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「笑いって関係性だ」と気づき“話し方講座”へ…異端芸人・鳥居みゆきがお笑いに目覚めた原点 鳥居みゆきさんインタビュー #1 - 西澤 千央

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 今、女性芸人の世界が揺れている。女性芸人といえば、当たり前のように「ブス」「デブ」「非モテ」をいじられ、そこで強烈なインパクトを残すことが成功への足がかりとされてきた。

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 しかし、持って生まれた容姿や未婚か既婚かどうかの社会属性などを「笑う」ことに対して、今世間は「NO」という意思表示をし始めている。「個人としての感覚」と「テレビが求めるもの」、そして「社会の流れ」。三つの評価軸の中に揉まれながら、女性芸人たちは新たな「面白さ」を探し始めている。

 登場は強烈だった。白いパジャマにくまのぬいぐるみ、見開いた目で唱えるネタはポップな狂気に満ち溢れ、たちまちテレビバラエティに引っ張りだことなった鳥居みゆき。

 しかしどの番組も彼女の芸人としての「取扱説明書」を見つけることはできず、いつしか活動のベクトルは単独ライブや演劇へと向かう。鳥居みゆきは何を求め芸人の世界に足を踏み入れたのか。今、鳥居みゆきの“居場所”とは。(全3回中の1回/2回目を読む)


鳥居みゆきさん

◆ ◆ ◆

――あ、マスク外していただいて大丈夫です。

鳥居 マスクしなきゃいけないのはわかってるけど、嫌いなんですよね。

――インタビューはそうですね、少しやりにくい。

鳥居 なんかすごいイライラしませんか。でも、私フルマラソンの練習してる時はマスクしてました。

――「東北・みやぎ復興マラソン2017」の時ですか?

鳥居 はい。真剣に走ってる姿とか、見られたくないじゃないですか。努力とかって見られたくない。私、努力見せるの嫌い。

ネットニュースだけをみて知った気になる人多いのでね

――先日ナイツさんのラジオに鳥居さんがゲストで出ていた時、ジェットコースターみたいにトークが展開されて、すごくおもしろかったです。特に「毎日生まれ変わる」っていう話。毎日生まれ変わってるから、毎日食べ物も人も新鮮に感じるし、毎日生まれ変わってるから、「新○○」みたいな“大元があるもの”に戸惑うと。なるほどな~と。

鳥居 ありがとうございます。木場がわからないのに新木場に行けないってやつですね。私ジェネリック医薬品も、最初に大元のちゃんとしたものをもらって確かめてからジェネリックもらう。

――順番を間違えちゃいけないと。

鳥居 いけないんです。元々を知らないと何もできないですからね。

――そういうのショートカットしようと思えばいくらでもできてしまう。すぐ知った気になれる世の中ですので。

鳥居 そう。ネットニュースだけをみて知った気になる人多いのでね。ウィキペディアだけを見て、とか。なのでそういうのは私はあまりしないです。文献とか本をちゃんと読んで。

――研究するのが好きですか?

鳥居 すごい好きです。もうちょっと頑張ってれば、私の方がSTAP細胞見つけられた可能性ある。

――(笑)。

鳥居 考えるのが好きなんですよ。自分の考えていることに飲み込まれるのが好きなんです。

――それはどういう感じですか?

鳥居 自分が自分を追い越していく感じですね。自分がしゃべりたいことがあるとして、でもまた違う「これもしゃべりたい」が出てきて。もうどんどんどんどん追い越していっちゃうので、「待って待って」といってたどり着くという感じです。たどり着かないで終わることもあるんですけど。そうすると、変なやつだなで終わっちゃう(笑)。

――聞かれたことと全然違うことを言ってるみたいな。

鳥居 そうそう。自分の中のゴールはあるんだけど、ゴールまでちゃんとしゃべらせてくれなかったり、自分がまとまらないとそうなっちゃう。私自身の向こう側にいくんですよ。

――最近あまりテレビに出ないのも、そういう部分が満たされないからでしょうか。

鳥居 うーん……でもね、結局はすごく人に合わせてみんな生きてるなっていうことです。私もそうだし。でもあまのじゃくだから「あっこういう答えを期待されてるな」と思ったら言いたくないんですよね、ほんとはね。

「笑いって関係性なんだ」と気づき、「話し方講座」へ

――芸人になりたいと思ったきっかけが「友だちを作ろうと思った」と過去のインタビューでお話しされていますよね。小さい頃友だちからお菓子をもらって、他の子が「マズッ」ってやったらウケたのに、自分がやってもウケなかった、「笑いって関係性なんだ」と気づいたと……。

鳥居 そうそうそう。それなんで知ってるの? 私のこと(笑)。メロンのお饅頭みたいなねーこれが正直おいしくなくて、周りが「なにこれー」って言ったら「そんなこと言わないでよー」みたいになってたから、私も「まずいね」って言ったの。そしたらほんとシーンとして。

――切ない……。

鳥居 でも「受け手のミスは言い手のミス」じゃないですか。これ石田純一さんが昔言ってた気がして。「不倫は文化だ」の時代に。

――(笑)

鳥居 あぁ私がいけないんだと思って、それで私は自分を変えようと思ったんですね。どんなに面白いことをしゃべっても、受け手によっては伝わらないこともあるんだと。それまで孤独が好きで嫌な人って思われていたので、だからそれを変えたいなと。もっと明るい人間でいよう、それでこんな色んな事を考えてるんだよっていうのを、出したい、表現したいって思って。

――芸人の道を選んだ。

鳥居 いや、まず「話し方講座」に行きました。赤羽だったか、大宮だったか、いつも電車から見える看板のところ。それに行ったら、なぜかファンデーションの営業トークを学ばされて。それでファンデーションを売る力が今すごいあるんですよ。

――ファンデーションを売る力(笑)。

鳥居 求めているのそれじゃなかったのに。でももういいやと思って、ほんとは人としゃべりたかったんですけど、もうひとりでいい、孤独を孤高と言おうと思いました。

――「孤独を孤高という」、いいですね。

鳥居 自分の中でそう言い換えて自分をなだめてたんですよね。

――敢えてこうしてるんだと。

鳥居 そう。恥ずかしいから。でもそんなみじめなところもさらけ出さないとほんとはよくなかったかなと思う、今となっては。全てはプライドですよ。プライドが全てをダメにしている、人間って。

――かっこつけたりとか。

鳥居 そうです。で、そのプライドを一回捨てようと思ったのが、芸人になって全然ネタがオーディションに受からなかった時期。プライドを一回捨てようって思った時期ですね。

――それが山田ルイ53世さんから言われた「もっとポップなネタを作れ」で、生まれたのが「ヒットエンドラン」。

鳥居 よく知ってますね! もう話さなくていいじゃん!

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