記事

アフターコロナに、共働き世帯の家事・育児分担は変わるか - 村松 容子

1/2
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、在宅勤務等のテレワーク推進に関する議論がますます活発に行われるようになった。在宅勤務等テレワークが定着すれば、男女ともに仕事をしながら家事・育児をする時間を確保しやすくなると期待されている。

前稿「共働き世帯におけるコロナ自粛中の家事・育児時間の変化」では、ニッセイ基礎研究所が6月に実施した「第1回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」を使って、本人および配偶者がともに雇用されている既婚男女のうち、感染流行前(2020年1月頃)と比べて「労働時間が増えた」または「変わらない」人を対象として、新型コロナウイルスの感染拡大前との生活時間の変化を分析した。

その結果、男性の方が勤務先への出社が減少し、在宅勤務等のテレワークが増加している割合が高く、働き方の変化が大きかったが、家事時間が増加した割合は女性が男性を大きく上回った。

このうち、高校生以下の子どもを持つ男女をみると、男女とも同程度の人が家族と過ごす時間が増加していたにもかかわらず、育児に割く時間が増えた割合は、女性が男性の2倍1と、やはり女性が男性を上回ったことがわかった。調査を実施した6月頃は、自粛によって在宅時間が延び、家事や育児負担は増していたと思われるが、その負担が女性に重くのしかかっていたと考えられる。

本稿では、それから半年経過した12月に実施した「第3回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査2」を使って、夫婦の家事・育児の分担がどうなったのか、また収束後に働き方や家事・育児時間がどう変化すると予想するか回答してもらった結果を紹介する。

1 家事時間が増加した割合は、男性/女性それぞれ14.0/30.0%、育児時間が増加した割合は、19.4/37.5%と、女性が男性の2倍
2 2020年12月19~21日に実施。インターネット調査。対象は、全国に住む20~69歳の男女個人(株式会社マクロミルのモニタ)。有効回答数2,069。


1――男性の8割弱、女性の7割弱は、労働時間がコロナ前と比べて「変わらない~増加した」

前稿と同様に、夫婦ともに雇用されていて3、調査時点(12月)において「労働時間がコロナ前(2020年1月頃)と変わらない~増加した」と回答した人を対象として分析した。このうち、本稿では、特に、家事・育児時間の分担が課題となりやすいと思われる第1子が高校生以下の子どもをもつ男女に注目する。

まず、高校生以下の子どもをもつ男女の労働時間の変化(2020年1月頃との比較)を図表1に示す。労働時間が「増加した」と回答した割合は、男性で11.5%、女性で19.6%と、女性の方が高かったが、「変わらない」または「増加した」割合は、男性で76.9%、女性で67.4%と、男性に多かった。6月調査と比べると大きな変化はない。



以下では、労働時間が変わらない~増加したと回答した男女を対象に分析を行う。

なお、本調査は個人を対象とする調査であるため、配偶者の出勤状況や労働時間の変化については把握していない。

3 自分の意思だけでは、出勤状況を決めにくい労働者として、雇用されている人を対象とした。具体的には、本人、および配偶者の職業が「公務員」「正社員・正職員」「嘱託・派遣社員・契約社員」である既婚者を対象とした。

2――勤務先への出社が減りテレワークが増えた割合は2割前後

労働時間が「変わらない~増加した」人について、調査時における出勤状況を図表2に示す。2020年1月頃と比べて勤務先への出社が減った人の割合は2割弱、在宅勤務等のテレワークが増えた人の割合は男性が20.0%、女性が25.8%だった。

6月調査と比べて、男性には大きな変化はなかったが、女性で勤務先への出社が減った割合、および在宅勤務等のテレワークが増えた割合がいずれも上昇していた。



3――家事時間が増えているのはやはり女性。登園・登校の再開と働き方の変化で、女性に時間的ゆとりが増えた可能性

続いて、家庭における生活時間の変化(2020年1月頃との比較)を図表3に示す。12月調査について、男女を比較すると、女性は、休養・くつろぎ時間、家族と過ごす時間、家事時間が増えた人の割合が男性と比べて高かった。

6月調査と比べると、男女とも睡眠時間が増えた割合が上昇していた。女性では、このほか休養・くつろぎ時間と、家族と過ごす時間が増えた割合が上昇し、育児時間が増えた割合が低下していた。女性は、6月調査と比べて、勤務先への出社が減少し、在宅勤務等テレワークが増加していることと、保育園や学校の登園・登校が再開されたことで、休養・くつろぎ時間、家族と過ごす時間が増加し、育児時間が減少した人がいたものと考えられる。

一方、男性は、勤務先への出社の減少や在宅勤務等テレワークの増加は6月調査と大きな差はなく、家族と過ごす時間が増えた人はどちらかといえば減少し、家事・育児時間が増えた人も6月調査と同程度だった。



あわせて読みたい

「共働き」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    DHCなどを“実名報道”のNHK 民放にはできない“攻める”ニュースの意義を考える

    水島宏明

    04月09日 21:59

  2. 2

    スーパークレイジー君の「当選無効」は大いなる陰謀か、妥当な判断か

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    04月10日 08:20

  3. 3

    なぜ、日本は韓国よりも貧しくなったのか - 原田 泰 (名古屋商科大学ビジネススクール教授)

    WEDGE Infinity

    04月10日 08:56

  4. 4

    【読書感想】日本の構造 50の統計データで読む国のかたち

    fujipon

    04月10日 09:52

  5. 5

    東大京大生ってどうしてそんなにコンサルになりたがってるの?と思ったときに読む話

    城繁幸

    04月09日 08:17

  6. 6

    朝日新聞と厚労省へ ここまで対策すれば送別会やっていいですよという具体例

    中村ゆきつぐ

    04月10日 10:17

  7. 7

    売れ行き好調で一時出荷停止の「生ジョッキ缶」 メルカリで転売相次ぐも“違法”のケースも

    BLOGOS しらべる部

    04月09日 17:24

  8. 8

    JTBの絶望的「バーチャルジャパン」計画

    木曽崇

    04月10日 17:48

  9. 9

    認定取消されなかったフジHDと東北新社の違い 外資規制違反の状態でも抜け道?

    BLOGOS しらべる部

    04月09日 16:47

  10. 10

    補選与党完敗 文在寅レイムダック化

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

    04月10日 11:57

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。