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コロナ禍で大きく浸透したClubhouse、人々が没頭する理由とは?

Photo Illustration by Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

新型コロナウイルスの蔓延が始まって間もない頃、二人の技術者が新たなソーシャルネットワーキングサービスを開発した。このサービスの名前はClubhouse。世界初の形態を持つアプリだった。

投稿も、写真も、動画もない。アプリのホーム画面はベージュに白の「ルーム」が並んでいるだけだ。おそらく面識のないであろう人々が、警察の横暴、音楽、セックスなど、誰もの意識にあるものをなんでもトピックにして集まっている。

ユーザーたちは誰もがモデレーターになれるし、ルームをホストすれば誰をスピーカーに選ぶかもコントロールできる。オーディエンスたちはただ聴いていることもでき、または何か言いたければ発言することもできる。こうしたアクションが全てイヤホンの中で行われているのだ。

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最近Pinterestへ企業を売却した企業家のポール・デイヴィソン、そして元Googleのエンジニアのローハン・セスの二人によって始められたこのアプリは、フィルターや取り繕う必要などなしに、人々が自然に会話しアイデアを交換するための手段だった、と彼らはのちに綴っている。

初めは数千人の規模でテストが行われていた。最初のユーザーたちは、シリコンバレーのベンチャーキャピタリストや、金の流れやインフルエンスを作り出す立場にある人々だった。Clubhouseという名の通り、初めは彼らのように時代の最先端を行くほんの少数を招待するというものだった。

そして大きな資金が流れ込んできた。ベンチャーキャピタルの巨人、アンドリーセン・ホロウィッツがローンチ後1週間で1200万ドルを投資し、9カ月目には株価は10億ドルにまで上った。

現在200万人以上のユーザーで流行の最先端を行くこととなったClubhouseは、同様に最先端の文化戦争の火薬庫にもなっている。その中身は検閲、オンラインハラスメント、そしてビッグ・テック(Google、Amazon、Apple、Facebook、Microsoft)の遠大な力などだ。

その成長はオプラ・ウィンフリーやイーロン・マスク、トランプ前大統領の政治顧問ロジャー・ストーンらが意欲的に用いているという点からも明らかで、約一年に渡るロックダウンの中で、会話欲に飢えた一般人たちにおいても大きく浸透した。

現在、FacebookやTwitterといったサービスは、積極的にClubhouseを模倣し、音声によるフィーチャーをその数十億のユーザーに施している。まるでここからオンラインライフの未来の姿が見て取れるようだ。

Clubhouse内の多くのルームがビジネス、投資、企業活動や仮想通貨といったトピックを掲げている。しかしそれだけではない。人種問題や、音楽・芸術に関する議論、LGBTQ+の権利について、政治問題のルームも多数だ。ある黒人のシンガーたちのグループは、ルームを通してミュージカルをやってのけた。

ユーザー数が厳しくコントロールされているとはいえ、誰もが参加できるようになるまではさほど時間がかからないだろう。既存のユーザーは友人を招待することができ、招待状はEbayで97ドルで取引されていた。

誰もが仲良く、というわけでは決してない。数え切れないほどのトロール行為、ハラスメントの告発、レイシズム、セクシズムがある。それぞれのルームにはモデレーターがおり、ユーザーたちは違反行為を報告することができるが、リアルタイムでの会話は悪い方向へ向かいがちだ。

技術者の黒人女性は、リッチな白人男性風の雰囲気は排他的だと語った。アンチ・ユダヤのような雰囲気も問題だ。ある企業のCEOは「なぜユダヤ人を嫌っていいのかということについて話す人たちの部屋」というルームを開いて、すぐアプリからログオフしたようだ。ある女性は、ルームでミソジニーについて発言してから男性たちにターゲットにされるようになった、と米ニューヨークタイムズ誌に語った。

Clubhouseにおけるハラスメント問題は突如として発生したわけではない。そして時として、他のソーシャルネットワーク上で制御不能になるまで、問題は大きくなり続けてきている。米ニューヨークタイムズ誌の技術系レポーターのテイラー・ローレンツは、TwitterとSubstack上での集中的なトロール行為に遭遇したそうだ。自然さという点は、全てが記録されているインターネット上においてはやはり、幾らかの制限があるようだ、

しかし、Clubhouseは明らかに流行を博している。あるユーザーの報告によると、一日4、5時間をClubhouseに費やしているという。時にはそれが、スポンサーからの評判を一切気にしなくてもいいTED Talksや朝のラジオ番組をやっているような気分になるのだという。

時として、予想もしないようなコラボレーションが見られることもある。元Boogie Down ProductionsのDJ D-Niceとコメディアンのトム・グリーンは、2月16日の朝、新曲でコラボするという大まかなプランを話し合っていた。Clubhouse上では、様々な良いことも悪いことも起こっているようだ。どのように受け止められるかは、ユーザー次第だろう。

From:Why Is Everyone Talking About Clubhouse?

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