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仏、亡命希望者が施設長殺害

仏、カレーの難民キャンプから移送されるスーダン難民(2016年10月) 出典:Christopher Furlong/Getty Images

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・仏庇護申請者受入施設の責任者、亡命希望のスーダン人に殺害される。

・容疑者は、2015年フランスに亡命を希望してやってきたスーダン人。

・亡命希望者含む外国人が複数の罪を犯した時、国外退去にすべきとの声。

19日午前11時頃、フランス南西部、ポーにある庇護申請者受け入れ施設の責任者である46歳の男性が、亡命希望者のスーダン人男性(38歳)にナイフで刺され死亡した。

この衝撃的なニュースを受け取ったジェラルド・ダルマナン内務大臣は、すぐに現地に飛び夕方には到着し「犠牲者の家族と親族に心からの哀悼の意」表した。加害者はすでにフランスに来てから2件の暴力事件で有罪になっており刑務所にも入っていた経歴があることから、一部では亡命希望者を含む外国人が複数の罪を犯したときに、自動的に国外退去にするべきではないかとの声もあがった。

■ 事件の概要

加害者は金曜日の事件後すぐに警察に拘束され、本人がやったことを自供した。そして日曜日の昼前に起訴され、現在、拘置所に収容されている。この男は、2015年にフランスに亡命を希望してやってきたスーダン人であった。

フランスでは、戦争で自国に住めなくなったり、政治で迫害された難民や亡命者を受け入れており、多くの難民や亡命者がフランスを訪れる。しかしもちろん全員を受け入れるわけではない。例えば、2017年を例にとれば、約10万人の難民申請を受け付け、そのうち約1万3千人を難民認定、約1万人を準認定(補完的保護)している。

難民認定、補完的保護による保護、あるいは不認定の決定する機関がOFPRA(フランス難民及び無国籍保護局)だ。ここで審査され受け入れが決まれば、DPM(移民局)から業務委託を受けた民間団体であるCADA(庇護申請者受け入れ施設)が世話を引き受け、入所者に対し申請手続、生活面などのサポートや財政支援をする流れとなっている。

また、OFPRAに難民不認定の判断が下された場合は、CNDA(行政裁判所・難民専門)へ不服申し立てをすることができる。そこで、難民裁判官により最終的な判断が下されるのだ。

今回事件を起こした男は、亡命申請後、OFPRAに不認定の判定を受けていた。しかしながら不服申し立をした結果、CNDAの判断により受け入れが決まった経緯がある。認定後は、ポーのCNDA管轄のIsard-COSという施設に入居したが、その受け入れを行った人物こそが、責任者として2015年からIsard-COSにて働き始めた今回の被害者だ。

無事にフランス生活が始まったものの、男は2017年1月23日にIsard-COSにて他の入居者に対して暴力事件を起こした。そのため拘置所に収容され、裁判により2年の懲役(6か月執行猶予)を言い渡されたのだが、男はさらに2017年8月9日に凶器を伴う暴力事件を起こし、刑務所に服役したのだ。

その結果、CNDAによってようやく受けれた認定だったのにもかかわらず、フランスへの亡命申請は却下されることとなった。OFPRAは男を2回呼びだした。居住許可が2020年11月9日で打ち切られるためだ。しかし男は、約束の時間にくることはなかった。そんな状況の中、男は刑期を終えたあと適切に扱われていなかったと不満を抱いていたようだ。男はなんとかフランスの滞在許可を得ようと、この数日Isard-COSに通っていた。

19日、朝、10時半ごろにまたやってきた。車通りもかなりある大通りに面した場所にあるIsard-COS施設内には、その日15人ほどの職員が働いていた。亡命希望者がIsard-COSに出入りをするのは普通のことであり、男もなんの不審な動きをしなかったので誰も気にもとめなかったという。

男は施設に入ると、被害者の部屋に直接向かった。男の供述では部屋に入った時、被害者はコロナ対策として密室にいるのはよくないので外に出ようと声をかけたそうだ。しかし、男は外にでることなくそのまま持ってきたナイフで被害者を刺し始める。その数は13回にのぼった。

被害者が叫び声を出したため、声を聞いた職員が駆けつけたがすでに遅かった。被害者はまだ息はあった。だが、のども切られており、最終的には搬送された病院で約一時間後に息を引き取ったのだ。亡くなった被害者は、二人の子供の父親でもある、経験豊富なソーシャルワーカーであったという。責任者として6年間務めており、その間の評判もよく、繊細で困難な状況を管理する方法を知っていた人物であった。

連絡がありすぐに警官がかけつけたときも男は暴れることもなく、そのまま拘束されていった。そしてすぐに警察署で自分がやったと自白したのだ。一時はテロリストではないかとの憶測も流れたが、テロを起こす意思はなく、ただ、ただ、内戦が起こっているスーダンに送り返されることにおびえていたという。警察で行われた精神鑑定でも異常は見られていない。

▲写真 パリ、フランス 2020年10月17日:行政権、住居、行政拘留センターの閉鎖を求める大規模な抗議デモを行う移民らとその支持者達。(パリ、レピュブリック広場) 出典:Siegfried Modola/Getty Images

■ 事件を受けて

ポー市の市長であるフランソワ・バイル氏は、事件が起こった日の金曜日に追悼述べ、難民を助けるために働いていた職員が殺害されたことにショックを受けていた。そして次の日の土曜日にも施設を訪れた。この日は、「市にとっても大きなショックである。このアソシエーション(編集部注:施設)は目立たないが、とても大きな役割を担っている。しかし、この悲劇で緊張が高まることも、方向性が変わることはない。」と述べた。

現在、施設ではたらく職員は心理的ストレスを受けており、専門家によるカウンセリングが実施される予定だ。また、こういった施設がこんなにも身近な場所にあることを知らなかった住人も多かった。大学からさほど離れていない場所に施設があり、平和だと思っていた界隈でこのような事件が起こり、住民も不安を隠しきれない。

政治家の一部からも、2度目に事件を起こした時になぜすぐに送還しなかったのか?という声あがっている。今まで何度もあがってきた複数の犯罪を起こした外国人を退去させるべきかという議論もまたでてきた。いずれにせよ、この事件は何らかの法案作成時に影響を与えることとなるだろう。

今後、男は、フランスで裁判が行われフランスの刑務所で刑を服すことになる。当分の間は、男が希望していた通りにフランスに残ることができるだろう。しかし、すでに在留許可期間は終了している。刑期後は、おそらくフランスから立ち去る未来が待っているだろう。

参考リンク:

La CADA

Homme tué à Pau: déjà condamné à deux reprises, l’auteur présumé a reconnu les faits

“Nous sommes tous atterrés” : l’émotion à Pau après le meurtre d’un responsable d’un centre de réfugiés

Pau : ce que l’on sait du meurtre d’un responsable de centre d’asile

Pau : l’assassin présumé mis en examen et écroué

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