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自民党「国防軍」は軍事大国化への道、国民総貧民化への道

 自民党の公約は、憲法9条を「改正」して、自衛隊を国防軍とすることです。
 何で今さら、国防軍なのでしょう。
 安倍氏が描いているのは、復古的な大国主義であり、その中身は大日本帝国の再建です。
 但し、戦前と異なり、日米同盟を基軸とし、その傘下で軍事大国化を目指そうとういうものです

 まあ、いくら阿部氏でも米英を排撃し、大東亜共栄圏を構想しているとは思えませんが、そこまで落ちると岸信介氏レベルだし、石原慎太郎氏レベルでしょう。未だに、シナとか三国人発言を繰り返す石原氏は、時代錯誤も甚だしく、未だに大日本帝国の幻想に取り付かれています。

 軍事大国化の要求は、財界、米国の要求でもあります。
 集団的自衛権の行使と海外派兵を可能な軍隊とし、世界の市場と秩序を維持し、グローバル化した企業の活動の安全を確保することが狙いです。

 1999年に成立した周辺事態法では、その名のとおり、日本の周辺しか対象としていないため、中東地域など「周辺」でない地域での戦闘に参加することは、この法律では難しいものでした。

 さらには、集団的自衛権の行使はできないということを前提にしているため、米軍との共同の戦闘行為もできず、また武器の補給もできず、戦闘行為の行われない公海上あるいはその空でしか、その活動ができないという大きな制約がありました。

 そのため、2000年10月に米国側(超党派)から出されたアーミテージ報告や経済界などから不満が噴出し、さらなる海外派兵に向けた「飛躍」が求められていきます。
 そのアーミテージは、2001年1月のブッシュ政権のもと、国務副長官となり、発言力を増していきます(2005年まで)。
 米国が日本に不満を噴出させるのは当然です。いわゆる安保ただ乗り論です

 2001年9月に起きた9.11テロは、米国をアフガン戦争に突き進めさせますが、日本では、周辺事態法からの「飛躍」の動きを加速させ、2ヶ月後の11月にはテロ対策特措法が時限立法で成立します。「周辺」の枠を取っ払ったものになり、地域の限定がなくなりました。

 2003年3月には、米国は、アフガニスタンに続き、イラク・フセイン政権の転覆のため、軍事侵攻を開始します。
 それにいち早く支持表明をしたのが、日本の小泉首相(当時)でした。

 2003年7月、小泉内閣はイラク戦争に加担するため、イラク特措法を成立させ(但し、4年間の時限立法)、自衛隊派兵に踏み切ります。

 攻撃を受けた場合の自衛手段としての武力行使を認める内容でしたが、それでも派兵は、「非戦闘地域」と限定されたものでした。しかし、もともと、小泉首相が「自衛隊がいるところが非戦闘地域」「どこが戦闘地域かなど私に分かるわけがない」と答弁しているように、実際にはイラク全土が戦闘地域だったわけで、その時点で、戦闘地域への派兵をしていたのです。しかも地上軍の戦闘地域への派兵というところまで踏み込んだのです。

 ただ、武力行使といっても、建前は自衛のための武力行使に限られており、それ以上に他国の軍隊の防衛のために武力行使をすることは認められていませんでした。
(佐藤正久氏(現地自衛隊指揮官)の言動について「自民党の「国防軍」って一体…、好戦内閣の誕生か?」敢えて巻き込まれて戦闘行為に参戦することまで考えていたことを述べています。)

 このように、建前としては、「非戦闘地域」という限定付きでしか海外派兵が実現せず、戦闘地域への海外派兵を実現するためには、憲法9条の「改正」が不可避となります。これまでの政府見解によっても集団的自衛権の行使は憲法違反とされてきたからです

 憲法「改正」が政治上の課題に上がってきた背景は、ここにあります。
 以前から憲法「改正」は自民党から主張されてきましたが、東西冷戦崩壊前の「改正」は、あくまで西側陣営に立っての参戦できる体制作りのものであり、今日的な意味での「改正」とは若干、異なります。ソビエト、中国との戦闘を想定していたからです。

 財界は、米国の世界戦略にのった軍事大国化の道を推進してきたし、それは米国にとっての利害とも一致します。
 このような財界の思惑と、大日本帝国を再建したい安倍氏の思惑とは似て非なる部分があるのですが、それでもこのような野合が交錯する中で、軍事大国化が図られていく危険性が非常に高くなりました。
 憲法「改正」という方向性は一致しているからです。

 さて、憲法「改正」と国防軍の先に待っているものが徴兵制度というのは飛躍があるでしょうか。
 私は、全くそうは思いません。
 まさに、「そこまではないでしょ。」なんて言っていたら、いつの間にか徴兵制度が復活していたということにもなりかねません。

 そこまではないでしょ。」なんていうことこそ、私に言わせれば「平和ボケ」そのものです
 中国が攻めてきたらどうするんだ、と騒ぐ人たちがいますが(本気で中国人民解放軍が日本本土に侵攻してくることを恐れているなら滑稽です。)、それなら現状維持(自衛隊及び安保)で十分(過ぎる!)なので何も憲法9条を「改正」する必要性もなければ、国防軍を創設する必要もありません

 それにも関わらず、何故、敢えて憲法9条を「改正」しようとするのかが問われているのに、「平和ボケ」だとか「左翼」とか騒ぐのは良識を疑います。

 憲法「改正」により国防軍となり、実際に戦闘地域への海外派兵ということになれば、現実に戦死する国民が出てくることになるでしょう。
(先のイラク派兵でも自衛官の多数の自殺者が出ていることが問題になっていますが、既に犠牲者は出ているわけで、戦死者0とは言い難い状態です。)

 その場合、死にたいやつが軍隊に志願すればいいんだ、というだけ済むでしょうか。
 その場合の選択は2つ。
 1つは、海外派兵こそが誤りであり、日米同盟路線を拒否し、軍隊そのものを海外派兵することを止める。

 もう1つは、軍隊維持のための徴兵制。
 海外派兵を止めるくらいなら、「国防軍」など創設したりはしません。徴兵制は決して異世界のことではないということです

 現代の戦闘はハイテク兵器であり、高度の訓練が必要だから徴兵制は有害だなんていう議論もありますが、欺されてはいけません。
 確かに大きな戦闘行為では、それは当てはまります。イラク戦争をみても、米国側がほとんど戦死者を出さずに圧倒的な軍事力をもってイラク軍を壊滅させました。

 しかし、問題なのは、その後の占領政策です。結局、米軍は治安を回復することができず、撤退するまでの間、5000人の戦死者を出しました。現地軍は、現地住民の中で、いつ殺されるか分からない状態に置かれているのであり、ハイテク兵器がといってみたところで、そのようなもので制圧することは不可能なのです。
 米国にとっては、ここにこそ日本に米軍の肩代わりを求めるメリットがあります。

 あるいは、徴兵制度ではなく、別の方法も考えられます。格差社会をさらに広げ、貧乏人にこそ軍隊に志願させるという仕組みです。これなら徴兵制は必要がありません。
 財界は、構造改革をさらに推し進めようとしていますが、そうなれば、国民の総貧民化は避けられません。

悪政競い合う民自公 国民を切り捨てる財界 日本全体がタコ部屋だ
 軍事大国化への道は、必然的に国民を貧困化させます。税金を国民生活に回さずに軍事費として浪費してしまうからです。米国をみれば一目瞭然です。
 そうなれば、それこそ、少々のアメで、軍隊に国民を吸収できるかもしれません。

 そして、それを可能にするような教育「改革」も企んでいます。
 愛国教育」や日の丸・君が代は、国民に対する思想統制の手段であり、考えない国民を育成することを目的としています。

 愛国だ、日の丸・君が代だと声高に叫んでいる人をみればわかるとおり、思考は止まっています。このような国民を育成し、黙って言うことを聞くような国民にしようというのですから、非常に恐ろしいことなのです。

 憲法「改正」による国防軍創設は、軍事大国化への道、徴兵制度への道。
 そして、国民総貧民化への道です。

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