外国人学生数の調査要望 筑波大、学長選考批判の教授ら(朝日新聞)
大学運営の自由度を高める特例が適用される「指定国立大学」の公募に際し、筑波大学(茨城県つくば市)が文部科学省に出した外国人学生の数と実態に食い違いがあるとして、筑波大の教員らが10日、萩生田光一文科相あてに調査を求める要望書を出した。大学側はこの件に「コメントはない」としている。
文科省は昨年10月、筑波大と東京医科歯科大を新たに指定国立大に選んだ。10日に記者会見した筑波大の教員によると、公募書類には外国人学生の数として3千人台の数字を記載しているのに対し、日本学生支援機構に報告している人数は2千人台だという。
筑波大の竹谷悦子教授は会見でこの差について「大学を訪問してきた短期の滞在者を含めているのだろう。そうした学生まで含めてアピールするのは、水増しではないか」と話した。
留学生を増やす計画を掲げている筑波大は、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」の世界大学ランキングにも、外国人学生数として3千人台の数字を出しており、THEは筑波大に数字の乖離(かいり)について説明を求めている。
竹谷教授ら教員有志は、現職の永田恭介氏が選ばれた昨年10月の学長選考に異議を唱えてきた。学長の通算任期の上限が撤廃され、教員の考えを問う投票も無くなったためで「不正な選考を認めず、責任追及を続ける」と訴えている。
筑波大広報室は教員有志でつくる団体について「誰が運営しているか分からない会」と言及し、「そのような会に対し大学としてのコメントはない」と答えた。(土屋亮)
……引用が長くなりましたが、省略して良さそうなポイントの見つからない報道であり、国立大学はおろか国策大学とすら呼べる筑波大学にして色々と問題もあるようです。今回報道の主題ではないながら「学長の通算任期の上限が撤廃され」云々の行もいかがでしょう? 自ら憲法を改正して任期の上限を廃止する国家元首は日本の隣国にもいるわけですが、似たようなことは国内でも見られるのかも知れません。
筑波大の広報室のコメントがまた振るっており、曰く「誰が運営しているか分からない会」とのこと。顔も名前も明らかにした上で全国紙を相手に記者会見まで開いている大学教員達を指して「誰が運営しているか分からない会」と言い切れるあたり、学長の傀儡と教員有志がいかに対立しているか窺われるというものです。
ともあれ、日本学生支援機構に報告している外国人学生の数は2千人台、文部科学省の公募や雑誌に出した人数は3千人台と、明白な食い違いがあるわけです。まぁヨソでも例えば東京ドームなど、消防署には定員46,314人で届けられていたにもかかわらず、読売球団は収容人数56,000人と発表していたなんて事がありました。大学だって似たようなもの、水増し自体は珍しくはないのでしょう。
それにしても、留学ゴリ押しの大学が本当に増えましたね。ついでに英会話学校かと見紛うばかりに英語推しの大学も幅を利かせるようになりました。英語や留学に縛られず好きなように勉強できる時代に大学時代を過ごせた自分は、今の時代の学生よりも恵まれていた気がしないでもありません。
ただ学生よりも政府や企業からの評価が問われる時代には、そういう人々向けのハッタリの方が教育より重要になってしまうのでしょう。教育の質の高さなんて、それを本気で勉強している学生にしか分からないものです。真面目な学生にだけ分かるようなアピールポイントでは、大学の名声には繋がりません。もっと「外」に向けて大学の魅力を発信するためには――留学生の「数」を多く見せるのが有効と、そう判断されているのだと思います。