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景気回復のために行ってはならない5つの間違い

内閣府は7日、主に企業の生産活動からみた景気の現状判断を「悪化」に引き下げました。景気判断の「悪化」は、米リーマン・ショック後の2009年4月以来のことです。

総選挙での最大の関心事項は景気対策だとの調査もあります。産経新聞社とFNNの合同世論調査では、衆院選で重視する争点として「景気・経済対策」(33.6%)と「医療・年金などの社会保障」(20.6%)を挙げる回答が上位を占めました。
これは総選挙が公示される前の調査です。景気判断が「悪化」となった現在では、ますます景気対策への関心は高まっているに違いありません。
景気が悪化して生活が苦しくなる中で、景気を上向きに変えて欲しいという要求は切実になっています。年末を迎えて、このような声はますます大きなものとなることでしょう。

それでは、景気を上向きにするためにはどうすれば良いのでしょうか。欧米の景気低迷と新興国の追い上げの下で輸出による外需の拡大は望み薄ですから、内需を高めなければなりません。
内需の拡大とは、国内で生産されたモノやサービスへの需要が増えることです。そのためには、4つの処方箋があります。
第1に、国民の収入を増やして消費能力を高めることです。第2に、支出を減らして使えるお金を増やすことです。第3に、将来への不安を無くして、持っているお金を貯め込まず使えるようにすることです。そして第4に、消費者のニーズにあった魅力的な商品やサービスを開発し、提供することです。
そうすれば、消費者の購買力や購買意欲が高まり、モノやサービスが売れるようになります。景気は回復するでしょう。

ところが、実際にやられようとしているのは、このような施策とは全く逆になっています。差し当たり、5つの大きな間違いを指摘しておきましょう。

第1に、賃金を低く抑えたり、最低賃金をなくしたりして、働く人の収入を減らそうとしていることです。解雇規制を弱めるというのも、雇用を不安定にして将来不安を高めるという点で、景気にはマイナスになります。
今日、消費者の多くは労働者として働くことで収入を得ています。そのような機会が保障され、収入を増やすことこそ、内需拡大のための基本的な施策だと言うべきでしょう。
ところが、1997年をピークに、1人当たりの年間給与はほぼ連続して低下し続けています。収入が減れば使えるお金も減り、購買力が低下して景気が悪くなるのは、あまりにも当然ことではないでしょうか。

第2に、消費税を引き上げて消費者の可処分所得を減らそうとしていることです。収入が増えなくても、それ以上に支出が減れば、可処分所得、つまり使えるお金は増えます。
景気を回復して内需を拡大するための最善の手段は、一方で収入を増やし、他方で支出を減らすことです。そうすれば、使えるお金が増えて、内需は拡大します。
ところが、実際に行われようとしているのは、この逆の政策です。庶民増税ではなく、大企業・金持ち増税によって税収を増やし、庶民の負担を軽くしようと、なぜ考えないのでしょうか。

第3に、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加して関税をなくそうとしていることです。基本的には例外なき関税撤廃ですが、自民党などはコメなどの関税をそのままにできればTPPに加わっても良いと考えているようです。
しかし、その場合でも、問題はなくなりません。その他の製品の関税がなくなれば、やはり安い外国製品が大量に入ってくることになるからです。
モノが安くなれば助かるというのはインフレの時で、物価が低下して苦しんでいるデフレの時には逆効果になります。物価が安くて困っているときに、どうして、もっと物価を引き下げるような政策をとろうとするのでしょうか。

第4に、年金や医療、介護などの社会保障サービスの低下です。このような制度自体がいつまで維持され、継続できるのかという信頼性の問題もあります。
将来、年金が充分にもらえないかもしれない、医療や介護の自己負担が増えるかもしれないなどとなれば、老後に備えて貯金するのは当然です。国や自治体によって支えてもらえなければ、自己防衛策を講ずるしかないからです。
その結果、収入が増えても貯金に回ってしまえば、消費は拡大しません。将来への不安が高まれば高まるほど、そのような傾向は強まることでしょう。

第5に、中国・韓国リスクの増大です。中国・韓国との貿易や観光客の増加などは、日本の景気動向にも大きな影響があります。
ところが、尖閣諸島や竹島をめぐる「領土紛争」が拡大して以来、貿易や人の往来は急速に減ってしまいました。「領土紛争」を平和的に解決し、中国や韓国との関係を改善することは、「景気対策」でもあります。
ところが、自民党や日本維新の会は、尖閣諸島への実効支配を強めるために公務員を常駐させるとか、港湾施設の整備を行うなどと主張しています。もしそうなったら、中国との関係はますますこじれ、悪化することになるでしょう。

景気を良くしてもらいたいと願っている有権者は、それぞれの政党や政治家がこのような5つの間違いをおかす政策を掲げていないかどうかを、しっかりと見極めることが必要でしょう。このような視点も、総選挙での判断基準として極めて重要な意味を持っていることを忘れてはなりません。

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