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  • 2012年12月07日 22:07

エジプト革命後の混乱をうけて書かれた中国紙の中国礼賛社説

 今日はたまに書いている中東ネタです(「革命」後のエジプトと「自由」中東民主化運動が与える影響(概観))。しかし参照する記事はいつもと同じ中国の記事で、今日紹介するのは『環球網』の社説「社评:埃及革命最缺对当代人的现实好处」となります。

1 記事の紹介

 いつものとおり、最初に記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。

 ムルシ大統領の「権力拡大」に反対するデモがはエジプトで持続的に行われている。エジプトの政治は2大派閥の対立で、国の発展という問題を解決する能力は半身不随状態だ。エジプトは「政治の独裁」が崩壊した後、緊迫しており、変化が激しい。

 エジプトが安定するためにどの位年数がかかるか予想するのは難しい。5年あるいは、10年20年かかるかもしれない。最も重要なのは内乱に至るかどうかだ、戦争さえしなければ、合格といって良いだろう。

 今の問題は、何をしてエジプト社会の共通認識の土台とするかだ。エジプトの最大の問題は宗教と俗世間の力の間の鋭い対立だ。第二に民衆が最も不満に思っているのは、経済が衰え、生活が苦しくなっていることだ。

 問題解決には運も必要だ。宗教と世俗の対立の強さが「ほど良く」社会に活力をもたらし、国家の内部分裂をもたらさないことだ。そうでないと政治の混乱は先進国でも社会に悪影響を及ぼす。日本やイタリアがその例だ。しかしエジプトのような発展途上国がどうなるかは、あまりに未知数だ。

 西側の民主国家が今日のような豊かな状態になるまでに、前段階の「苦痛」を経てきている。フランスは革命から民主国家になるまで、いくつかの共和国を経験している。しかし東アジアは運が良い方で、西側の手助けを受け、より苦痛の小さいモデルチェンジを経験している。ただし、世界的に見て、経済力の弱いところは、政治変革に伴う痛みは大きい。

 エジプトは中東で最も影響力を持つ国だが、革命が起こってから2年で、エジプトの行く末が中東に影響を与えるが、この2年の間、混乱が続いており、人々を心配させている。

 エジプトの「独裁」は終わり、これは長い目で見て、歴史的意味のあることだが、1,200年後に見られた時、細かいことは忘れられているだろう。しかしとても重要な小さいことが1つある。それは、人の一生は数十年と短くいことだ。

 人道主義の見地からも、理想的な革命とは短期間で完成したもので、その時代の人々に多くの幸せをもたらすことで、多くの挫折を経験させることでも、生活を不安定にさせることでもない。

 斯様に、革命は人類にとって微妙だ。これまで革命を見るにあたって、国家や社会の利益といった大きな観点からしか見てこず、人道主義という立場では見てこられなかった。過去において世界は、もともと不安定であったため、革命をしようがしまいが、生存環境の不安定という意味では殆ど差がない。

 しかし今日は全く異なっている。戦争や凶作は少なく、大多数の国にとって、平和と発展が主流となっている。発展の速度の違いはあっても、世界は生活改善の方向に向かっている。結果、人々は不安定にことに耐えきれなくなっており、一生どころか、数年間悪化し続ければ、至る所で不満の声が聞こえ、利益を与えなければ、求心力を急速になくす。

 エジプトは変化の過程にあるが、現実に、エジプト人がこうしたことを理解しておらず、更には根気もない。人々は革命の成果として、個人利益を求め、こうしたことが、国家を苦しめる悪循環に陥らせる。

 中国は改革を通じて成し遂げた社会的業績は、他の国家の革命よりはるかに多く、なおかつ、このために支払った社会的代償も最も少ない。これは我々が最も誇りに思って良いことだ。

2 個人的感想

 もっと自由に書かせてあげることができれば、かなり面白い社説になったと思うのですが、おそらくいろいろ制約があったために結果中途半端な中国礼賛記事になってしまっています。

 確かに「革命」には痛みが伴うのが普通で、社会変革を起こせばどうしても社会の流動化を招くこととなります。結果、これまで有していた既得利益を失う人が出てくることとなり、以前と比べて「没落」する人が現れます。

 それどころか、下手に社会の不安定化を招くようなことになった日には、財産だけでなく、本来最も大事な生命さえも危機にも晒されることとなるので、そうなれば何のための革命という話にもなりかねません。

 では、同じままで何の変化もない社会が良いのかというと、そんなことがありえまいのは言うまでもありません。完全な社会などは存在しえないが故に、試行錯誤していかなくてはならないというのが実情かと考えます。

 そして、問題はその変革の際に生じる痛みを、どううまく切り抜けるという話でもあり、日本も幕末、終戦直後といったあれだけの変革期を武士や地主階級に痛みを受けてもらうなどの方法により切り抜けてきました。

 そういう意味で私は散々民主党政権のことを批判してきておりますが(生活保護の問題点と、民主党に試しにやらせてみた結果)、少なくともこうした政権交代を受けて、日本国民が学んだことはあるはずで、自民党の長期政権より長い目でみれば遙かに良かったと思っております。

 何にしろ、元記事が現在中国が(多くの社会問題あるのはとりあえず置いておいて)経済発展を謳歌しており、社会の発展という意味でそれなりの成果を挙げていることを受けて書かれたものと考えます。

 その点はで中国がうまくいっているのは認めたとしても、そこに至るまでの文化大革命や大躍進といった中国共産党の指導が中国人民にもたらした犠牲を思うと、どう考えても「社会的代償も最も少ない」とは言えないわけですが、そうしたことを華麗に無視する技術はさすがとしか言いようがありません。

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