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- 2021年02月24日 10:30
接待って何だろう?
菅総理の長男、正剛氏の接待問題が話題を呼んでいますが、日本を含むアジア独特の習慣であるもてなし、接待、賄賂について考えてみたいと思います。
私はゼネコンに20年在籍しており、そのうち約6.5年が日本、残りがカナダでした。国内勤務の時には当然ながら接待という世界を見たわけですが、私は当時、若造だったので自身が本格的な接待をすることはなく、さりとて、上司がさほど接待で飛び回っていたという感じでも無かった記憶があります。多分、営業部門ではあったのだろうと思いますが、バブル夜明け前のゼネコンでも過剰接待は目立つほどではなかったというのは意外に映るかもしれません。(接待はする方もされる方も案外いやいやなものです。)
北米に来てからは特に接待という観念がスーッと消えていくのを覚えています。正論過ぎるのかもしれませんが、アメリカもカナダも実力勝負でした。当時、開発事業の許認可取得に時間がかかっていた頃、ある上司が当地のコンサルタントに「役人を接待したらどうか?」と言ったところ当のコンサル氏が顔を真っ赤にして怒っていたのを覚えています。私はその発言をした上司に恥ずかしい思いをすると同時に北米では賄賂で相手を「絡めとる」ことがいかに卑劣と思われるのか心の深くに刻み込んだのです。
ところが、数年のち、許認可が全て下り、工事が始まった頃、ある金曜日、許認可を担当した当方の弁護士、市役所の弁護士3人、コンサル、私でランチ会を開催しました。これがびっくりだったのは連中は飲むは飲むは、でワインのボトルを3-4本開け、3時間ぐらい盛り上がっていました。あれは何だったのだろう、と思ったのですが、多分、許可が下りているので収賄することもなく、共に戦い、ここまで来たという戦友同士の盃だったのではないかと思っています。ある意味、美しいと思います。
さて、私は接待されるのが嫌いで数々の業者や取引先からの会食の誘いはクリスマスランチのような季節的なもの以外は一切断り、極力奢られないようにしてきました。業者や取引先からランチでも、と言われればランチ時間は忙しいからそれ以外の時間で、とお願いし、コーヒーすらごちそうにならないよう努めていたのです。理由は「接待されればその何倍もの請求が来る」ことを知っているからです。
ですので私は周りに業者と会食は行くな、と常々口を酸っぱくして言ってきたのですが、ある時、妙な請求書があり、身に覚えがない内容だったので追及すると部下が業者と癒着して個人で購入したものを会社に付けていた事実を発見したのです。もちろん、全額弁償してもらい、その人は会社を去っていきました。
接待って何だろう、と考えると日本の歴史に照らし合わせると生活と密着し、もてなしやその延長戦である接待が日常生活で不可分な形となってきました。例えば盆暮の付け届けとは何だろう、と考えると双方の関係をスムーズにするということでそれこそ、親戚関係から会社の上司や顧客に至るまであらゆるところに「物的攻撃」をしてきました。しかし、私から見るとそれは印象付け以外の何物でもなく、悪い言い方をすれば犬が電柱におしっこするのと同じだと思うのです。
秘書をしていたとき、当然のことながら「物的攻撃」をし、送り先の奥様から主人に代わるお礼の手紙が来るのが儀礼的習わしでした。ところが、いわゆる大手のトップになると盆暮の付け届けの数は何十、何百にもなるので味気ない印刷された手紙でお礼を書く商品名のところだけがブランクになっていたりして手書きで品名を書き添えてありました。またそれらの付け届けを仕舞う場所がなく、収納小屋を建てた方もいらっしゃいます。ある意味、この文化に辟易としていたのを覚えています。
「同じ釜の飯を食う」というのはあることを共にするという意味合いで会食をすれば意気投合しやすくなるという期待はあるのでしょう。もちろん、その担当者が購買部や管財部などであれば目をかけてくれることもあるのかもしれませんが、それは正攻法ではないと私は教えられてきたし、それゆえに日本が欧米から見ると歪んだ感じに見えるのかもしれません。
菅正剛氏においてはあれだけの数の接待をしていたので東北新社では接待係として社長特命でやっていたのだろうと思います。私からすれば正剛氏は情けない男だと思います。父親の威光で社長と関係省庁のパイプ役でしかなかったわけで自分の実力はどうなのか、と言えばナッシングと思われても仕方がないでしょう。彼がもしも本当に社会で独り立ちしたいのなら今の会社を辞めて一からやり直すぐらいの気概を見せてもらいたいものです。たしか正剛氏は柔道をやっていたと思いますが、根性をたたき直してもらわねばなりません。
今回はもてなしではなく、当然ながらその域を超えた接待であり、東北新社が見返りを期待していたとしか思えません。駄目ですよ、こんなのは。時代が3周ぐらい遅れています。
では今日はこのぐらいで。
私はゼネコンに20年在籍しており、そのうち約6.5年が日本、残りがカナダでした。国内勤務の時には当然ながら接待という世界を見たわけですが、私は当時、若造だったので自身が本格的な接待をすることはなく、さりとて、上司がさほど接待で飛び回っていたという感じでも無かった記憶があります。多分、営業部門ではあったのだろうと思いますが、バブル夜明け前のゼネコンでも過剰接待は目立つほどではなかったというのは意外に映るかもしれません。(接待はする方もされる方も案外いやいやなものです。)
北米に来てからは特に接待という観念がスーッと消えていくのを覚えています。正論過ぎるのかもしれませんが、アメリカもカナダも実力勝負でした。当時、開発事業の許認可取得に時間がかかっていた頃、ある上司が当地のコンサルタントに「役人を接待したらどうか?」と言ったところ当のコンサル氏が顔を真っ赤にして怒っていたのを覚えています。私はその発言をした上司に恥ずかしい思いをすると同時に北米では賄賂で相手を「絡めとる」ことがいかに卑劣と思われるのか心の深くに刻み込んだのです。
ところが、数年のち、許認可が全て下り、工事が始まった頃、ある金曜日、許認可を担当した当方の弁護士、市役所の弁護士3人、コンサル、私でランチ会を開催しました。これがびっくりだったのは連中は飲むは飲むは、でワインのボトルを3-4本開け、3時間ぐらい盛り上がっていました。あれは何だったのだろう、と思ったのですが、多分、許可が下りているので収賄することもなく、共に戦い、ここまで来たという戦友同士の盃だったのではないかと思っています。ある意味、美しいと思います。
さて、私は接待されるのが嫌いで数々の業者や取引先からの会食の誘いはクリスマスランチのような季節的なもの以外は一切断り、極力奢られないようにしてきました。業者や取引先からランチでも、と言われればランチ時間は忙しいからそれ以外の時間で、とお願いし、コーヒーすらごちそうにならないよう努めていたのです。理由は「接待されればその何倍もの請求が来る」ことを知っているからです。
ですので私は周りに業者と会食は行くな、と常々口を酸っぱくして言ってきたのですが、ある時、妙な請求書があり、身に覚えがない内容だったので追及すると部下が業者と癒着して個人で購入したものを会社に付けていた事実を発見したのです。もちろん、全額弁償してもらい、その人は会社を去っていきました。
接待って何だろう、と考えると日本の歴史に照らし合わせると生活と密着し、もてなしやその延長戦である接待が日常生活で不可分な形となってきました。例えば盆暮の付け届けとは何だろう、と考えると双方の関係をスムーズにするということでそれこそ、親戚関係から会社の上司や顧客に至るまであらゆるところに「物的攻撃」をしてきました。しかし、私から見るとそれは印象付け以外の何物でもなく、悪い言い方をすれば犬が電柱におしっこするのと同じだと思うのです。
秘書をしていたとき、当然のことながら「物的攻撃」をし、送り先の奥様から主人に代わるお礼の手紙が来るのが儀礼的習わしでした。ところが、いわゆる大手のトップになると盆暮の付け届けの数は何十、何百にもなるので味気ない印刷された手紙でお礼を書く商品名のところだけがブランクになっていたりして手書きで品名を書き添えてありました。またそれらの付け届けを仕舞う場所がなく、収納小屋を建てた方もいらっしゃいます。ある意味、この文化に辟易としていたのを覚えています。
「同じ釜の飯を食う」というのはあることを共にするという意味合いで会食をすれば意気投合しやすくなるという期待はあるのでしょう。もちろん、その担当者が購買部や管財部などであれば目をかけてくれることもあるのかもしれませんが、それは正攻法ではないと私は教えられてきたし、それゆえに日本が欧米から見ると歪んだ感じに見えるのかもしれません。
菅正剛氏においてはあれだけの数の接待をしていたので東北新社では接待係として社長特命でやっていたのだろうと思います。私からすれば正剛氏は情けない男だと思います。父親の威光で社長と関係省庁のパイプ役でしかなかったわけで自分の実力はどうなのか、と言えばナッシングと思われても仕方がないでしょう。彼がもしも本当に社会で独り立ちしたいのなら今の会社を辞めて一からやり直すぐらいの気概を見せてもらいたいものです。たしか正剛氏は柔道をやっていたと思いますが、根性をたたき直してもらわねばなりません。
今回はもてなしではなく、当然ながらその域を超えた接待であり、東北新社が見返りを期待していたとしか思えません。駄目ですよ、こんなのは。時代が3周ぐらい遅れています。
では今日はこのぐらいで。
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