

 ある日、別の大学に通う女友達から、こんな相談をもちかけられた。その友達は同い年で同郷。筆者と同じく上京して一人暮らしをしているため、コロナ前は定期的にカフェなどで会ってはお互いの近況を報告し合っていた。

 一度目の緊急事態宣言が解除された後は、月に1回ほどのペースで会っていたのだが、会う度にだんだんと体がやせ細っていくのがわかった。あまりにもガリガリになっていくので、心配になり休学の話など、近況を詳しく聞いた。

「最近ご飯が食べられなくなって。一人暮らしだと、だんだん作るのも食べるのも、外に出ることさえ面倒になってくるんだよね。毎日同じようにオンライン授業受けてさ。だんだん歪んだ食生活になってって、寝れば食べなくてもいいって考えるようになってから、睡眠時間を長くして1日1食しか食べなくなった。なんなら何も食べない日が3日くらい続いて。本当に空腹で死にそう、精神的にもヤバいってなったときに、友達から連絡が来て、会って話してご飯食べて、なんとか保ってるって感じ。コロナがあるからそんな頻繁には会えないけどね」

 高校時代からとても陽気で、大学1年生の頃は旅行にもしょっちゅう飛び回っていた子から出るような言葉とは思えなかった。彼女は身長が160cm近くあるのだが、体重が30kg台まで落ちたという。

「1年生の頃に大学で仲良くなった友達とも、コロナがきっかけで疎遠になったよ。(飲食店の)バイトも親に止められるし、本当に人と会えてない。Twitter見てても、トレンドにはコロナに関するデマ情報とか、他人の悪口とかばっかり書いてあるし。それ見てるだけで心が沈むから、全部アラビア文字の表示になるように設定したわ。そういう毎日に疲れちゃって、軽く鬱っぽくなって。大学もオンライン授業が続きそうだし、休学して自分の興味あることしようと思ってるんだよね」

 もし東京にいる自分がコロナだったらという不安から、実家に帰ることもできず、1年間一人暮らしの部屋で孤独に耐えていたという友達。心身共にかなり疲弊していた彼女は結局、今年から休学を決意したそうだ。

将来への焦りからマルチに手を染めてしまった彼氏の末路

 別の女友達からは、彼氏に関する悩みを打ち明けられたことも……。

 大学生同士のその女友達と彼氏は、付き合って1年ほど経っていて順調な交際だったという。だがコロナの影響で、どうやら彼氏がマルチ商法にハマってしまったらしく、別れるかどうか迷っているといった相談だった。

「彼氏がだんだん怪しい感じになっているの。本人は、海外では当たり前のビジネスだって言い張ってるんだけど、明らかに怪しい。今は会費のほうが給料より多いけど、後々、給料が会費よりも上回るとか、SNSで人を勧誘すればするほど自分のランクが上がるとか……。コレって絶対マルチだよね?」

 確かに話を聞く限り、典型的なマルチ商法に思えた。友達の彼氏はまんまとハマってしまい、毎日勧誘の定型文を様々な人に送り続けていたらしい。

「コロナ禍でも、彼氏のまわりには少しずつ将来に向けての勉強を始めたり、行動し始めたりする人が出てきたみたいで。彼氏も、自分もなにかやらなくちゃっていう焦りから、前から目標だった海外の大学に編入するために英語の勉強を始めてたんだよね。その勉強の記録とかをTwitterに綴ってたら、DMでそのマルチの勧誘が来たんだって。彼氏は怪しいとはあんまり思わず、むしろコロナで何もできてなかった自分をまるで肯定してくれたみたいに感じたらしくて、そこからはもうどっぷり浸かっていった。しかもマルチ仲間と過ごす時間が相当楽しかったみたいで、私との時間は無駄だみたいなことまで言いはじめたの……」

 マルチ商法にハマっていったその彼氏は、外出自粛して家にこもっているような人たちのことを「何もしていない人間」と侮蔑し始め、ついには彼女のことも見下すようになったのだという。最終的にはその彼氏は大学を退学し、家出をして姿をくらませ、連絡も取れないそうだ。

若者というだけで、ひとくくりにしないで

 他にも、浪人を経て筆者と同じ大学に合格した地元の友人は、昨年4月から楽しいキャンパスライフを送るはずだった。けれど、オンライン授業ばかりで大学に通えず、サークルにも入れず、友達が1人もできなかったというケースもある。「1年間を棒に振ったよ」とぶつけようのない怒りと不安を抱えたまま、今年4月から進級して大学2年生になろうとしている。

 これらのエピソードを読んで、どのように感じただろうか。

 コロナの影響で休学を決めた者、マルチにハマって行方不明になった者、浪人してまで入った大学に一度も通えていない者――他にもたくさんの苦悩を抱えている大学生がいる。

 確かに、ごく一部の若者は緊急事態宣言下であっても、外出して遊びまわっているのかもしれない。しかし、若者というだけでひとくくりにはしないでほしい。そして、若者にも切実な苦悩があると知っていただけると嬉しい。

(文=海老エリカ〈A4studio〉)

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