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好発進! 大河ドラマ『青天を衝け』の魅力とは? 8つの重要ポイントを解説

●栄一(吉沢亮)と慶喜(草なぎ剛)の劇的な出会い

俳優の吉沢亮が主演を務める大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第1回「栄一、目覚める」(脚本:大森美香 演出:黒崎博)は、視聴率20.0%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)で、出だし絶好調。近代日本の経済活動の基礎を作った渋沢栄一(吉沢)と、最後の将軍・徳川慶喜(草なぎ剛)の少年時代を描いた第1回は今後に期待をつないだ。『青天を衝け』の何が魅力的だったか、第1回にあった8つの重要ポイントを挙げてみよう。

『青天を衝け』第1回の場面写真

その1:徳川家康(北大路欣也)の解説

冒頭、家康が登場し、武士の誕生から江戸時代に至る日本の歴史をざっくり説明。『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一(吉沢亮)が「徳川の家臣であったことをご存知だったかな」と語りかける。超有名人・家康とぎりりと眼ヂカラの強い名優・北大路欣也にロックオンされた。

その2:栄一(吉沢亮)と慶喜(草なぎ剛)、2人の劇的な出会い

少年・栄一(小林優仁)と少年・慶喜(七郎麻呂〈笠松基生〉)の登場前にいったん、本役の吉沢亮と草なぎ剛を出し、2人の劇的な出会いを描く。時に文久4年(1864年)。「渋沢栄一でございます」と名前を何度もアピールしながら、馬に乗った慶喜を追いかける栄一は鮮烈だった。

その3:優雅なオープニング

西洋文化を取り入れてできた近代の黎明を西洋のダンスで表現するかのような映像。筆のタッチが時代のうねりのように動き、それに切りもまれながらも、空を仰ぐ栄一と人々。壮大なロマンを感じさせるはじまりだった。

その4:緑と青、明るい自然が眼福

天保15年(1844年)、武蔵国。栄一の少年時代は、広大なロケセットをめいっぱい使って、青々した自然の風景の美しさと、そこで暮らす人たちの生活を生き生き描く。緑と青が目にまぶしく、4Kで見たくなる。

その5:女性や子供の心も捉える演出

大河ドラマといえば、雄々しい合戦、相手を出し抜く頭脳戦など、大人の男性が好む描写が多いイメージがあるが、『青天を衝け』は女性や子どもが見ても楽しめる間口の広さを感じた。たとえば、栄一の故郷・血洗島では、男も女も大人も子供も歌いながら仕事する。この地の人々の生業のひとつ・養蚕を描くにあたって、栄一の歌にあわせて蚕がダンスするシーンは、子供の心も捉えそう。

また、栄一とその親戚・千代(岩崎愛子)や幼なじみたちが山のなかへ遊びに行って、千代の大事な櫛が河に流され追いかけていくと、罪人・高島秋帆(玉木宏)に出会うシーンや、満月の夜、陣屋に忍び込み、再び、高島に会う場面などが、好奇心に満ちた子どもたちがこれから未来を切り開いていくのだという予感を覚えさせる。ジブリアニメを見ているようなファンタジックな冒険譚として楽しめた。少年・栄一役の小林優仁の瞳がクリクリしていて、額も聡明そうで応援したくなる。小さなカラダながら、自分は千代より年上だから千代を守ると言うところにキュンとなった女性視聴者もいたのではないだろうか。藍染の布でつくったランプシェードなどの繊細な小道具にも癒やされる。

●明確なメッセージ性…父や母の言葉を胸に刻む栄一



その6:徳川家の暮らしの興味

長い栄華と平和を誇った徳川の時代にもひたひたと終わりが近づいている。七郎麻呂の父で、徳川御三家のひとり徳川斉昭(竹中直人)が、息子に英才教育を施している。食生活の心得から痔の用心まで実際に行われていたらしき習慣はおもしろおかしい。また、軍事訓練の様子はスケールが大きく、見応えがあった(雉が飛翔し矢で討たれるところまでの動きも細かい)。

斉昭は、日の本を外国から守ろうという一心で軍事訓練をはじめていたが、それが過激であると警戒され隠居を申し付けられてしまう。徳川家に世継ぎがなかなか生まれなくなっていたところ、斉昭が大切に育てた七郎麻呂が一橋家の当主となり、名を慶喜とした。水戸からはじめて征夷大将軍が誕生する可能性に斉昭は「快なり」「快なり」「快なり」と満足そう。七郎麻呂のクールさと竹中直人演じる斉昭の豪快さ。親子ながら雰囲気がまるで違っているのも面白い。

その7:明確なメッセージ性

大人たちの教えが栄一を導いていく。東照大権現のお言葉で説教する栄一の父・市郎右衛門(小林薫)。「東照大権現とは」と語り(守本奈実アナウンサー)が振ると「徳川家康です」と家康が出てくるところも楽しめる。父は「上に立つものは下のものへの責任がある」と上に立つ者の心得を語り、栄一はそれを胸に刻む。母・ゑい(和久井映見)は、「あんたが嬉しいだけじゃなくて、みんなが嬉しいのが一番なんだで」と教える。満月の晩に出会った高島は栄一に「このままではこの国は終わる」と警告し、どうしたら終わらないか考えさせようとする。

その8:さわやかな朝を求めて

第1回の終わりは、少年・栄一が高島と話をし、日本を終わりにしないために立ち上がろうという気持ちで高島の囚われていた陣屋を出ていくと、空が明け、あさが来た。「夜明けだで」と空を仰ぐ栄一たち。『青天を衝け』の脚本は、朝ドラ『あさが来た』(2015年)を書いた大森美香氏。『あさが来た』は朝ドラでは初めて江戸時代の終わりから、渋沢栄一と同時代人の実業家・広岡浅子をモデルにしたヒロインの半生を描いたドラマだった。今回は、『あさが来た』ではちょっとだけ登場した渋沢の人生を描く。この時代のことをすでに研究している作家だけに、密度の濃い脚本になるであろうと期待されている。

夜明けとは時代が変わる希望の現れとも解釈できる。『青天を衝け』の第1回は一貫して日本の新しい朝のはじまりを意識しているように見えた。2020年コロナ禍で疲弊してしまった日本、夜がいつ明けるか不安な気持ちでいっぱいなときに、未来の希望に満ちあふれた少年たちのキラキラした瞳と、全速力で駆ける気迫は、過去の話でありながら、今の話であるような、こんなふうにたちが上がる人の出現を待ち望む気持ちを強く刺激された。これほど清々しく力強い物語は、これからも続けて見たくなることは間違いない。

(C)NHK

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