新型コロナウイルスのワクチン接種がいよいよ日本でも始まった。しかし計画通りの調達ができないことが明らかになり、接種計画は早くも見直しを迫られている。ここで重要なのは「優先順位」の付け方である。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(2月23日配信)から抜粋記事をお届けします。
(略)
コロナワクチンの接種でも必要不可欠な「優先順位」
日本でもまず医療従事者を対象に新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。この後、4月から65歳以上の高齢者、基礎疾患を持つ人、などの順番でワクチン接種が進められる計画だ。
橋下 徹『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』(プレジデント社)
その一方、ワクチン供給量が絶対的に不足していることが報じられている。このように、限られた資源を最大限に有効活用する場面では、厳しく「優先順位」を付けることが必要不可欠となる。
この「優先順位」を付けることは、非常に難しい。後回しにされた者から、強烈な文句が出るからだ。
政治が各種関係者に交付している既存の補助金には、既に優先順位が付けられている。すなわち特定の団体に多額の補助金が出て、他の団体には出ていないという例がたくさんあるのである。なぜこのような優先順位付けが認められているのかと言えば、それは国民にわからないところで秘密裏に補助金の仕組みが作られているからだ。
だから分配にあずかれない国民たちは、自分が後回しになっていることすら知らないので、文句を言うことはない。そしてそのような優先順位付けが長く続くことによって、先に優先された者の権利が既得権となる。
政治がこの既得権を崩して、補助金の仕組みを公平なものにしようとすると、既得権を持った人たちから強烈な反対運動を食らって頓挫する。
逆に、国民みんなに秘密にすることができない事柄について、一から優先順位を付けていくとなった場合は、先ほど述べたように、後回しにされた者からの強烈な反対が予想される。
このような場合には、公平に機械的に配分する方が楽だ。
つまり、国民に秘密にして優先順位を付けたものを公平に戻すのは大変。同じく国民の監視の下で優先順位を付けるのもこれまた大変。
しかし、このいずれにも挑戦しなければならないのが政治や組織のトップ・権限者の役割だ。日本におけるワクチン供給においては、まさに後者の優先順位を付ける挑戦を政治がやらなければならない。
官僚は「不公平」批判に耐えられない
というのは、厚生労働省の行政官僚では優先順位を付けることができない。それは後回しにされた者からの批判に耐えることができないからだ。
このように優先順位を付けることが困難なときには「公平」というワードが使われる。一律の基準によって機械的に配分するということだ。
いまは医療従事者に先行接種してもらう段階なので、全国47都道府県ごとに医療従事者数を明らかにして、その割合でワクチンを配分していくのが誰からも文句が出ないやり方だろう。
しかし、そのような方法には大きな問題がある。これでは最大の効果を得られないことが多いのだ。
(以下省略/全文はメールマガジンでお読みください)
(ここまでリード文を除き約1100字、メールマガジン全文は約9900字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.237(2月23日配信)の「本論」から一部を抜粋したものです。もっと読みたい方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【有事における政治の役割】いよいよ始まったワクチン接種で「優先順位」が重要な理由》特集です。
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橋下 徹(はしもと・とおる)
元大阪市長・元大阪府知事
1969年東京都生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学政治経済学部卒業。弁護士。2008年から大阪府知事、大阪市長として府市政の改革に尽力。15年12月、政界引退。
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(元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹)
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